NEETな日常

<Not in Education,Employment or Training>

イラクの現況

2004-12-04 19:01:32 | イラク関連
フリーランスジャーナリストの志葉玲さんのブログ新イラク取材日記にイラク人民主化活動家達のリーダーの一人であるアブデル=アミール・アル・リカービさんのメッセージが転載されていました。イラクの現状を伝える貴重な証言だと思いましたので、こちらにも転載しておきます。転送元・翻訳はグローバル・ウォッチのコリン・コバヤシさんだそうです。


グローバル・ウォッチ@コリン・コバヤシです。
CONDI(イラク民主化国民潮流)より、今日の自衛隊撤退要求集会に向かって、メッセージが出されました。複数のMLなどにBCCにて送ります。重複ご容赦下さい。
以下に掲載します。転載可です。
____________________

イラクの現況を御伝えしましょう。

ファルージャ攻撃の実相は何か。

 ファルージャはバグダッドから65キロ西にいった、砂漠が始まる入り口の人口30万ばかりの小都市です。ファルージャは多少の放牧業と公務、とくに若者が服務している軍隊以外の仕事がない町でした。若い兵士でよく教育されたものは軍人学校に行き,士官となるのです。町はいくつかの小さな集落に囲まれており、それらはファルージャと生活面で密接な関係を持ち、とくに、家族関係を持っています。すべての住民は2-3の大きな部族に属しており、以前は遊牧をしたりしていましたが、その地域のバディア・アス=シャム砂漠の反対側のヨルダンやシリアと密輸入を営んでいたのです。それゆえ、シリアやヨルダンの部族とたいへんつながりが深く、それは部族ルーツの延長とも言えるのです。ということは,同時にこの地域では、部族的な連帯感が非常に強いし、サダム・フセイン政権の石油の思いがけない賜物によって,福祉国家となったずっと以前のことです。このように前置きを長く申し上げるのは、ファルージャがどのような町か理解していただきたいからです。サダム・フセインは資源の欠乏を非常にうまく利用し、部族的な側面では、この地域を軍への志願者たちの宝庫にし,また体制の基礎に利用したのです。
そして、野望を持ったこの地域の士官の一群が現れたときには、厳しい弾圧を加えたこともあります。ですから、この町を旧体制の根城だという説は、ひとりのザルカウィなるものが、低い鼻でこの地域の大きな部族を率いている,という説と同様に、根拠が薄いのです。たしかに、ファルージャには、経験を積んだ士官、兵士が沢山おり、部族の絆が強いのです。こうした事実によって、アメリカ軍に対して,抵抗する能力と意志、そしてイラク人以外のある程度の数のアラブの戦士がいることを説明できるのです。しかし、あくまでもそれだけのことです。

 アメリカ軍はファルージャに対して、常軌を逸脱した大きな攻撃を仕掛けました。大半が3階建てのレンガ作りの家で構成されているこの小さな町は砂漠の真ん中にあるのです。アメリカ軍は、この攻撃を予定通りに行いました。それはイラク民衆全体を恐怖に陥れるのを目的とする戦略なのです。ファルージャにおいて,言語同断な武力鎮圧を行い,アメリカ合州国は、イラクの残りの部分すべてが降参して、アメリカのプレザンスが打ち勝つことのできない宿命として受け入れることを期待しているのです。これこそが、殺戮するための意志が実行されたファルージャの真実です。公式にはイラク政府は2085名の死者と1600名の捕虜をあげていますが、イギリスの情報は犠牲者の85%が民間人であると伝えています。「公式には」、アラブの戦士は前夜に逃げ出しており、そこにはいなかったことになっています。今、アメリカ軍は彼らを捜して、モスル、マフムーディイヤ、サマッラ,そしてバッソラなど、南部でも追求しています。迷子になった犬や猫が、住民の死体、男、女,子供の屍骸を食べ歩いている、というのが真実です。民間支援や医療支援が町に入ることは、故意に禁止し、市内に配達することを無限に遅れさせているのです。テレビで放映された人のみならず,複数の負傷者たちが故意に殺害されました。このような惨さは計算済みだというべきでしょう。軍事行為の規制される限界はなく、やり放題なのです。すべてが屈辱を受け、アメリカ軍によって寺院は破壊され,荒らされ、そこを兵士の休憩場所にしているのです(軍靴を履いた兵士たちが武器を持って寝ているアメリカ兵たちの写真をすでにテレビでみたことでしょう)。虐殺と侮辱、恐怖が、予防的、永続的戦争の武器です。「我々と一緒でないものたちすべては我々の敵である。我々に反対するものはどのような運命が待ち受けているか知るべきだ。死か、さもなくば逮捕だ」と、ファルージャ作戦の始めに、バグダッドで、アメリカの高官が表明しています。


抵抗運動の現状は?

 数ヶ月前は,シーア派の聖都ナジャフが攻撃されていました。明日は、ファルージャと同じ虐殺がイラクの他の都市でも見いだされることでしょう。イラク人民が服従するのを拒否する限り、抵抗運動は移動しつつ、あちこちで起こるでしょう。そして弾圧も巡回しながら行われるでしょう。テロル(激しい恐怖)は、イラクのように占領され略奪された国を平和にすることはできません。提案されたもう一つの政治は、国全体のコンセンサスも得られない傀儡政権の受容でした。この政府は、選挙という政治的なプロセスを開始したいと言いつつ、非常事態宣言を発令しているのです。そのうえ、これに参加することを拒否することは、戦争行為と同じだと見なしているのです。以上の名目の元に、また政府のいう<政治的なプロセス>に無理矢理参加させるために、ナジャフで、ムクタダ・サドルに対する作戦を行ったのです。しかも、立候補と選挙の方法は、すべて封印され、事前に形が整えられ、つまり偽造されています。
 この10日間くらいの間に起こったあらゆることにも関わらず、イラク人民は押しつぶされることもなく,無気力状態に陥ってもいません。イラクの抵抗運動は、とりわけ、占領と傀儡たちに対する一般化した民衆的な拒否の現れです。抵抗は増幅しており、シーア派であれ、スンナ派であれ非常に多様なイスラム教徒の小グループに属しているものから、バアス党(必ずしもすべてが旧政権に忠実なものばかりではない)関係から、偶然的な関係で地域的に立ち上がった無数のグループがあります。抵抗運動は,始まったばかりであり、統一的な組織体系はまだできておらず、戦略は明確化されていません。それゆえ、現場で起こることをすべて総合的に把握できてないのですが、統一的な抵抗戦線と政治意識を作る必要性をみな感じています。というのは、アメリカ軍を相手に、抵抗状況が爆発的に発生している事態が止まないとするなら、質的転換の緊急な必要性も感じており,そのための努力をしている最中です。


アラウイ政権について

 現在のイラク政府は、間違いなく傀儡政権で,アメリカのゲームを演じているのです。彼らのアメリカに役立つ作業を行っている。占領者によって作られた、あるいは協力する現場の政権なく占領することなど,今まであったためしはありません。サイゴン政権なくして、アメリカはヴェトナムに介入したでしょうか。これは主権を持った独立国家となるための<中間的>な、あるいは<過渡期の>政府ではありません。これらの言葉によってアメリカ政府が意図しているものは、現状をより安定的に、より正当化するためです。これはページをめくって全く新しいものを作り出すのではなくて,現在ある状況を強固にすることだけが意図されているのです。もし,選挙があるなら,そのことが目的です。選挙は、恐らくあちこちで勃発する抵抗運動で、延期され,実行することはできないでしょう。もくろまれている選挙は<民主的に>占領を主題にしているからです。恐怖を引き起こす攻撃は、イラク人たちに、もう希望はないだと説得しようとしているのです。それゆえ、今、ファルージャで、このようなやり方で虐殺があったのです。
しかし,それはイラク人が望んでいることではないし,満足できることでもありません。8月にあったベイルートでの憲法制定会議準備会議はイラクのあらゆる潮流の代表者たち350名が集まり、憲法制定会議設立の必要性を主張し、この会議こそが政治的プロセスを行うのであって,傀儡政権ではないことを確認しました。憲法制定会議は,一つの政党ではありません。また複数政党の戦線でもなく、これは、多くの貧困と独裁政治、長い戦争と、最後には占領に取って代わられた禁輸処置の後、イラクの政治生活に初めて生まれるはずの基礎的な議会なのです。この会議を支持する署名運動が現在、全国で行われており、この憲法制定議会設立への要望を国際機関に提出し、イラク人の意志を考慮するように、また憲法制定会議実現を支援するように要請する予定です。多くの民衆的運動は、私たちのオルタナティヴな提案を支持するでしょう。


最後に日本の皆さんに肝心なことを申し上げましょう。

私たちは、イラクの領土における自衛隊のプレザンスは戦争行為にあたることを、またこのプレザンスは占領に加担している行為であるとはっきり言いましょう。それは、昨年派遣され,現在駐留し、これから、派遣延長することを考えている現時点において、明らかなことです。暴力行為や、侵略行為、攻撃や虐殺をしていないとしても、このプレザンスの意味は一向に変わりません。というのも、自衛隊が何の攻撃を受けないと保障するものは,何もないからです。自衛隊が配置されている地方が,いつ何時、攻撃が発生するかも分からず,もしそれが起これば、自衛隊は余儀なくその動きに関与せざるを得なくなるからです。いずれにせよ、イラクにおける皆さんの国の軍事的プレザンスのせいで、日本がイラクに敵意を抱いていると解釈されているのです。日本の民間人は、彼らが政府と関係有る無しに関わらず、時には政府に反対の立場であろうが、拉致され、幽閉され、時には殺されるといったように、イラク人から敵意を持って扱われています。私たちは、常に、これらの行為を厳格に非難し、拒否してきました。残念ながら、私たちCONDIは,いつもこれらの日本の民間人をすべて救い出すことがきませんでした。彼らの苦しみと彼らの喪失は悲劇であります。イラクにおける日本の軍事的プレザンスとそれを決定した日本政府に責任がありますが、しかし、これらの犯罪の重みは、イラク人民の肩に、我々イラク人の意識にのしかかってきており、私たちは二重に苦しむのです。すなわち、占領行為とその行為がもたらすいくつかの結果です。日本の兵士たちが,宿営地に隔離されて何もしていないのなら、なぜ,そこにいるのでしょうか。アメリカ政権を喜ばすためなのでしょうか。日本はそれほどまでに、アメリカに服従しているのでしょうか。イラク社会にたいして、人道支援をおこなうために、私たちに報道されているように、水道工事や病院や学校建設をしつつあるというのでしょうか。もしそうなら、軍隊である必要性はありません。2003年12月,私がCONDIのスポークスマンとして日本を訪れたとき、日本政府に提案したように、友情と連帯に基づいた日本の民間のプレザンスこそが、必要なのです。
今、日本の軍隊はイラクから立ち去るべきです。自衛隊の派遣期間の更新をしてはなりません。

アブデル=アミール・アル・リカービ
(イラク民主的国民潮流)

大野防衛庁長官、サマワに出発

2004-12-04 18:09:22 | イラク関連
またまた政治屋の皆さんによるパフォーマンスが始まりました。
自衛隊をイラクに派遣するかどうかを決めるさいには公明党の神崎代表がサマワを訪れていたのを覚えているでしょうか。背広の上にぶあつい防弾チョッキを着込んだ姿はとても滑稽でした。帰国後には「サマワは安全であるという印象を持ちました」などとぬかしていましたが、滞在時間はわずかに三時間でしかも周囲を自衛隊員に囲まれてろくに町を見もしないで、一体何がわかったというのでしょうか。
今回の防衛庁長官のサマワ訪問は自衛隊の派遣延長をにらんでのパフォーマンスであることは明らかですが、今回はさすがに三時間で逃げ帰るわけにも行かないようですが、視察の目的は自衛隊の活動を観ることにあるらしいので、またサマワの町には出かけないのでしょう。
自衛隊のサマワ駐留は米英軍を核とするイラク占領軍の一端を担う行為です。世界の国々がイラクは兵に疑問を持ち、軍隊を撤退させていく中、なぜ戦争の放棄をうたう憲法を持つ日本がサマワ駐留を続けるのか。日本政府には引き際を誤って泥沼に落ち込んでいくきっかけになったシベリア出兵の反省はないのでしょうか。

軍隊の駐留が、取引の材料として、現地に住む人々のあずかり知らぬところで決定される。これは著しい主権蹂躪であり、現地住民の人権を侵す犯罪行為であるといえます。
巨大な米軍基地を押し付けられている沖縄が抱えているのと問題と同じ事を、自衛隊がイラクのサマワで行っているのです。
自衛隊派遣に賛成するすべての人に告げる。日本人なら恥を知れ。



ラムズフェルド訴追要請

2004-12-04 01:03:36 | イラク関連
Falluja, April 2004 - the bookに、米国憲法権利センターがドイツ連邦検察に、アブグレイブ拷問をめぐりラムズフェルド等についての告発状を提出したとの記事がありました。原文に「できるだけ広く転送・転載を」とありましたので、転載します。また、日本語訳はこちらの記事のものです。詳細もそちらを参照してください。


ラムズフェルド訴追要求
原文

ドイツ連邦検察に、ラムズフェルド及び関連する米国政府高官をアブ・グレイブの戦争犯罪で調査するよう求める。

憲法権利センター(CCR)と米軍拘留所で拷問を受けた4人のイラク人は、ドイツ連邦検察庁に、アブ・グレイブ拘留所をはじめとするイラクの各所で受けた虐待をめぐって、米国の文民・軍司令官に対する告発状を提出した。

我々は、ドイツの検察に調査を開始するよう求めている。米国政府は戦争犯罪の責任についてこれらの高官を調査する独立のプロセスを開始する意志をもたず、米国は国際刑事裁判所に参加することを拒否しているため、CCRとイラク人犠牲者たちは、最後の手段として、告発状をドイツの法廷に提出した。被告の何人かは、ドイツにいるからである。

被告人には、ドナルド・H・ラムズフェルド米国国防長官、元CIA長官ジョージ・テネット、ウォルター・ウォジャコフスキー中将、ジャニス・カルピンスキー准将、ジェリー・L・フィラバウム中佐、トマス・M・パッパス大佐、スティーブン・L・ジョーダン中佐、ジェフリー・ミラー少将、情報担当国防次官スティーブン・カムボーンが含まれている。

ドイツ法では、ドイツの法廷が、アブグレイブで行われたような、殺害、拷問、残酷で非人間的な取り扱い、強制移送、性的強制行為などを訴追できることになっている。拷問の写真と流出した「拷問メモ」は世界の目に触れた----我々は、他の司法制度が機能しなかったときに必要な手だてを取っているのであり、行われた恥ずべき虐待について命令系統の上層部まで関係者の責任を問うことを求めている。

どうか、我々の企てに賛同して下さい。調査を開始するかどうかの決定権はドイツ検察官にあります。皆さんからの意見が届き、世界中の人々がこの企てを支持していると検察官が知ることが重要です。こちらから手紙を送って下さい。

このリンクで飛べないときには、
http://www.ccr-ny.org/v2/whatsnew/action/actionAlert2.asp
をブラウザにコピペして下さい。さらに詳しい情報はCCRのウェブサイトをご覧下さい。

また、できるだけ広く転送・転載をお願いいたします。

マイケル・ラザー
憲法権利センター
センター長