流動のイイ女

妻子もちと別れ⇒いじめで会社を退職⇒脱無職⇒上司と不倫関係⇒約3年の不倫にピリオド⇒復縁、妊娠⇒未婚の母に

歴代のワンコたち

2007-12-05 | まいと家族
物心ついた時から家には犬がいた。
最初に飼った犬はエル。自分が小さかったからかもしれないけど、とても大きくて恐かった。
セントバーナードみたいな犬だった。
庭のブランコに繋がれてた。いつの間にかいなくなってた。

次に飼ったのは、生後間もない名前もない子犬。次の日にはいなくなってた。
お父さんは「あまりにも可愛いから誰かが盗んだ」と言っていた。
200坪の庭があって、その中に4軒貸家があるのに、不法侵入者に誰一人気づかないなんてね。

次はメリー。柴系の雑種のメスだった。
このころは小学生だったからよく覚えている。
うちは基本的に放し飼いだった。
よく飛びついてきて、それが鬱陶しくて野球ボールを顔面にぶつけたことがあった。これは後悔している。
放し飼いだから、うちの小学校までついてきてしまったことが何度かあって、母親がメリーの首輪を直接つかんで引き摺って帰ったのを覚えている。
父はというと、キャンキャン鳴かれるのが嫌らしくて、よく2階のベランダからスリッパを投げつけたり、ある時はリビングから裸足で飛び出して、庭にいたメリーの腹を思い切り蹴りつけた。メリーは吹っ飛んだ。
メリーはどこか見えない場所にいても、名前を叫べば首輪の鈴を鳴らしながら走ってくる可愛い子だった。
ある日道路で車に轢かれてしまい、そのまま貸家の縁の下で子を産んでた。
産まれてきた子は父がみんな橋から下の川へ落として殺してたそうな。
メリーはある日突然いなくなった。
母は、放し飼いだったから保健所に連れて行かれたんだと言ってた。
アタシはそれを信じてた。さっきまで。
でも本当は、本当は鳴き声に辟易した父が遠くの土地へ捨ててきたんだって。さっき母が言った。
耳を疑った。不幸でいなくなってしまった犬が、本当は父が捨ててしまったなんて。
命をなんだと思っているのだろう。
保健所で殺処分も可哀想だと子供心に思っていたが、見知らぬ土地で置き去りにされたメリーは、その後どうなったのだろう。
犬ほど飼い主に従順で、愛情を注いだ分だけこちらのことも愛してくれる生き物はいないのに。
鳴いていたのだって、不十分な散歩のための欲求不満や、水の要求だったのに。
裏切ってしまった。
知らなかった。知らなかったんだよ本当に。
父の神経を疑う。
ごめんねメリー。

最後に飼ったのは、これまた名もない雑種。
先日亡くなってしまった犬。うちに拾われた不幸な犬。
最後まで飼い切ったのはこの子が初めて。
迷い犬だから、世話をしなければ家が潰れるから飼ってたんだって。母。
世話なんてまともにしてなかったのに。
この子は生涯繋がれっぱなしで、父にはよく蹴り飛ばされたり、殴られたり、犬小屋の中に逃げると犬小屋ごと蹴りつけてた。
力で服従させることをよしとしている父は、「お座り」をさせる時も拳を振り上げ、威嚇していた。
アタシは「座って」と言えば座ってくれる。言えば分かってくれる子なのに、力でねじ伏せようとするんだ。
兄は、犬の鳴き声がうるさいからと言って、夜中に口を輪ゴムで閉じてしまった。
これは見知らぬ誰かが犯した虐待だと、家で騒ぎになった。
当の犯人が身内なんて笑っちゃうね。
ワンコの口にはゴムの跡が黒く残った。
兄は父の背中を見て育ってきたから、少し歪んでいる。
犬の足を、犬がやめてと鳴くまで踏み続けたりしていた。それで薄笑いを浮かべる兄。何が楽しいのか分からない。
アタシは兄が嫌いだった。そして今でも。
父の怠慢で亡くなってしまった。まだ死ぬには早すぎたのに。
父も母も寿命だと言ってきかない。
ワンコは最後の瞬間を迎える時、幸せだっただろうか。
あのこの目には何が映っただろうか。
走馬灯のように思い出す記憶は楽しかったものだろうか。孤独だっただろうか。
どうして暖かい部屋へ入れてやらなかったのか。後悔だけがつのる。
あの子が動かなくなったあの日からアタシは両親につっかかってしまう。
特に父とは口もききたくないし顔もみたくない。
腹が立つことに、うちの両親は犬が死んでからアタシに金を渡そうとする。
母は2万、父は1万。
なぜそんなことをするのだろう。
犬の世話代とか言っていた。犬はアタシが飼っていたんじゃない、家族で飼っていたんだと言った。
アタシがほしかったのは金なんかじゃないのに。
やっぱりうちの親は金、金、金なんだ。
母は金に固執するから、顔を合わせるたびに1000回は「金」と言う。
醜い母。大嫌い。
金、金、金、金、金!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
こうして見ると、アタシを含めてこの家は、生き物を飼う資格がないとつくづく思った。
昔は猫も飼っていたらしい。「まり」という名の白い長毛種。シャムみたいなイメージ。
でもアタシが産まれたから捨てたんだって。
そんな母はまた犬を飼いたいとぬかす。冗談じゃない。
これ以上犠牲者を増やしてたまるか。
母も父も病んでいる。
こんな両親のもとに産まれて後悔してるよ。
早く死にたい。涙が止まらない。
アタシは浸っているだけなのだろうか。
ワンコたち、迎えにきておくれ。
向こうでアタシを噛み殺してもいいから。

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