人を赦すということ

今日もゴハンは食べれなかった。
ゴハンの臭いをかぐだけで吐き気がする。つわりかよ！みたいな。
仕事中、ふと考えが浮かんだ。前から思ってはいたことだけど。

やはり世間から見て、アタシとダーリン、どちらが悪いかとなればアタシの方になる。
知らなかったとは言え、彼の周りに迷惑をかけてしまった。まだだけど。
それなのにアタシはちっぽけなプライドと嫉妬心から彼を責めてしまった。
お門違いもいいところだよね。
だから、彼のした事を憎むことではなく、受け入れようと思ったの。
赦す、と書いただけど、本当に赦してもらうのはアタシの方だよね。
そう考えたら、急に気持ちが楽になって、いきなりお腹が減ってきたんだ。
そしてお菓子を軽く口に入れたの。
前はお菓子すら口に入れても飲み込めなかったけど、なぜか楽に、普通に食べれたんだ。
そのとき思ったの。コレでいいんだって。
そして昼休みになったけど、前よりはだいぶ食べれるようにもなった。

思いついたらすぐ行動にうつしたくなる癖のあるアタシは、すぐにダーリンに謝罪のメールを送ったの。

「おはよう。あれから考えたんだけど、本当に悪いのはアタシの方だった。君は間違ってはいなかったよ。感情的になって君を責めてしまってごめんなさい」

今さらこんなメールを送ってもダーリンから返事がくるかどうかなんて分からないけど、こうした方がいいと思った。
コレを見てダーリンがどう思うのか分からないけど、こうした方がいいと思った。
かなり自己満足な行動だけど、コレでアタシの気持ちが楽になるならコレでよかったと思う。
また都合よく扱われるかもしれないと思うけど、ソレはソレ。
でももう身体の関係は持たない。これは決めた。豆腐だけど。

春分の日にお墓参りに行ったとき、アタシは珍しく墓石の掃除をしたの。ってか初めて掃除した。
簡単に雑巾で墓石を拭いただけだったけど、自分なりに先祖を大事にしてみたの。
そんで、手をあわせてお願いしたの。
今度はちゃんとした恋愛ができますように。
真面目に人生を送れますように。
アタシの身体がよくなりますように。
って。
その結果がコレ。
ダーリンとお別れ。
セフレとも別れて、ダーリンとも別れた。
コレで晴れて一人の女になった気がする。
ご先祖様が悪い道からアタシを救ってくれた。そんな気がする。
たかだか墓石を拭いただけだけど、その成果だと信じたい。

返事はこない。
コレでよかったんだ。