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音盤日誌「一日一枚」#259 リッチー・ヴァレンス「LA BAMBA」(STARLITE CDS 51021)

2022-07-31 05:00:00 | Weblog

2005年2月5日(土)




#259 リッチー・ヴァレンス「LA BAMBA」(STARLITE CDS 51021)

夭折のロックンローラー、リッチー・ヴァレンスのコンピ盤。90年リリース。

41年LAに生まれたヴァレンスは、メキシコ人とインディアンの血を引いている。本名リチャード・ヴァンスウェイラ。

いわゆる「チカノ」である彼は、非アングロサクソン系の白人ロッカーのハシリ的な存在といえる。

デビュー・シングル「カモン・レッツ・ゴー」(58年)がスマッシュ・ヒット。続く「ドナ/ラ・バンバ」が両面ヒットして、人気を不動のものとする。

しかし、翌59年2月、バディ・ホリーらと共にツアー中、飛行機の墜落事故で急逝。なんと17才の若さであった。

本盤はそんな彼の、少数民族出身としての個性が発揮されたナンバーを20曲収録。彼のレコーディングした曲の大半がカヴァーされている。

同題映画の主題歌ともなった「ラ・バンバ」を聴けば、彼の音楽がいかにユニークな存在だったかがよくわかる。

ハイトーンで高らかに歌い上げるそのヴォーカル・スタイル、ラテン風リズム、あるいは非英語による歌詞。ロックンロールとラテン・ミュージックの見事な融合といえるだろう。

循環コードのシンプルな繰り返し、ストレートなビート。根っから陽性なそのサウンドは、現役のティーンエージャーならではのものだ。

「ドナ」や「イン・ア・ターキッシュ・タウン」「ウィ・ビロング・トゥゲザー」のようなバラードで見せるリリシズムもまたいい。そのなめらかな美声に、正統派ポップシンガーとしてのヴァレンスの顔を見出すことが出来るだろう。

だがやはり、彼の本領は「カモン・レッツ・ゴー」「ザッツ・マイ・リトル・スージー」「ドゥービー・ドゥービー・ワウ」のような、威勢のいいアップテンポのロックンロールだろうね。

筆者が個人的に気に入っているのは、アルバム最後の「ボニー・モロニー」だな。そう、ラリー・ウィリアムスの大ヒット曲のカヴァーだ。

白人のヴァレンスには、R&B臭がさほど感じられないが、この曲は別だな。うねるようなグルーヴが最高である。

バックもノリがすごくいい。特にブリブリにドライヴするベースとか。ジョニー・ウィンターのヴァージョンあたりと並んで好きである。

もし彼が(バディ・ホリーもそうだが)、事故に遭わず生き続けていれば、どれだけ名曲を送り出せたことだろう。想像もつかない。

返す返すも残念だが、彼の音楽はビートルズをはじめとする、後の多くのビート・グループ、ポップ・グループに有形無形の影響を与えているように思う。いまだって、彼の「遺伝子」は生き続けているのだ。

ティーンエージャーが、自らの生活実感をそのまま曲に書き、自らがギターを弾いて歌う。今日ならしごく当たり前のことだが、そういうスタイルは白人ではヴァレンスやホリーらによって、ようやく一般的なこととなったのだ。

偉大なる先駆者、リッチー・ヴァレンスの残した数少ない遺産。それらを聴くたびに、僕らはそこに、凝縮されたロックンロールの本質を感じることだろう。

<独断評価>★★★★


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