炎の色を見わける話 ~名画伯と熟練消防士~【K's EYE】

2010-01-05 23:17:18 | K's EYE
 強い寒気の影響で、中国や韓国では記録的大雪になったそうですが、
 その寒気が今度は日本にやってきているようですね。

 明日朝から冬型の気圧配置が強まる見込みで、
 各地で大雪や暴風に注意が呼びかけられています。
 暖冬と言われていても、やはり雪は降るみたいですね^^;

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【今日のちょっといい話】

◇炎の色を見わける話 ~名画伯と熟練消防士~

 月岡芳年(よしとし)は浮世絵と洋画を折衷した一派を立てて、
 一流の名画を残した人である。

 あるとき、神田の大火にかけつけて、
 炎々と燃えあがる火炎の模様を写生して帰ってきた。

 後日、出入りの親しい消防士がきたので、その絵を見せた。
「これは先日の神田の大火の写生である。
 あなたは職業柄、火事のことには詳しいでしょう。
 この絵に誤りがないか見ていただきたい」

 いかにも名人の描いたものだけあって、
 火炎のありさまといい、黒煙のものすごさといい、
 人々の騒いでいるかっこうなど、実にすごみがあって、実感が出ている。

 しばらく見いっていた消防士は、
「実はあの火事の夜、私は、よそへいって留守でしたので、
 火事場へはゆけませんでしたが、
 この絵を見ますと、神田の某金物店が焼けているところでしょう」
 と答えたので、芳年画伯が驚いた。

「なるほど、あなたの言うとおり、
 この絵は、金物屋の焼けているところを写生したものだ。
 煙ばかりのこの絵だけで、どうしてそれがわかられたかな」

「私は多年消防に従事していますため、火炎の色を見て、
 あれは木が焼けている炎だ、あれは金が焼けているものだ、
 ということがわかります。
 今あなたの絵を見ますと、炎の色が、確かに金物の焼けている色です」

 と答えたので、芳年、いよいよ感嘆して、
「さてさて経験修練というものはおそるべきことである。
 私も、あなたの炎の色を見わける話を聞いて、おおいに参考になりました」
 と称賛したという。

 この消防士も称賛さるべきであるが、画伯の絵もまた名画ではないか。
 何事も、その極意に達すれば驚くべきものである。


【編集後記】

 昨年の賞金王に輝いた、ゴルフの石川遼が18歳にして、
 日本ゴルフツアー機構(JGTO)の選手会副会長に選出されたそうですね。
 これはもちろん史上最年少とのこと。

 今年は実力でマスターズ出場も勝ち取り、
 さらなる飛躍が期待されますね^^