現役ホームレスの方が運営しているblogをみつけました。
ミッドナイト ホームレス ブルー Plus Oneさんです。
プロフィールによれば、管理人の武州無宿・健次郎さんは2001年12月から路上生活をはじめ、現在ではネットカフェからblogを更新しているという事でした。
健次郎さんのようにネットを使って発信しているホームレスの方を「ITホームレス」と呼び、欧米では結構存在するらしいですが、日本ではとても珍しいのではないかと思います。
健次郎さんはご自身がホームレスなので、ホームレスの視点から見たホームレス問題を取り扱っておられ、支援者などのボランティアや役人などとは異なる主張をされておられて、非常に興味深いです。
とくにホームレスを「失業系、不良系、退却系、厭世系」の4タイプにわけ、それぞれ考察を加えているのですが、これはそのままニートにも応用できるのではないかと思います。
小杉礼子さんもニートを4種類に類型化してますが、それよりも健次郎さんの分け方のほうが実情に合っているような気がします。以下に両者のタイプわけを挙げて比較してみましょう。
健次郎説
失業系
仕事あるいは住居(住民票)がないだけのジョブレス・ハウスレスタイプ。ほとんどはふつうのまじめな人だ。職業訓練が必要なケースも含め、基本的には仕事または住居(住民票)があれば社会復帰が可能なケース。仕事の斡旋および住居(住民票)の確保、必要に応じて職業訓練で対応する。野宿が長期化する場合、多かれ少なかれ不良化、または退却化すると思われる。
不良系
ある程度ホームレス生活に馴染んでしまい、開き直って社会的なモラルから逸脱しているタイプ。やんちゃで、酒、ギャンブルなどに溺れているケースも多く、昼間から酒を飲んで騒いでいたり、通行人をからかったりする者も目立つ。陽気で明るい者が多いがしたたかでズル賢く、ときに犯罪に手を染めることもあり、うかつに気の許せない相手でもある。大半は仲間同士でコミュニティを作っており、活動も精力的だ。矯正的な対応もやむを得ないだろう。
退却系
意欲と気力が減退している抑うつタイプ。職業的能力うんぬん以前に、自信喪失や不安、その他の主に心理的な問題のために意欲・気力が減退し、ゆえに社会復帰に向かって活動できないケース。ホームレス生活に於けるフラストレーション状況下での一時的な退却反応をはじめ、アパシー(退却神経症)やうつ病の可能性もある。治療的に対応。
厭世系
世の中に嫌気がさしちゃった世捨て人タイプ。いわゆる好きでホームレスをやっているケース。社会復帰する意思はない。「自由がいちばんだ」。基本は放っとけ対応だが、うつ病などの可能性があれば治療的な対応が必要。
小杉礼子説
ヤンキー型
反社会的で享楽的。「今が楽しければいい」というタイプ
ひきこもり型
社会との関係を築けず、こもってしまうタイプ
立ちすくみ型
就職を前に考え込んでしまい、行き詰ってしまうタイプ
つまずき型
いったんは就職したものの早々に辞め、自信を喪失したタイプ
こうして比べてみると小杉説は分け方の基準があいまいで、ひきこもり型とたちすくみ型、つまずき型の違いは、どこで挫折したかだけであって、質的な違いは明確ではありません。それにたいして健次郎説は質的差異をよく捉えていると思います。
健次郎説に従えば、以前にご紹介した「ニートで暇すぎて頭にきたからネトラジやる」の名無しのニートさんは失業系、「働いたら負けかなと思ってる」のフレーズで一世を風靡したニート君は不良系といったところでしょうか。
就業意識のある人は厳密にはNEETにはふくまないようですが、日本語の「ニート」は、ゆるい失業者も含んでいると思います。そして、こうした失業系ニートが、時間がたてば不良系や退却系になっていくのも、そのとおりだと思います。
この他に、メディアでは取り上げられない退却系や厭世系のニートがいると思うのですが、それについては今後の考察に任せたいと思います。
ちなみに、四つのタイプの中で一番目立つのが不良系で、一般的にいう「ホームレス対策」は、この不良系を対象としているとのことです。ホームレスの中でもマイナーな退却系や厭世系には、ほとんど支援の手は伸びてこないのですが、実は早急に支援が必要なのはこの退却系と厭世系だという意見ですが、ここらへんもニート対策の問題点とよくにていると思います。
ニート問題でも、「ニート君」のような不良系ばかりがクローズアップされ、その対策も「若者自立塾」とか就職支援とか、なんだか偏ったものになってしまっています。
なんども言っていることですが、ニート問題を考える場合に、ニートだけを取り出して単独に対策を講じようとしてもまったくの無意味なのです。社会問題の一つとしてニート問題を取り扱う観点から出発しなければ、有効な対策が生まれるはずもありません。ホームレス問題についても同じことが言えるでしょう。
現代社会の抱える問題を考える場合、すべての物事はつながっているのだ、という認識をもたなければはじまらないでしょう。政策担当者に欠如しているのは、まさにこの認識なのです。各省庁各部門間に横の連携がないままに、ばらばらに「対策」が行われているのは時間の無駄、金の無駄、人材の無駄といわざるを得ません。
政府のとる対策が、往々にして的外れなものになってしまうのは、彼らが本物のホームレスやニートに向き合おうとせず、観念の中のホームレスやニートを相手にしているからというのも理由の一つだと思います。こうした状況を打破するためには、健次郎さんのようなITホームレスがネット上でどんどん発言していく事が必要なのではないかと思います。
その支援事業の一環として、ハローワークのパソコンからブログの開設とアップデートが行えるようにしたらよいと思うのですが、いかがでしょうか。
ミッドナイト ホームレス ブルー Plus Oneさんです。
プロフィールによれば、管理人の武州無宿・健次郎さんは2001年12月から路上生活をはじめ、現在ではネットカフェからblogを更新しているという事でした。
健次郎さんのようにネットを使って発信しているホームレスの方を「ITホームレス」と呼び、欧米では結構存在するらしいですが、日本ではとても珍しいのではないかと思います。
健次郎さんはご自身がホームレスなので、ホームレスの視点から見たホームレス問題を取り扱っておられ、支援者などのボランティアや役人などとは異なる主張をされておられて、非常に興味深いです。
とくにホームレスを「失業系、不良系、退却系、厭世系」の4タイプにわけ、それぞれ考察を加えているのですが、これはそのままニートにも応用できるのではないかと思います。
小杉礼子さんもニートを4種類に類型化してますが、それよりも健次郎さんの分け方のほうが実情に合っているような気がします。以下に両者のタイプわけを挙げて比較してみましょう。
健次郎説
失業系
仕事あるいは住居(住民票)がないだけのジョブレス・ハウスレスタイプ。ほとんどはふつうのまじめな人だ。職業訓練が必要なケースも含め、基本的には仕事または住居(住民票)があれば社会復帰が可能なケース。仕事の斡旋および住居(住民票)の確保、必要に応じて職業訓練で対応する。野宿が長期化する場合、多かれ少なかれ不良化、または退却化すると思われる。
不良系
ある程度ホームレス生活に馴染んでしまい、開き直って社会的なモラルから逸脱しているタイプ。やんちゃで、酒、ギャンブルなどに溺れているケースも多く、昼間から酒を飲んで騒いでいたり、通行人をからかったりする者も目立つ。陽気で明るい者が多いがしたたかでズル賢く、ときに犯罪に手を染めることもあり、うかつに気の許せない相手でもある。大半は仲間同士でコミュニティを作っており、活動も精力的だ。矯正的な対応もやむを得ないだろう。
退却系
意欲と気力が減退している抑うつタイプ。職業的能力うんぬん以前に、自信喪失や不安、その他の主に心理的な問題のために意欲・気力が減退し、ゆえに社会復帰に向かって活動できないケース。ホームレス生活に於けるフラストレーション状況下での一時的な退却反応をはじめ、アパシー(退却神経症)やうつ病の可能性もある。治療的に対応。
厭世系
世の中に嫌気がさしちゃった世捨て人タイプ。いわゆる好きでホームレスをやっているケース。社会復帰する意思はない。「自由がいちばんだ」。基本は放っとけ対応だが、うつ病などの可能性があれば治療的な対応が必要。
小杉礼子説
ヤンキー型
反社会的で享楽的。「今が楽しければいい」というタイプ
ひきこもり型
社会との関係を築けず、こもってしまうタイプ
立ちすくみ型
就職を前に考え込んでしまい、行き詰ってしまうタイプ
つまずき型
いったんは就職したものの早々に辞め、自信を喪失したタイプ
こうして比べてみると小杉説は分け方の基準があいまいで、ひきこもり型とたちすくみ型、つまずき型の違いは、どこで挫折したかだけであって、質的な違いは明確ではありません。それにたいして健次郎説は質的差異をよく捉えていると思います。
健次郎説に従えば、以前にご紹介した「ニートで暇すぎて頭にきたからネトラジやる」の名無しのニートさんは失業系、「働いたら負けかなと思ってる」のフレーズで一世を風靡したニート君は不良系といったところでしょうか。
就業意識のある人は厳密にはNEETにはふくまないようですが、日本語の「ニート」は、ゆるい失業者も含んでいると思います。そして、こうした失業系ニートが、時間がたてば不良系や退却系になっていくのも、そのとおりだと思います。
この他に、メディアでは取り上げられない退却系や厭世系のニートがいると思うのですが、それについては今後の考察に任せたいと思います。
ちなみに、四つのタイプの中で一番目立つのが不良系で、一般的にいう「ホームレス対策」は、この不良系を対象としているとのことです。ホームレスの中でもマイナーな退却系や厭世系には、ほとんど支援の手は伸びてこないのですが、実は早急に支援が必要なのはこの退却系と厭世系だという意見ですが、ここらへんもニート対策の問題点とよくにていると思います。
ニート問題でも、「ニート君」のような不良系ばかりがクローズアップされ、その対策も「若者自立塾」とか就職支援とか、なんだか偏ったものになってしまっています。
なんども言っていることですが、ニート問題を考える場合に、ニートだけを取り出して単独に対策を講じようとしてもまったくの無意味なのです。社会問題の一つとしてニート問題を取り扱う観点から出発しなければ、有効な対策が生まれるはずもありません。ホームレス問題についても同じことが言えるでしょう。
現代社会の抱える問題を考える場合、すべての物事はつながっているのだ、という認識をもたなければはじまらないでしょう。政策担当者に欠如しているのは、まさにこの認識なのです。各省庁各部門間に横の連携がないままに、ばらばらに「対策」が行われているのは時間の無駄、金の無駄、人材の無駄といわざるを得ません。
政府のとる対策が、往々にして的外れなものになってしまうのは、彼らが本物のホームレスやニートに向き合おうとせず、観念の中のホームレスやニートを相手にしているからというのも理由の一つだと思います。こうした状況を打破するためには、健次郎さんのようなITホームレスがネット上でどんどん発言していく事が必要なのではないかと思います。
その支援事業の一環として、ハローワークのパソコンからブログの開設とアップデートが行えるようにしたらよいと思うのですが、いかがでしょうか。