「’８９年版ベスト・エッセイ集」（日本エッセイスト・クラブ編、文藝春秋）に選ばれた傑作「風来坊、海をプカプカ」から２０年。沖縄の海岸で拾った軽石から始まった研究は、時を重ね、ここに１つのストーリーとなった。
１章 海岸に漂着した軽石
２章 西表海底火山
３章 軽石に関わる用語
４章 火山ガス
５章 軽石の性質と判別法
６章 北海道駒ヶ岳
７章 福徳岡ノ場
８章 西表島群発地震
９章 遺跡から出てくる軽石
１０章 漂流できなかった変わり種材木状軽石
英語では岩石も鉱石も ite（アイト）で終わる。
たとえば、安山岩が andesite （アンデサイト）
鉱物の方解石が calcite （カルサイト）
鉱石鉱物の黄鉄鉱が pyrite （パイタイト）である。
偏西風⇒北太平洋海流⇒カリフォルニア海流⇒貿易風・北赤道海流⇒黒潮⇒黒潮続流
このように太平洋を時計回りに移動する海流は3年で１周するという。
ただ、海流は表面よりもある程度深いところが最も速い。３年というのはそうした速い所であり、海水表面では当然これより遅くなる。
黒潮は湾流と並ぶ、世界最大級の暖流である。
黒潮；日本海流
湾流；メキシコ湾流
この二大暖流はいずれも北半球の大洋西端に沿って北上している。
すなわち、黒潮は太平洋の西部、日本の近くを流れており、湾流は大西洋の西端、北アメリカ大陸の東沖を流れている。いずれも流れが狭くて速い。
このように、大洋の西端を狭まって流れているのは地球が東方向に自転しているためである。これらの暖流は大量の暖かい水を、つまり大量の熱を、北に運搬している。そのため、夏、南寄りの風は海流から多量の湿気を吸収し、これらが陸に向かって吹く。
そのため、日本もアメリカ東岸も気候が似ている。夏は蒸し暑いし、かつて日本が贈ったワシントンの桜は日本と同じようにきれいに花をつける。
黒潮の速さと駆動力
黒潮は幅100ｋｍほどである、時速4ｋｍ以上の速さがあるのは幅30ｋｍと狭い。中心に近いほど流れが速く、時速５～７ｋｍである。
オリンピックの男子1,500ｍの自由形の入賞タイムはほぼ時速６ｋｍなので、ふつうの人が黒潮中心部で流れに逆らって泳ぐことはまずできない。
このように太平洋を大きく循環する巨大な流れは大規模な風によって動かされている。黒潮は地球の自転の結果、全体が西方に押し挟められているので、その分流れも速くなっている。
地震は、大きくても小さくても、まず最初に小さな揺れ、つまり初期微動が来て、次に大きな揺れ、つまり主要動が来る。これは震源から出た波に、スピードが速いＰ波と遅いＳ波があるためである。Ｐ波はスピードがあるが馬力がないのに対し、Ｓ波はＰ波の半分ほどのスピードだが馬力がある。