(韮崎郊外で道迷い 予定を大きくオーバーして青木鉱泉着1時 仮眠)
青木鉱泉で受付を済ませ7時半出発
どんどこ沢から流れる小武川支流を数度、転石伝いに渡り
標識に誘われるままに樹林帯に踏み入ると
いよいよ鳳凰三山への山懐へと導かれる感が強まる
1時間40分後、高みから豪快では無いが
落差は十分な滝を望む崖の上に出た
これから始まる瀑布群を前に変化の無かった山道に
アクセントを付けてくれた この滝の存在感は大きかった
周辺にはレンゲショウマの花が散らばっている
そうだ!無名のこの滝を「浄土の滝」と命名して上げよう
南精進の滝
南精進の滝は未だかと無名滝から登る事、約30分後
滝への分岐点に着いた
左に折れ下り気味に進むと木の間越しに本体の一部が見えた
もう少し近づけないものかと辺りを見回すと
反対側に微かな踏み跡が有った
足元がおぼつかない道を下り大岩を攀じ登ると
期待していたよりも立派な滝が爆音を撒き散らし雪崩落ちている
「身を清め心を慎む」その意の通り
心の隅々まで洗い清められる様な南精進の滝だった
次の鳳凰の滝分岐までは、だらだら登りで重い荷を背負った身には辛く
分岐に辿り着いた時にはヘトヘト状態 だが見ずには帰れない
「案内板に戻らなくても、この先で合流する」と
マジックで付け加えられて有るのを見、道を左にとりもう一踏ん張り頑張る
奥の分岐点にリュックをデポし
アザミがチクチクと痛い道を下ると前方奥に・・・
カメラに納めようと左の岩に移ると今まで見えなかった右側の岩からも
凄まじい勢いで水が噴き出している
滝の落ち口まで行けなかったのは残念だったが飛沫に煙る相対の滝は
幽谷の世界に音を響き渡らせ、その様は鳳凰その物の姿だった
この滝は数年前に見つかったと言う滝で
どんどこ沢では最も美しい滝なのだと言う
白糸の滝 五色の滝
鳳凰の滝を過ぎると道はいよいよ険しくなり
時々立ち止まっては深呼吸をしないと心臓が爆発しそうになってくる
この頃になると下る登山者の姿も見え下りの険しさを嘆いていた
と言う事は厳しい登りが待っていると言う事だ
立ち休みを繰り返し辿り着いた白糸の滝は
下山者で埋まり休む場所さえなかった
(略)
白糸の滝から40分先の五色の滝は落差50mの直瀑で
岩壁を一気に落ちる姿がまことに美しい
どんどこ沢 最後の滝である
慰めの花も無い急登と目隠し状態の登山の中
どんなに、この滝たちが私達の挫折を救ってくれた事か
地図を拡げると鳳凰小屋までは、ほぼ等高線上に登山道が延びていた
「やっと苦しさから逃れられる~」と喜んだものだ
ところが、そうは問屋が卸さない いざ歩を進めると幾らか和らぐものの
登りは続く・・・どこまでも
どのくらい歩いただろうか森を抜け河原に降り立った時
前方の樹林の上に突如、オベリスクが顔を覗かせた
今までの苦しさが一片に吹き飛んだ
道は暫く河原の中だった
太陽が容赦なく照りつけて目がクラクラ仕掛けた頃
「何か臭い (>_<)」
「トイレの匂いだな」
何てことは無い今日の宿泊所「鳳凰小屋」は目の前だったのだ
楽しみにしていたオオビランジがアチラコチラに色を違えて美しい
「お疲れ様!」と迎えてくれた小屋のお兄さんの声を聞き
今日の行動もこれまで・・・力が抜ける想いだった
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鳳凰小屋 新館7000円
宿泊料 500円増しで畳1枚分のスペースが確保できる
布団も先ず先ず
(その為、重い思いをして持ってきたシュラフは無用の長物となったが)
夕食 カレーライス 水が豊富なのが嬉しい
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夕食までの一時
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翌朝も輝かしい程の晴天
小屋の外はシラビソの緑濃く気分爽やかな朝であった
体調も回復している
登山者を見送る小屋のオーナーに挨拶をし5時55分、小屋を出た
標高差368mの登りは朝一番の体には結構きつい
樹林帯を40分ほど急登すると気持ちの良い樺が広がるザレ場に着いた
目の前は緑の世界から花崗岩の白い世界へと一変し
その先に、この目で見たいと思っていたオベリスクが天を衝いている
ザレの斜面を一歩登っては半歩ずり落ちながら登って行くと突然
行く手を大岩に阻まれてしまった
足元ばかりに注意を向けて歩いて来たせいで
前者が間違えたであろうトレースを信じて来てしまったのだった
振り向くと雄さんを先頭に別のパーティが続いている
「あら!悪い事をしちゃったわ」・・・
肩をすぼめる私に変わって雄さんが
「申し訳ありません、間違った道を来てしまって」
すると付いて来た男性が
「いやー、彼女の歩幅が丁度よかったからこのきつい登りも
楽に来られました 急がば廻れです」
なんと優しいのでしょう
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小屋から1時間、終にオベリスクの基部に達した
興奮が一層 高まる
想像していたイメージにピントがピッタリだ
それが嬉しくてならない
続きますので本日はコメントをお休み致します