死なぬ祈祷をお頼みします 本音を吐いた八十翁【K's EYE】

2010-01-29 23:41:01 | K's EYE
 今日の国会では、衆参両院の本会議で、
 鳩山首相の施政方針演説が行われました。

「いのち」をテーマにした演説は、
 鳩山首相ならでは、といった印象を受けますね。

 全ての人が本当の幸せになれる社会を築いてもらいたいものですね^^

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【今日のちょっといい話】

◇死なぬ祈祷をお頼みします 本音を吐いた八十翁

「まだやりたい事があるので、今しばらく、長命の祈祷をお願いしたい」
 八十歳の人が高徳の噂を聞いて良寛(りょうかん)の所へやって来た。

「長命と言っても一体、何歳くらいまでお望みかな。
 それが分からぬと祈祷のしようがない」
「九十では十年しかない、百歳までお願いしましょうか」
「あとたった二十年。
 百一になれば死なねばならぬが、いいかな」

「もっと、お願いできましょうか」
「一体、何歳まで生きたいのか、言ってみなさい」
「それじゃ百五十歳までいかがでしょう」
「百五十歳でよろしいか」
「あんまり厚かましくても……」
「そんな遠慮は無用じゃ」

 それでは二百歳、三百歳、五百歳と、
 次第に寿命をせりあげてくる可笑(おか)しさに耐えながら良寛、
「どうせお願いするついでだ。本心言ってみなされ」
 と促すと、

「それじゃ、いっそのこと、死なぬ祈祷をお頼みします」。
 とうとう本音を吐いたという。

 ある人が、数人の友達にフグをご馳走したが、中毒を恐れてだれも食べない。
 そこへ一人の旅人がやってきた。
 試しに一皿すすめたがなんともなかったので、
 それなら大丈夫とみな安心して食べる。

 後で旅人に”うまかったか”と尋ねると、
「もう、あなた方は食べられましたか。
 それでは私もこれから頂きましょう」
 と言ったという。

 一休の再来と騒がれた博多の禅僧・仙崖(せんがい)が臨終を迎えた。
「ぜひ最後の、ご教訓を」
 と弟子たちが紙と筆を捧げてお願いすると、
「死にともない、死にともない」
 とだけ書かれている。

 どんな尊い辞世が貰えるかと、固唾(かたず)をのんでいた弟子たちは、
 あれほど大徳といわれた高僧の、
 これが辞世とあっては師匠の徳にキズがつく、なんとかせねばと協議の末、
「先ほどのお言葉も結構ではありますが、いま一つお言葉を……」
 と再度お願いすると、快諾して、くれた書面を見て仰天した。

 先の言葉の上に“ほんまに、ほんまに”と
 つけ加えられていただけだったという。

 誰しも究極の願いは変わらぬようだ。


【編集後記】

 ペルーの遺跡マチュピチュ周辺で、
 豪雨による土砂崩れのため鉄道が寸断され、
 多くの旅行者が取り残されてしまっていたようですが、
 ヘリコプターで次々と救出されているようですね。

 日本人観光客も77人中72人が助け出されたようで。
 全員が無事に脱出できることを念じています。