NEETな日常

<Not in Education,Employment or Training>

東京国際アニメフェア2005

2005-04-24 21:22:34 | 雑記
今月2日、東京国際アニメフェア2005において、東京アニメアワードの発表が行われました。
ニュースとしてはちょっとネタの鮮度が落ちる気もしますが、アニメでODAを、などどいう話もありますので、取り上げたいと思います。
受賞作品は以下。

<アニメーション オブ ザ イヤー>
ハウルの動く城

<テレビ部門>優秀作品賞
巌窟王
ケロロ軍曹
ふたりはプリキュア

<劇場映画部門>優秀作品賞
INNOCENCE
STEAM BOY

<OVA部門>優秀作品賞
トップをねらえ2!
「アニメーション制作進行 くろみちゃん」
日本のアニメは私が作る!2


まず、<アニメーション オブ ザ イヤー>ですが、スタジオジブリの「ハウルの動く城」が受賞しています。良くも悪くも、ジブリ作品は出ればそれなりにヒットするので、順当なところでしょう。
ちなみに、
監督賞に宮崎駿監督、声優賞にソフィを演じた倍賞千恵子、音楽賞にはジブリ映画に欠かせない久石譲がノミネートされています。スタジオジブリの強さを感じると共に、声優賞に倍賞千恵子がはいっているのは、審査基準に疑問を感じます。お芝居と声だけの演技では、やはりだいぶ違いがあると思いますし、プロの声優さんを差し置いて、倍賞千恵子がはいってくるのは、なんだか納得いきません。実際、ソフィの声も変な感じでしたし。

<テレビ部門>では優秀作品賞に三作品がノミネートされました。そのうち、「巌窟王」はアレクサンドル・デュマの「巌窟王」を原作にした近未来物。深夜2時12分からの放映でしたので、ご覧になっていない方も多いのではないかと思います。
「ケロロ軍曹」は吉崎観音原作の漫画をアニメ化した作品。土曜日の朝10時から放送されていましたが、二年目に入る今年度から金曜午後六時のゴールデンタイムに進出しました。
「ふたりはプリキュア」は東映がおくる女の子ふたり組みを主人公にした「ヒーロー物」のアニメ。日曜日朝8時半から放映されていて、この作品も放送二年目にはいっています。
「巌窟王」は放映時間が深夜ということからもわかるとうり、子供向けのアニメではなく、アニメという表現形式を借りた文学作品に仕上がっていたと思います。原作を読まれている方はご存知のとおり、エドモン・ダンテスという男の復讐劇なわけですが、それをエドモンの側からではなく、復讐の標的となるアルベールという一青年の視点から描き出しているところが面白かったです。映像的にも実験的な手法を多用しており、たんなるジャパ二メーションの枠の中に収められる作品ではないと思います。
「ハウルの動く城」が、ジャパ二メーションを代表して海外に輸出される主力商品だとすれば、「巌窟王」のような作品は、国内の目の肥えた視聴者に挑戦する職人芸であると言うことができるかもしれません。この作品が海外で受け入れられるかどうかはわかりませんが、こうした作品が生み出されるのが、日本アニメ界の真の価値なのではないかと思います。
日本アニメが海外でも受け入れられるのは、絵柄の綺麗さや表面的なストーリーの問題ではないでしょう。日本のアニメ製作者がアニメを子供向けの娯楽作品だとしか考えていないのであれば、決してここまで発展することはなかったでしょう。
アニメという表現形式を借りて、自らの主張やテーマを作品化していく。そうした作業を真剣に行う伝統があればこそ、ジャパ二メーションは世界を席巻するに至ったのです。
その意味で、手塚治虫の存在は、非常に大きなものであったと認めざるをえません。
初期の宮崎監督の作品にも、そうした魅力があったと思うのですが、ここ数年のスタジオジブリの作品にはそれが感じられません。初期作品にあったテーマやメッセージ性がステレオタイプ化して、非常に陳腐なものになってしまっているように感じます。

長くなってきましたので、続きはまたの機会に。

最後一言。
アニメや漫画を「サブカルチャー」などとよんで、一段低い位置に置くような「文化人」を、わたしは信用しません。

唐代留学生の墓誌

2005-04-16 14:40:44 | 雑記
昨年、中国の西安で日本人留学生「井真成」の墓誌が発見されました。
この「井真成」は阿倍仲麻呂たちと同時期に大陸に渡った人ではないかといわれています。
今年一月に専修大学主催で市民シンポジウムが開かれ、わたしも参加してきました。
西安からも中国人の研究者の方が招かれ、非常に面白いシンポジウムでした。
その「井真成」の墓誌が、今年の夏に日本に来るかもしれないということです。
まだ決定ではないようですが、もし中国側の調整がうまくいけば、東京、大阪、奈良、福岡などで展示されるということです。

今月の初めごろから中国各地で抗日デモが行われています。
日中関係は戦後最悪とまでいわれるようになってきました。
そうした時期に約1200年前に大陸に渡って客死した日本人留学生の墓誌が日本に里帰りするというのは、関係修復のきっかけになるかもしれません。
抗日デモ隊は日本の歴史認識などを問題にしているようですが、歴史的に見れば大陸と日本列島、
朝鮮半島は複雑に絡み合いながら発展してきました。
いまのように、中国、朝鮮、韓国、日本などというような「国」にわかれ、明確な国境線が引かれたのは近代以降のこと、つまりまだ100年程度しかたっていません。
1000年、あるいは2000年以上にわたる大陸と列島の歴史をかんがみれば、昨今の騒動などはとるにたらないものです。
正確な歴史認識というものは、けっしてここ数年、数十年の歴史を見るだけではないでしょう。
数百年、数千年の歴史をくぐりぬけてきて、いまのわれわれが存在するのです。

そうした大きな歴史の流れの中で、もう一度日中関係をとらえなおしてみることが、日本と中国双方に必要なのではないかと思います。

北京で反日デモ

2005-04-09 17:46:20 | 時事寸評
先週から四川省の成都や広東省のシンセンなどでイトーヨーカ堂が襲われたりしていましたが、ついに北京でも反日デモが行われました。
わたしの知り合いがデモ隊の通り道になっていた北京大学にいるので、もしかしたら写真でもとってるかもしれない思って連絡をとってみたところ「寝てた」とのことでした。
まったくつかえないやつです。
いくら土曜日とはいえ、学生の分際で昼過ぎまで寝ているとは。
しかも、わたしがデモ隊のことを話すまで、全然知らなかったと言います。
デモの起こっている現地にいるやつよりも、日本でニュース見てるほうが情報が早いというのはどういうわけでしょう。
まあ、デモだとか暴動だとかいうのは、渦中にいる人よりも、外にいて傍観している人たちのほうが大騒ぎをするものかもしれませんね。

ところで、今回のデモは日本の国連安保理入り反対と、教科書問題に抗議する目的で行われたようです。
参加者は中国人だけではなく、韓国人もたくさん混ざっていたようで、「独島は韓国のものだ」とか書かれたプラカードなどもあったそうです。
韓国も歴史問題にはうるさい国ですが、歴史的に見れば「大韓民国」なんていうのはアメリカの傀儡政権としてつくられ、80年代後半まで戒厳令のしかれていた軍事国家だというゆがんだ歴史を持った国なわけですが、そういうことはちゃんとおしえているのでしょうか。
もし韓国人が、自国のそういう歴史を直視したならば「大韓民国」なんて国名、恥ずかしくて使えないと思うのですが。
それは日本も同じで、日の丸・君が代を無批判に受け入れてる人は、顔に太極旗をペイントして、「てーはみんぐく」と叫んでる人と同レベルですね。
フランスやアメリカなどの先進国の国旗、国家制定の歴外と比べれば、日本のそれはあまりにもお粗末だというよりほかにありません。
「法律で決められていることだから」とか言う人もたくさんいますが、そういう人たちに限って、違法コピーや、違法ダウンロード、交通法規の無視などをしているのですから、油断がなりません。

それはともかく、北京のデモでは日本製品不買運動を呼びかけるスローガンなどもあったようですが、そんなことして困るのは中国の人なんですけどね。
中国に進出した日本企業は現地でたくさんの工場を作っています。そこに雇われているのはもちろん中国人です。
日本企業の中国工場は農村の余剰人口の大切な受け皿のひとつになっています。
もし日本製品の不買運動なんかやって、それが万一うまくいってしまって、日本企業が中国から撤退するようなことにでもなったら、工場で働いている人たちはどうすればいいのでしょうか。
中国企業には彼らを受け入れるだけの余裕などはありません。
そうした「中国人同胞」の現実を考えもせず、ただむやみに日本製品不買を叫ぶだけでは、無責任だと言うより他はないでしょう。
確かに、デモが起こっている成都やシンセン、北京などは大都市で、企業の工場などはありません。北京でデモに参加しているのも学生などの若者が中心で、外国企業の工場で働かざるをえない農村出身者の苦労など、わからないのかもしれません。
そんなことでは、せっかくの「愛国」も、かえって反対の結果をもたらすのではないでしょうか。