「遭難者」

p45

なぜなら、ごまかさず病気と向き合うということは必要なステップだとしても、それだけで済むものではないからだ。

p46

しあわせの絶頂を過ぎ、病気の苦労が少し後退しはじめたたき、もっと楽になるのかと思ったらそうではなく、そこには別の苦労が入り込んできたかのようだった。それは日常生活の苦労であり、共同住居の人間関係の苦労であり、日々いかに生きるかという苦労、あるいは人間としての苦労といえばいいだろうか。