「同窓会」とミスチルCROSS_ROAD

作品のファンの方に教えていただいて、「同窓会」という作品からもう
20年経過しているのだと知った。

三田佳子さん主演による「外科医　有森冴子」がシリーズで
ヒットしている頃であったのだが、三田さんが確か
大河ドラマに主演だとかで、一定期間有森から抜けられた
ことがあり、その期間何かやってくれということで
浮上したのが「同窓会」企画だったので、たまたま三田さんの
不在がなければ作品もなかったわけだから、
これも運命の流れだろう。
何か必然として生まれた作品のような気がしてならない。
今書けといってもあれは書けぬし、オンエアも不可能だろう。
時代的要請・・・あれで時代の一角が変わったとは思うし、
世間には「同窓会以前・以降」という言葉があると聞いた。
いや、偉そうだが自分一人で作ったわけではなく、スタッフ役者の
皆さんの真摯な気迫があってこその作品である。

さて、ミスチルとの関わりを書いてくれとのコメント欄での
ご注文である。

「同窓会」の時、局と約束していたことが一つあって、
それは私に主題歌の作詞をさせてくれ、ということであった。
ところが、プロデューサーのお一人が（局と局付随の制作会社お二人いらした）
「いい新人グループがいて、ちょっと曲を作らせてみたので
聴いていただけませんか」と言う。
約束違反なので、私はむっとするわけである。
するとプロデューサーは「一晩で作って徹夜で録音してくれたんです」
と畳みかけて来る。
まあいいや、じゃあ聴くだけ聴いて「こんなもん、だめでしょ」と
いうセリフを喉元で用意して、テープを聴いた。

・・・・これ、反対は出来ないなが、1回聴いた感想であった。
即座に「いいです。これで主題歌行きましょう」と返答していた。
それがCROSS_ROADであり、Mr.Childrenであった。
後にアメリカから拙宅を訪ねてくれた「同窓会」ファンのアメリカ人
教授はこのMr.Childrenという名称を変だ変だ、としきりに
言っていらしたが。
ともあれ、もし私がノーと言っていたら「同窓会」の主題歌には
なっていなかったわけであるが、私が運命を握っていたかと
いうと、そうでもなく、仮に私が拒否していたとしても、
Mr.ChildrenもCROSS_ROADも何らかの形で
世に出ていただろう。
才能とはそんなものである。
櫻井さんには、打ち上げの時挨拶に来てくださって
お会いした。

というわけで、私が主題歌を書くという約束が反故になったので
次に書いた連続ドラマ「夜に抱かれて」で作詞をさせてもらった。
それを聞きつけた方から、久保田利伸くん側の売り込みがあり、
声を聞いたらビロードのような声質で気に入り、じゃあ
久保田くんの声にあてて書きましょう、ということで
ニューヨークにいる久保田くんと電話で話し合いながら
作ったのが「夜に抱かれて」という曲であり、これも
当時のヒットチャートで一時的にではあったが2位かそこらに
上り、カラオケにも入って一定期間かなり歌われたから、
これもまた作品じたいの運命というものであろう。

ある作詞が高校の音楽の教科書に掲載された経緯も
偶然で、それもまた運命なのであるが、その話は
いずれまた。