井沢満ブログ

後進に伝えたい技術論もないわけではなく、「井沢満の脚本講座」をたまに、後はのんびりよしなしごとを綴って行きます。

イ・ビョンホンとコン・ユ

2015年05月08日 | コン・ユ

固い息苦しい話題が続いたので閑話休題。

やや古い映画ですが韓国の「王になった男」を見ました。

韓国内の賞を総なめしているようですが、当然でしょう、秀作でした。

ただ、韓国の時代劇は考証ガン無視でひたすら華麗に描くので

まあ、そこは「ふふふ」と見ていたわけですが、

イ・ビョンホンがよくて、よくて。

随分前、まだ韓流などという言葉も日本になかった頃、頼まれて

韓国映画のパンフレット用の文章を書いたことがあります。

思えばそれが初めてか、初めてに近い韓国映画体験でした。

その時の主演がイ・ビョンホンだったのです。

繊細で、しかし力強い演技をする男優だということで

印象に残っています。

そういう意味では、スケール感も含めてコン・ユに似通うものを

感じます。

イ・ビョンホンはハリウッドに進出していますが、あのスケール感なら

当然だろうし、コン・ユもなめらかな英語を話す人なので

ハリウッドは目前ではないかなと思います。ただ、こういうの

タイミング次第ですけどねえ。

日本で組んでやりたいのですが、今の日本の雰囲気ではちょっと・・・・・。

企画が通らないでしょう。・・・・・って、自分がさんざん韓国を

普段批判しておいて、言うのもなんですが、韓国を全否定している

わけでないことは、再三表明しているとおりです。

自分が関わる映画やドラマの分野では、敬愛する創り手たちがいます、

俳優監督シナリオライターを含め。

フィクションを通じた感性は共有出来るものが多いので、人種が

それほど隔絶して異なるとも思わない・・・・そういう意味では

世界共通のメンタリティも大いにあるわけですが・・・・・・

こと政治外交が絡むと、あたかも相手はエイリアンです。理解不能。

いえ、いくらか韓国を学びその基礎的精神構造を知ってくると

謎というより、相手の進化を待ちましょう・・・・という気分になって来るのですが。

でも、解っている知性的な一群はいます。大きな声に束ねられないだけで。

そのことにいくらかの希望はあります。

永遠に分かり合えないとまでは、思っていません。

でも、あと500年程度は無理でしょう。

それに、あちらさんは千年間恨みを忘れないそうなので、それを

言ってる間は無理。相互理解は無し。

映画に話題を戻すと、「王になった男」で世界共通で感動を

分かち合える部分がほとんどだったのですが、やはりこの

感性は韓国独自だなあ、と思わせるのが排泄シーンで、

イ・ビョンホンという、こんな端正な男をおまるにまたがらせ、

排泄を描くのです。大きな音声付きで。

漫画的に音を入れると、

びびぶばべべ、ぶ、じょー。(失礼しました)

何人もの女官が平伏する中、用便が済むと女官たちは

「おめでとうございます!」と、声を揃えて祝福するのです。

そういえば、コン・ユも何かのドラマで便器に座らせられていました。

韓国で私が一番好きなコメディエンヌ、キム・ソナにいたっては

長い便秘設定での、トイレシーンがありました。

排泄に対する感覚が、ちょっと日本人とは異なるようです。

「王になった男」では、王の健康状態を宮廷医師がチェックするのに、

あの有名な「嘗糞(しょうふん)」つまり、匙で便をすくって舐めてみる、をちゃんと

描いていました。

ファッション含めたカラフルな華麗さの嘘以外は考証的には、中国の万年隷属国であったことも

描いていたし、何よりストーリーテリングと心理描写の妙で、掛け値なしの傑作です。


15 コメント

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Unknown (平凡な主婦)
2015-05-08 01:10:31
井沢先生、こんばんは。

実は私もイ・ビョンホンさんが好きでした。(今も嫌いになったわけではありません)
「王になった男」は観ていませんが、私がビョンホンさんを知ったきっかけは「美しき日々」でした。
彼の抜群の演技力には、ほんとに魅せられました。
ビョンさんは「目で演技」をなさるんですよね。
顔の表情もそうですが、場面場面で目の表情が変わって、迫真の演技とはこう言うことを言うんだなあ~と、
つくづく感心したものです。
日本でピョンさんと近いものを感じる演技力のある人は、松山ケンイチさんかな~と思っています。

お邪魔しました。
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イ・ビョンホン (井沢満)
2015-05-08 04:24:07
平凡な主婦さん


私が韓国人の俳優さんの名前を覚えた最初の
人です。それまで韓国も韓国映画も全く視野に
なかったのですが・・・・
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はじめまして (Mackie)
2015-05-09 17:43:04
いつも拝読させていただいております。

韓国ドラマでは、確か刑事ドラマだったと思いますが、張り込み中に女性刑事が我慢できずに道端で小用を済まされた場面があり、面食らった覚えがあります。

それと、キム・ヨナさんは国民の妹さんなので、おそらくキム・ソナさんではないかと……。
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Unknown (井沢満)
2015-05-09 18:05:57
>それと、キム・ヨナさんは国民の妹さんなので、おそらくキム・ソナさんではないかと……。


そうでした・・・。よりによって、と言ったら叱られそうだけど、ヨナと間違えるとは。
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Unknown (ずいずい)
2015-05-10 11:48:36
トガニの監督(本とコンユが決まっている中で、凄い脚本に変化したと感心)の映画「怪しい彼女」面白いです。おばさんの口喧嘩が、韓国には、必需品なのですね。私的には、省いて欲しい…。
「テロ,ライブ」、「フォンブース」を思
い出すけど、どちらも面白い。

「オール・ユー・ニード・イズ・キル」
(桜坂洋さんのSF小説の映画化)面白かった。私には小説から、想像出来ない映像でした。軽くならず重くならず絶妙。

想像範囲を超えていると、どこの国の作品も面白い。
「龍蔵と7人の子分」は、笑えたけど、面白くなかった。範囲内でした。

大金使って、まだ見ぬ1シーンを作るために奮闘する集団に、常に敬意を評します。
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Unknown (ひろりん)
2015-09-25 17:41:24
コン・ユ君がこちらの映画に出演されるようです。
http://contents.innolife.net/news/list.php?ac_id=4&ai_id=205509
役所は何かわかりませんが、何故か少しだけ不安です。
※こちらの情報は不都合でしたら削除していただけますでしょうか?
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ひろりんさん (井沢満)
2015-09-25 23:51:04
この映画に彼が出る出ない以前に、史実を捏造した反日映画だと厄介です。ハリウッド資本なら、海外で上映されるかもしれないので。

この素材だとほぼ間違いなく反日戦士の役でしょう。
前からハリウッドサイズの俳優だと言っていたのですが、こんな形で実現するかもしれないのは残念です。

アメリカ側も見ると思うので、オファーがあるかもしれませんね。後は英語力しだいですが、何かの映画でちらっと耳にした限りでは大丈夫のようですね。
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男と女 (加賀友禅)
2016-02-12 17:30:26
映画予告です。
https://plus.google.com/102561048820777234110/posts/Bb6o8JfGbEk
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加賀友禅さんへ (井沢満)
2016-02-12 23:39:01
ご紹介のURLが開けないのですが、
コン・ユの新作ですか?
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男と女 (加賀友禅)
2016-02-21 04:18:22
韓国で今月封切りの映画です。
すみません、下も駄目だと思いますが.....
http://youtu.be/8-ohQ8XEF_8
youtubeでgongyoo 2016ですぐ出てきます。

またもう撮り終えているホラー映画が今年の後半UPされるらしいです。

問題の(苦笑)「密偵」は来年になるようです。

韓国では、俳優の地位が低いので、いろんなオファーがあっても事務所が仕事を決める力が強いです。
兵役後はだいぶ自由に仕事を選んでいたようですが、ソン・ガンホとの共演は断れなかったと思いますし、本人の意思もあったかも....
ソン・ガンホと共演は箔がつきますからね。
カン・ドンウォンはもう共演しましたし......
また、若きコン・ユが出ていたMV、あの時代のコン・ユは事務所のいうままの仕事をさせられていた時代だと思っています。
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