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音盤日誌「一日一枚」#258 森高千里「DO THE BEST」(ワーナーミュージックジャパン/ONE UP MUSIC EPCA-7003)

2022-07-30 05:00:00 | Weblog

2005年2月4日(金)



#258 森高千里「DO THE BEST」(ワーナーミュージックジャパン/ONE UP MUSIC EPCA-7003)

森高千里のセカンド・ベスト盤。95年リリース。

結婚・出産のため音楽活動を停止していた森高千里だが、昨年から雑誌での露出を中心に、徐々にタレント業を再開している。

20才でブレイクと、アイドルとしては割りと遅咲きの彼女だったが、30才ころまでバリバリのアイドルをやっていたのだから、今考えてみるとスゴいひとであるね。

そんな森高の、90年のヒット「雨」以降のシングル及びアルバムでの人気曲を15曲収めている。

当盤の目玉はなんといっても、ミニモニ。のヒットでもおなじみの「ロックンロール県庁所在地'95」だろう。

オリジナルは92年「ペパーランド」に収録されていたのだが、これをなんと森高自身の演奏で再録音。

ドラム、ピアノ、リードギター、ワウ・ギター、そしてコーラスと、八面六臂の活躍である。

シンガーにして、マルチプレーヤー。こんなアイドル、彼女以前にはもちろん、以後もいないんじゃない?

もちろん、抜群に上手いとはいえないが、きちんとリズムをキープしているし、及第点の出来だと思う。

この「楽器を弾くアイドル(っぽいシンガー)」の路線は、現在では大塚愛、宇多田ヒカルあたりに継承されていると思うが、ひとつの楽器だけでなく、弦も鍵盤も打楽器もというのはハンパではないよね。

この「県庁所在地」以外にも、ミュージシャン森高の才能をうかがわせる曲が収録されている。たとえば「渡良瀬橋」。

昨年、松浦亜弥のカバーでヒットした曲だが、オリジナルは93年のリリース。あれから、もう10年以上経ってしまったんだね(遠い目)。

この曲ではおなじみのドラム、ピアノの他にリコーダーも吹いている。

あややの思い入れたっぷりの歌いぶりも悪くはなかったが、本家森高のさらっとした純アイドル風歌唱もいい。決して技巧的ではないが、心にしみるものがある。やっぱり、名曲だな。

「ハエ男」「ロックン・オムレツ」のようなロックンロール路線あり、「私がオバさんになっても」「気分爽快」「二人は恋人」のようなノリのいい曲あり、「雨」「風に吹かれて」「夏の日」「今日から」のようなしっとりしたバラードあり。選曲のバランスもいい。

作詞をすべて彼女が担当しているほか、「県庁所在地」「私の大事な人」では作曲にも挑戦している。これらも、彼女の凡百のアイドルとはひと味違ったセンスを感じさせる出来だ。後者のラテン感覚など、見事のひとこと。

声量不足でどこか拙いところはあるにせよ、天性のリズム感の良さ、歌詞の発想の面白さ、そういったところは他の追随を許さないものがある。

筆者は別に森高ヲタでも何でもないのだが、彼女のアイドルとしての資質は超Aクラスだったと思う。

さすがに現在は、アイドル歌手としての活動を再開するつもりはなさそうだが、何らかのかたちで創作活動を続けていって欲しいものだ。たとえば、後輩のアイドル・シンガーたちに曲を提供するとか。

世間的には、「オバさん」とよばれる年齢になってしまったが、このひとはいつまで経っても実年齢を感じさせないフワーッとした魅力がある。これもまた才能ってものだろう。

<独断評価>★★★☆


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