町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

置き換えが開始されたJR東海・211系5000番台

2024年04月05日 | JR東海

1987年のJRグループ発足直後は地域の需要に合わせた車両の増備へ方針が改められますが、しばらくの間は国鉄時代に設計された形式をベースにした新造車を導入していました。JR東海では1988年より、名古屋・静岡地区の普通列車用に211系をベースに設計変更を加えた5000番台の増備を開始し、1991年までに242両が導入され313系が登場してからも名古屋地区の中央本線、静岡地区の東海道本線の主力車両として運用されました。しかし2022年より新型通勤車315系の導入により311系・213系と共に置き換えられることになり、同年3月には静岡車両区のLL編成4本に初めて廃車が発生、4月には神領車両区のK編成からも9両を皮切りに廃車が開始され、2023年10月には中央本線からは全廃され315系で統一、今後は静岡に車両の置き換えを2025年までに完了させる計画です。

静岡地区で運用されるLL編成。基本番台とは異なり、正面の助士席側と貫通扉の窓が拡大され冷房装置が集中式からインバーター制御方式の集約分散式に変更されています。LL編成は元は大垣車両区に配置されていた編成で主に豊橋〜岐阜間の普通列車に充当されて来ましたが、2006年からの313系大量増備により転属して来ました。静岡地区生え抜きのグループはSS編成・GG編成で、前者はクモハ211が5600番台とされパンタグラフが狭小トンネル対応型を搭載し、周りの屋根を僅かに切り下げ全てのJR東海管内電化路線での走行に対応し、後者はクモハ+クハの2両編成で213系同様に電動車が1ユニットで完結しているなど様々な相違点があります。

神領車両区に所属していた4両編成のK編成。5000番台が最初に配置されたのは中央本線で1988年7月のことでした。当初はトイレ設備を備えていませんでしたが、長距離利用者が多い快速運用に充当される機会が増えたことを受け3次増備分からトイレ設備を設置したクハ210-5300が登場し、1・2次車4両6からサハ211-5000を抜き取り3次車3両に組み込み、更に2次車11本はクハ211を5300に差し替え、捻出された5000は静岡地区向けの増備車と編成を組むように改めています。

1999年から登場の313系は211系との連結にも対応している為、両形式を併結した編成が日常的に組まれています。特に中央本線では朝の通勤時間帯に混成10両での運用も設定されており、車体デザインが異なる短い編成が幌で繋げられている姿を見ることが出来ました。

車内設備はドア内側を化粧板仕上げ、床を2色構成としクモハ211・モハ210では主電動機点検蓋の廃止、また座席はクッション材を厚くして奥行きを確保し座り心地を向上させました。2005年からはバリアフリー対策で313系と同様のドアチャイムの設置も実施されています。

運用から離脱した211系は西浜松に送り込まれ、順次解体されていますが、保存目的なのかクモハ211-5001の1両のみが保管されている他、静岡車両区の3両が三岐鉄道に譲渡されることが決定しています。今後2025年までに、どれだけの両数が再起できるか期待して見守りたいですね。

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京浜工業地帯のニューフェイス、JR東日本E131系1000番台・鶴見線

2024年04月03日 | JR東日本

京浜工業地帯の通勤路線として機能する鶴見線は2004年以来、山手線・埼京線からの転属車に先頭車化改造を施した205系1100番台3両編成により運転されて来ました。編成両数が奇数である為、中間車の改造や先頭車の電装化を行わない新系列電車の転用はできないことから後継車に注目が集まっていましたが、2023年7月23日に横浜支社からのプレスリリースでE131系(1000番台)を8編成24両新造し導入することが発表され、同年12月24日から営業運転を開始しました。国有化からJR東日本発足後以来、鶴見線は首都圏他線区からの転用車で賄われており、前身となる鶴見臨港鉄道以来実に80年振りの完全な新型車でもあります。

JR東日本の新系列電車はE231系以来、2950mm幅で裾を絞った車体を基本としていますが、鶴見線は車両限界が小さい箇所が点在することから2778mmのストレート車体で設計され、地下鉄乗り入れ対応車両のような外観になり正面は貫通式前面風のデザインですが、実際は非貫通全室運転台構造になっているのも特徴的です。カラーリングは海をイメージしたスカイブルーと、1980年の101系転入時より同線のラインカラーとされるイエローの構成で、正面のドット模様は過去に活躍した車両のカラーリングで歴史を表現しています。

国有化以降は長らく首都圏で使用された旧性能電車が配置され、平成に入ってからも17m車体に両運転台のクモハ12が大川支線用に残存するなど、工業地帯の特異な沿線環境から人気を集める一方で車両面は近代化から常に2〜3世代遅れている印象があった鶴見線ですが、今回のE131系登場で一気に若返りを果たしました。

ストレート車体であることに加えて久々にステンレス無塗装仕上げのドアが採用され、都営交通か私鉄の新型車のような印象を受ける車内。非貫通構造の乗務員室になっていることから仕切り扉も引き戸から通常の外開き式に改められています。使用する機会は殆ど無いと思いますが、他番台と共通化されている為か半自動ドア扱いを可能にしており、ドアボタンも備えられています。

車内案内表示装置は17インチ液晶画面を1台設置しており、表示内容は鶴見〜扇町間は赤、海芝浦支線は青、大川支線は黄色と色分けして表示されています。こちらも鶴見線では初採用の設備になりました。

鶴見線初の新型車として運用を開始したE131系は、これまでの形式と違い相当な長期間活躍することと思いきや、将来的には他線区に転用することを考慮して寒冷地での運用を想定した霜取りパンタグラフ増設の準備工事が実施されていることが明言されており、加えてJR東日本では2030年頃の実用化を目指して水素電車を開発中で鶴見線と南武支線で試験を繰り返している点からも、実用化が決まればこの2線区に導入することを想定しているように思われ、E131系の活躍は意外にそれほど長くないのかも知れません。

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【悲報】横浜市営地下鉄3000S形、4000形2次車により置き換え廃車へ

2024年04月01日 | 首都圏の地下鉄

横浜市営地下鉄に在籍する3000形グループの内、1999年から導入された3000N形は2022年度に走行機器更新の計画が、3000R形も全編成機器更新の計画がそれぞれ発表されました。2000形の台車など、ごく一部の機器を再利用した3000S形にも当然機器更新の波が及ぶものと思われましたが、3000S形は先に更新計画が立てられていた3000N形と共に4000形2次車の増備で置き換えられることになってしまいました。

今回置き換えられることが決定した青い正面が特徴の3000S形。4次車に相当するグループで、満足度向上の意を込めてSatisfactionの頭文字を取り3000S形と称されます。主に再利用されているのはブレーキ関連装置(後にディスクブレーキシステムに更新)、台車、補助電源装置、ATC装置、車内の手すり類で、これにより新造費は3000形グループの中で最安値となっています。

2000形の置き換え名目で6両編成8本が製造されましたが、2019年には下飯田駅での脱線事故で第53編成が破損し廃車、2024年度には機器の不具合で運用離脱していた57編成がまた廃車になるなど何かと不運なグループでした。それなりに新しい印象なのに後輩達より先に置き換えられていくのも機器流用車の宿命でしょうか。

車内設備は手すりと妻面貫通扉の取っ手を流用しているとのことですが、乗客目線では3000R形と区別は付けられません。恐らく当初は長く使用する予定だったのかLEDによる車内案内表示装置は17インチ液晶画面に換装されており、廃車にするには実に勿体なく感じます。

車両更新計画が迷走している感がある横浜市営地下鉄ですが、公営企業である点や車両の特殊性(第三軌条集電・標準軌の線路幅)から、いわゆる車両譲渡などの可能性が皆無なのが何とも惜しまれます・・・。

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