2008年5月18日(日)
#34 R・L・バーンサイド「Too Many Ups」(Wish I Was in Heaven Sitting Down/Fat Possum)

「一日一枚」でも取り上げたことのあるRL爺、本コーナーでは初の登場である。
1926年生まれのRL爺が、73才のときにリリースしたアルバム「Wish I Was in Heaven Sitting Down」からの一曲。ジョン・ポーター、ブラッド・クックらによるプロデュース。
バーンサイドといえば、50年代からのキャリアを持ちながら、90年代に至るまで世間的にはほとんど認知されていなかった、遅咲きアーティストの典型。
どういうわけだかヒップ・ホップ好きないまどきの若者たちにも大ウケで、92年以降、ガンガン、アルバムを出すようになった。亡くなる前の年(2004)に出た「A Bothered Mind」に至るまで約10枚。とても60~70代の人間とは思えぬ、精力的な活動を送ることになる。
バーンサイドの音楽の魅力といえば、よくいわれることだが、その麻薬的ともいえる「ループ感」。
いったん始まったら、いつ終わるともしれない、果てしないグルーヴ。垂れ流しにも近い、とめどのなさ。
これって何かと考えてみれば、クラブでかかっている音楽。つまるところ、ノンストップなノリの、ダンス・ミュージックってことなんですわ。
冒頭のサンプリング、歌とも語りともラップともとれるとりとめのないボーカル。そしてスクラッチ。
いかにもファット・ポッサム的な味付けのバックにも不思議と違和感のない、バーンサイドの手練れのスライドがカッチョええのです。
田舎くささと都会の洗練が奇妙に同居した、ヒップでタイトなバーンサイド・ワールド。一度はまると、病み付きになりますぞ。