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たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

思い出に残る山(38)以東岳(大朝日連峰)山形県

2019年08月07日 | 心に残る思い出の山

H8.10月

今日の予定は登山口までなので、またぎの家などを覗いたりしながら三面よりスーパーラインに入る

正面に急峻な鷲頭ヶ山が見えた 登降意欲をそそられるがアップダウンに泣かされそうな山容だ

三面ダムを過ぎると道幅も急に狭くなり大型車が通る度に待たされたりバックさせられたり・・・

おまけに山形側は未舗装と言う事で地図上の近道は思いのほか時間が掛かった

スーパーラインに入って約2時間 漸く大鳥集落に着いた

老夫婦が居たので道を尋ねたが半分も飲み込めない  戸惑う私に奥さんが通訳をしてくれた

「今からじゃ晩なんべぇ」と言うお爺さんに群馬の焼酎を手渡して別れた

今、日本は何処へ行っても同じ景色の展開でしみじみしたものを見つけるには大変な苦労が必要だが

国の訛りと言うものはそれを補ってくれ無条件に遠く山形までやって来た実感を抱かせてくれる

お国訛りは国の宝  その通りである

教えて頂いた突き当りの朝日屋さんを右折し林道をひた走って泡滝ダムに着いた

テントを設営し夕食の支度に取り掛かるころ日暮れがやって来た

食事は村上市のサティで仕入れたタラ、キノコ、大根、白菜、ネギで味噌煮を作る

先ずはそれを魚のツマとし最後に水を加えてウドンを煮込んだ

何時しか頭上に星が瞬き始めていた

寝るには早かったので私達はテントの中で持参した花札で時を過ごした

4時起床 昨夜遅くに降り出した雨も上がり今日は素晴らしい天気で明けた

登山者かキノコ採りか外では早くも歩き始めている人がいる

5時頃になると車の音も大分煩くなってきた

のこのこ起き出すとキノコ採りに来た土地の人が籠を背負って歩いて行った

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先ずは渓谷美を右下に見ながらブナ林に包まれた林道を穏やかに登って行く

トリカブトの花が美しい姿で迎えてくれた 大文字草も群落をなしている 

アジサイの青の何と美しい事か!

歩き始めて1時間、流れに渡したワイヤーの上に板が置かれているだけの吊り橋に出た 冷水沢出合だ

足を置くとガタッゴトッと板が動き思わず腿の後ろが緊張した

  

冷水沢から約30分で七ツ滝沢に掛かる吊り橋を渡ると道はつづら折りの登りに掛かった

展望は得られず、ただひたすら登り一辺倒であるが下から聞こえる沢音

朝日連峰の中でも屈指の美しさを誇ると言うブナ林の中、辛さは無い 

至る所に水が流れていた 枯れる事の無い水場の周辺には艶やかに緑の苔が成長している

「美味い!」  火照った体の中を爽快さが一気に通り抜けていった

やがて樹間に大鳥池が見えて来ると僅かな距離を廻り込んでタキタロウ山荘に到着した

以東小屋の掃除を済ませて降りてきた管理人さんが山頂は今が最高の紅葉で有る事を教えてくれた

齢の頃、雄さんと同じくらいだろうか

私達が差し出した手作りレモネード を片手に以東小屋が清潔で有る事

吊り橋のワイヤーが雪の重みで切れてしまう為、毎年掛け替える事  

それにまつわるエピソードなど話は延々と続く  一たび腰を下ろしたら、すっかり寛いでしまって

50分間は少々休みすぎたかなと思いながらタキタロウ山荘を後にした

体調が付いていかない様だったら山中2泊しても良いかなと思って入山したのだが幸いどちらも問題なさそうだ

大鳥池にはイワナの魚影が良く見える

この池にはこんな伝説が有る 巨大魚「タキタロウ」が住んでいると言うのだ

その大鳥池畔を通り分岐を左に入ると直ぐに急坂となった

高度差770mは覚悟を決めて来ているので気を引き締め呼吸を整えながら一歩一歩・・・頑張れ!

「御坪峰を過ぎれば後はルンルン気分ですよ」

新潟から来たと言うご夫婦の言葉を支えとし徐々に紅く黄色く染まる木々に慰められ

苦しい登りの連続にひたすら耐えた

雄さんは長いドライブの疲れと思い荷物で足取りが重い

左に見えていた三角峰から戸立山の稜線の眩しいほど色鮮やかな紅葉に私は何度も荒い息の中で

「凄いね 綺麗だねぇ」と繰り返し話しかけたが雄さんの反応は今一だ

ここは泣いても笑っても自分の力に頼るのみである

三角峰手前で漸く樹林帯から解放された

先ず以東岳の巨大な山容が視界いっぱいに広がり 小さく以東小屋も確認できる

ここから先は一歩ごとに息を飲む程の景色の連続だ

赤い三角峰、御坪峰斜面の草紅葉 そこから以東岳までは紅葉をアクセントとして深い緑のうねり

足元には出来過ぎではないかと思える様に季節外れのニッコウキスゲ

雲が動くとまたその表情を変える

水場を過ぎれば御坪峰は一登りだ  この辺りハイマツが現れアルペン的な風貌になって来た

マツムシソウが鮮やかな紫色の花びらを震わせている

嘗て私はこんな色鮮やかなマツムシソウを見た事が無い  目に沁みる紫だった

此方の山域は紅葉シーズンにも関わらず行き交う登山者も少なく私達の他に1組のパーティが認められるだけ

自然はたっぷり残っているし標識も最小限に抑えられていると言った人擦れの無さが嬉しい

今日はどうしたのかトイレがバカに近い

「随分、遠くまで縄張りを広げるじゃないか あちこちマーキングしてまるで犬みたいだ」と雄さん 

 

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御坪峰に着くと日本海側から押し寄せてきた雲が湧きあがり、たちまち 全てを飲み込み

たった今、通過して来た三角峰が霧の中に消えてしまった

風が出てきた  気温が低くなって行くのが肌で感じられる  慌ててポンチョを身に纏った

休憩後いよいよ以東小屋に向かって腰を上げる  が、ここからが長かった

それほどきつくは無いのだが体力が無くなって来ている私達にとって10以上も有る騙しのピークは辛く

「何がルンルン気分よ」と文句が出るほどだった

せめて周囲の展望が開けていたら気分的に違うのに追いついた単独の男性も

「次のピークに上がれば小屋が在ると信じて登っているのですがね」と思う事はみな同じだ

もうバテて足に力が入らない  小休止の連続になってしまった

漸く着いた以東岳山頂は真っ白・・・何にもみえない 展望は明日に託して写真も撮らずに先を急ぐ

ガスの中にボヤーッと黒い物が見えた 小屋で有った

心身ともにヨレヨレの疲労困憊状態で私達は小屋のドアを開けたのである

「後から10人くらいのパーティが到着しますから早く寝場所を確保しておいた方がいいですよ」の声に

階段を上がった突き当りのカーテンで仕切られる場所に荷物を置いた

下の管理人さんが仰っていた様に掃除が行き届き本当に気持ちが良い

営業を目的としない小屋は登山者も伸び伸びとし家族的な雰囲気になれる

「どちらから来ましたか?」「△△山はどうですか?」そんな言葉をきっかけに初めて会う者同志

会話の輪が広がって行く

雄さんが小屋から15分ほど下った所に在る水場まで水を汲みに行ってくれた

アチコチで夕食の準備が始まり色々な匂いが部屋に充満すると雄さんは

「まるで居酒屋に来た様だ」と言って水を持って上がって来た その言葉に皆がドッと笑った

後編が有りますので本日もコメントを閉じました