流動のイイ女

妻子もちと別れ⇒いじめで会社を退職⇒脱無職⇒上司と不倫関係⇒約3年の不倫にピリオド⇒復縁、妊娠⇒未婚の母に

離婚危機①

2007-09-02 | まいと家族
あれは2週間くらい前の日曜日で、携帯に母からメールがきたんだった。父と連絡が取れないと。
なんだそりゃ?と思っていたら、父から着信。
『お母さんから電話きたみたいだけど、何かわかるか?』
もちろん何もわかる訳ない。父は仕事中だったから出れなかったようだ。
数日後、実家に母と二人でいたら、怒りながらこんなことを言われた。
『財布から1万円がなくなった。多分お父さんだと思う』
父は確かに母の財布からお金を拝借することがあった。アタシも目撃したことがある。
だからアタシも父だと思った。
『だけどお父さんはな、取ってないって言うんだ。それが納得いかない』
父はよくその場しのぎの嘘をつく。そばにアタシがいるとなおさら。
昔もお金がなくなって、アタシの前で母は父に詰問していた。金を盗ったのかと。
父は否定していた。するわけないと怒ったりもしていた。
しかし、母がしつこく聞くと父は目をそらして『盗ったよ』と吐き捨てた。
アタシが父を見下すようになるきっかけだった。
なぜ取ったなら最初から言わない?後ろめたいのか?
娘に嫌われたくなかったからか?
父はパチンコをやる。だから金に困るのか。
『お母さんはな、何も盗るなとは言ってない。取ったら取ったって言えばそれでいいんだよ。だけど、盗ったものを盗ってないっていうのが気に入らないんだ』
それはアタシも同感だった。

母は父を見下している。育ちの悪い、手癖の悪い男だと。
うちの父と祖母は確かにいい環境で生活していたわけではないから、姑息にもなるのか。矮小になるのか。
その日はアタシも父の仕業だと思い、母と陰口を叩いていた。
数日後、父にこんなことを言われた。
『お母さんはな、財布から金がなくなったって騒いでる。お父さんが盗ったって言ってくるんだ』
あぁ、パパ。なんてことを言うんだ。盗ったくせに嘘をつかないで。それでアタシが信じると思ってるの?
「だって盗ったでしょ?」なんてもちろん言えなかったし、言わなかった。
前科持ちの言うことなんて誰が信用するか。
父はなおも憤っていた。
『盗るわけがない、お金になんて困ってないのに。なんなんだアイツは。携帯にまで電話してきやがって』
いつものことだ、とスルーしていたんだ。
金の問題なんてまっぴらごめんだった。

そして今日、実家に帰ると父が仏頂面をしていた。
夕食にも手をつけず、不機嫌そうに酒を飲んでいた。
これは夫婦で何かあったと直感で感じた。こういう時のアタシの勘は必ず当たる。
大抵は母のワガママに父が怒ったときだった。母はいつもどおりケロっとしていた。
まるで自分は悪くないとでも言うかのように。
そして明日になればいつもどおりの関係に戻る。そう思っていた。
でも今日は違ったんだ。
2階に上がると父が寝室からアタシを呼んだ。ちょっと来いと。
何かワルイコトしたっけ?となぜか臆した。
父は思いつめた表情でこう切り出した。
『お母さんがまた、財布から1万円がなくなったって騒いだんだ』
またか・・・。
『それでまたお父さん疑われてな、盗ってもいないのに盗っただろ、盗っただろって。家には手癖の悪いやつがいる。そんなに金に困ってるのか。借金でもしてるのかって言われたんだ』
違うの?とは言わなかった。でも2回もわざわざアタシに弁解してくるなんて。
『お父さんは盗ってない。盗ったらお前にこんなこと言わない』
え?盗ったら言わない?じゃぁやっぱり盗ったことあるんじゃん。
『今は仕事で忙しいし、飲みもめったに行かないしツケだってない。金だって銀行に貯金がある。そりゃタバコ代くらいは取ったりするけど、そん時は後からちゃんと言ってる』
でも休みの日はヒマしてるじゃん。パチンコしてるじゃん。負けてるじゃん。だから金を盗ってるんじゃないの?
アタシは絶対に父だと思っていた。
ずっと一点を見つめる父。すごく老けて見えた。

『お父さん、もう疲れた』


最新の画像もっと見る

コメントを投稿