映画:迷子の警察音楽隊

2008年02月26日 | 映画・本
迷子の警察音楽隊 2007年 イスラエル/フランス


監督:エラン・コリリン 出演:サッソン・ガーベイ、ロニ・エルカベッツ

イスラエルの見知らぬ街に迷い込んだエジプトの音楽隊。
隣国で、確執がある国同士― 文化の基盤も似ているようで似ていない。
言葉もヘブライ語とアラビア語で違うし、もちろん宗教も違う。
中東戦争でエジプトはシナイ半島をイスラエルに占領されてしまったし、
けれど、アラブ連盟の国の中で唯一イスラエルを認めている国なのがエジプト。
それが・・・
音楽を通して、エジプトとイスラエルとかつての敵同士が心を通い合わせ、
ひとつになる― なんて予定調和な粗筋ではございません。

エジプトの音楽隊が「Pe-tah-tikva」という街に行きたかったのが、
アラビア語圏出身ではヘブライ語の発音が難しいのか?
Be-tah-tikva」という一文字違いの、
道路や街灯は整えられているだけの、活気がない街で過ごした一夜の物語。

この映画は― この作品は絶妙な間(ま)、心地良くて、面白いのです。
音楽隊の堅物な団長とさびれた食堂の美しい女主人が語り合うひととき。
一番若く、プレイボーイの団員が超内気な青年に女の扱いを手ほどきする場面。
赤ちゃんを抱えた失業者らの家族と3人の団員達に立ちはだかる、
気まずい空間が流れる、などなど・・・
行間を読むように、表情やしぐさが伴う味のある間(ま)がユルい笑いを生み出す。

不器用で哀愁感漂う人間味に溢れたこの作品、観終わった後に―余韻が残る、
中東風寅さん映画のような― 実に和やかで味わい深い、温かい人情モノでした。

こやぶん評価(「忙しないなぁ」と思った時に、ユルい気分でどうぞ







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