『 ベッドで寝ながら見る花火 』
撮影者知らず
自分は今、ふと老いという人生の下り坂のどの辺にいるのだろうなんて思う事がある。
何しろ毎年が初めての経験なので。これは個人差があり難しいのだろうがまだ坂の途中なのか、
あるいは既に下り切ってしまったのだろうか。
振り返ると、還暦の祝いをして貰った時のケーキのろうそくの炎の揺らめきが瞼に残っているが、
果たして老いという感慨で見たのか、しかし現実にはそれよりよくぞ今まで無事に何とかやって
来れたなぁという充実感で見ていたような気がする。まだやる意欲も元気も十分にあった。
何にも縛られる事のない、あのめくるめくような自由な生活を暫く過ごした。
やがてご多聞にもれず、何かをやろうという人並みの欲求に駆られた。
様々なことがあるだろうが、私は陶芸と水彩画の教室に入った。もともと好きなことだったが、
先生の手伝いや会の運営のお手伝いそして展覧会も何度も経験して楽しかった。
65歳を迎え公的にも老人になったが、まだまだ頭もクリアー(自分で思っているだけだったかも)
で意欲も行動する体力も十分だった。
70才を迎えると、昔の人の70歳の姿を思い出しては感慨に浸っていたが、それに比べて自分は
心身ともにまだまだ若くて、老いだとか衰えたなんていう感覚はあまりなかったような気がする。
酒は結構飲めたし,はしご酒も出来た。素敵な女性を見れば気にもなった。
しかし元気ではあったが、時々体のあちこちに故障が出始めたようだ。医者通いの日が多くなった。
それでも今までとあまり変わらず、動くこともその体力も、様々なことへの意欲も保っていたと思う。
まぁまぁ充実していた10年間だった。