続き
小屋を後に茶臼岳へ向かう
峰の茶屋の警告板→「この付近は地形の関係から大変 風が強い所です。10月から5月にかけては想像を絶する程の風が吹く事があります。登山者が飛ばされて遭難した事も有りますから十分な注意が必要です。
茶臼山頂間近、あちこちに噴気孔が見られ硫黄臭が鼻を突いた。 「幾つ噴気孔が見つけられますか?」と言った看板が有り、この付近は観光客の為の探索路になっている様だ。 蒸気が噴き出す岩の割れ目に手をかざしてみると結構、熱い。一体、足の下はどうなっているのだろう?
山頂には那須岳神社が祀られている。草木一切よせつけない岩石だらけの頂からの展望の良さは言うまでもないが、何処からも見えていた大倉山、三倉山、流石山のボリューム感は、ここからも目を奪う程の貫録を見せつけている。
を少々戴いたら気持ちが良くなってウトウト。 と・・・頭の直ぐ上で赤ん坊の泣き声。近くにはスカート姿の女性が男性に助けられ危なっかしく岩から岩へ飛び移っている姿が有ったり背広姿の男性がウロウロしていたり・・・ロープウエイが延びているので仕方がないが、それにしてもどうも落ち着かない。
無限地獄
姥ヶ平
眠い目をこすり谷の縁へ移動。後でここが「無限地獄」と知ったのだが激しい噴煙だった。凄い迫力だ。夢中で観ている内に酔いが一気に醒めた。下方には小さな池を持つ姥ヶ平の広がりが有り静と動のその対象がまた良かった。
「説明版より」→「表面が平らな岩を良く見るとジグザグの面白い形の割れ目が入っている物があります。これは岩の小さなヒビに水が浸み込んで冬に凍った為に出来たものと考えられます。」
茶臼山頂直下でクライミング中の二人を発見、双眼鏡で覗くと男性がしっかり女性をロープでキープしていた。未だ若いらしくキャッキャという声が風に乗って流れてくる。これも若さのなせる業。雄さんは羨ましそうに、私は少々ジェラシーを感じながら2人の姿に目を向けていた。
「噴火口の一つ」 硫黄で黄色くなった穴からシュルシュルと音を立てて盛んに噴煙を上げる様はやはり不気味だ。単独の女性が躊躇いも無く穴に近づいたのを見て雄さんも後に続いた。ところが数日後、山名確認をしていた時「有毒ガスを含んでいるので注意」の文字を見つけてしまった。雄さんに話すと「今更言われても遅い、もう帰って来ちゃってるよ」・・・
此処は嘗て硫黄を採取していた跡地
茶臼の北面を巻き幾つかの噴火孔を見ながら牛ヶ首まで下り、ここで最後の休憩を20分程とり文明の利器は敬遠し駐車場へと下った。 5月も後半と言うのに色彩感には乏しかったが実に充足感に満ちた山旅だった。