町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

江ノ電初の高性能車・1500形を見る

2020年08月22日 | 小田急グループの鉄道・路線バス

1979年に就役した1000形は実に48年振りとなる機器流用ではない完全新造車として、冷房準備仕様の2次車1100形、新製冷房車の3次車1200形と細かく設計変更が行われ増備が続きました。それらの使用実績を踏まえて吊り掛け駆動から中空軸可撓継手による平行駆動装置に改められ形式を1500形としたグループが1986年から加わり旧型車が多数を占めていた当時大幅に旅客サービスを向上させました。

4次車に当たる1501編成。登場時はアイボリー地に赤とオレンジの帯が入るサンライン号として運用されていた時期がありました。2019年7月10日には、東京オリンピックのセーリング競技が江の島ヨットハーバーで開催されることになり、その周知を目的として日の丸セーラーズ号として運転されています。本来は2020年8月5日までの運用予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で東京オリンピックが延期になった為、現在もラッピングは解除されないまま運用に就いています。海らしい爽やかなカラーが印象的ですが、オリンピック後もセーラーズの文言だけ消去して走らせてくれませんかね・・・。

一般的な標準塗装を纏う5次車の1502編成。1000形グループの一員なので外観からは判別しにくいですが、車体は潮風による塩害対策や軽量化の為ステンレスによる部材を増やし、強度は更に向上しています。

基本的には1000形の冷房改造後と大差無い車内(1551で撮影)ですが、乗降用の側扉が登場時から金属支持方式になり乗務員室出入口の扉と共にヘアライン仕上げからエッチング加工された模様入りに変更されています。

他編成同様、大規模リニューアル工事の際に設置された液晶画面による車内案内表示。表面が加工されているドアの様子も分かります。左側の画面には本来ならオリンピックの競技や鎌倉観光に纏わる情報が流されていましたが、時節柄コロナ対策の情報や注意喚起ばかりになってしまいました・・・。来年こそは無事開催されて、本来の役割を果たせるよう期待したいところです。

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最後の活躍が続く旧型車・箱根登山鉄道モハ1形

2020年08月20日 | 小田急グループの鉄道・路線バス

昨年の7月にモハ1形のうち、吊り掛け駆動のまま残存して人気を博していた103+107号車が引退して遂に残存する旧型車は駆動装置の高性能化改造を受けたモハ1形104+106とモハ2形108・109号車の4両のみとなってしまいました。本来ならこれらの車両は、新型車両3000形により置き換えられていたはずですが、台風19号による路線の被災で長期の復旧作業が続いたことに加え、新型コロナウイルスによる輸送量の減少も手伝い大幅な計画の変更を強いられている為、未だ残存し活躍を続けています。

現在は106が鋼体化直後の塗装に復元され2両が異なった塗装で運用中のモハ1形104+106。昨年引退の103+107(サンナナ)は1世紀余りの活躍に終止符を打ったことで注目を浴びましたが、この編成も前身は1919年のチキ1形の3号と6号で、1950年に複電圧対応化と鋼製車体への更新工事を受けて元番号に100を加え、1952年に形式をチキからモハへ改めています。現在の鋼製車体も既に新造から70年余りが経過しており、首都圏の鉄道車両としては最早骨董品の部類です。

2019年7月。長引く梅雨空の下、緑塗装の109号車を連結して運用されていた頃。全車が異なる塗装の3両編成は引退を控えたサンナナに劣らず注目の的でした。

小涌谷駅で行き違いの為に登場時のHiSE塗装に復元された2000形サン・モリッツ号との並び。箱根登山鉄道の旅客車は小田急ロマンスカーをモチーフにした塗装が長く続きましたが、現在は新たな塗装パターンが増えて見る機会も少なくなっており、少しだけ懐かしい場面が蘇りました。

車内設備。サンナナの時は寄木細工をモチーフにしたモケットでしたが、104+106では小田急1000形の未更新車でも見られる赤系のモケットになっており印象が異なります。甲高い吊り掛け音は高性能化で聴けなくなりましたが、旧型車らしい重厚な雰囲気は変わらないですね。

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江ノ島・鎌倉観光復権の立役者、異彩を放つ江ノ電10形

2020年08月18日 | 小田急グループの鉄道・路線バス

江ノ島電鉄の輸送人員は1991年をピークに減少傾向に転じ、1992年度に増備された2000形2003編成で旧型車代替が一時的に中断されました。しかし、課題になっている観光客誘致と共に1997年で開業95周年を迎えることから、新形式が導入されることになり、設計に当たっては19世期のヨーロッパの路面電車やオリエント急行、バーミンガム鉄道の王室客車など、古典的要素や豪華列車の風格を現代的に昇華させたレトロ調ながらも新しいデザインで企画されました。これが10形電車で、1997年4月18日より営業運転を開始しています。 

在来車とは全く異なる紫紺とクリームにボールド書体のレタリング表記が目立ちますが、この装いはオリエント急行をモチーフにしつつ紺紫が鎌倉の歴史と文化の象徴、クリームがそれらを守り育む人々の心を表すとされています。車体塗装と共に、上部が弧を描く窓の形状やダブルルーフ屋根を思わせる屋上機器を隠すカバー、また救助網を模した形状のスカートなど極めて独特なデザインで、導入のコンセプトからかその後の増備は実施されることなく、今日に至るまで唯一無二の存在となっています。

500形と連結したため電制の関係で4基全てのパンタグラフを上昇させて走行する場面。現在主流になっているシングルアーム式パンタグラフは江ノ電では10形が初採用になりました。

車内はロングシートを主体にしつつ車端部にクロスシートを配置するリニューアル前の2000形に近い設備ですが、木目調部品や難炎木材などを多用して極力金属の部品が目立たないようにしている他、天井周りはダブルルーフのイメージで中央部を高くし照明装置も丸型蛍光灯を配置してレトロ感を演出しています。また通勤通学輸送にも対応する為1300mm幅の両開き扉になりました。なお、1956年に登場した初代500形でも車内設備にクロスシート、両開き扉を採用し当時は稀有な存在として大変な注目を浴びましたが、後年の改造工事で全て解消されてしまっており、それらの設備が間を置いて10形で完全に復活しているのも興味深い点です。

ドア上には江ノ電初となる車内案内表示器が設置されましたが、LEDスクロールが主流になる中、ランプ点灯式の路線図式を採用して登場しました。またドアチャイムも現在のところ設置されていませんが、1990年代後半の車両としては比較的珍しい設備です。

本形式は導入直後にレトロ調電車としてマスメディアにも頻繁に取り上げられたことから、営業運転を開始した1997年には定期外利用客数が増加し、最初の目的であった旅客誘致に貢献しました。現在は300形305編成と共に、江ノ電のイメージリーダーと言える同系ですが、さすがに登場から23年も経過しているので設備には疲労も目立って来ました。今後も特別な車両として活躍は続くと思いますが、近い内のリニューアル工事にも期待したいですね。

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風祭駅前に佇む箱根登山鉄道107号車(えれんなごっそCAFE107)

2020年08月11日 | 小田急グループの鉄道・路線バス

2019年7月20日、大正・昭和・平成・令和と4つの時代を走り抜け、実に100年余りの活躍に終止符を打った箱根登山鉄道のモハ103+107号車(通称サンナナ)は引退後はどうなるのか動向に注目が集まりましたが、107号車は小田原名産の蒲鉾で知られ、1865(慶応元)年の創業の老舗企業、鈴廣かまぼこ株式会社が引き取る事が決定し、風祭駅前の直営レストラン「えれんなごっそ」の前に据えられ、「えれんなごっそCAFE 107」として営業しています。

かつては何回も往来した古巣の前に置かれ、カフェとして再起する事になった107号車。屋根には箱根登山鉄道の全線復旧を祝う横断幕が掲出されています。車体は現役時代と見紛う程に美しい姿を見せていました。この至近の位置には鈴廣の風祭工場と、かまぼこ博物館も所在しています。

車体の後部から。現役時代は余り見れなかった妻面もじっくり観察出来ます。107号車は連結相手だった103号車と共に、両運転台車を片運転台化改造して2両固定編成にした車両ですが、改めて見ると元は乗務員室があったことが伺えますね。

車内にはカフェとして小型テーブルが配置され、軽食を楽しむことが出来るようになっています。元々は非冷房車でしたが、鈴廣への譲渡時にクーラー(天井に見える吹き出し口が後付けの冷房)も設置されました。なお、店名にもなっている「えれんなごっそ」とは神奈川県西部の方言で、色んなご馳走の意味です。

車内の吊り手や座席は引退時の状態を保っていますが、最終日にドアに貼られた引退記念ステッカーも存置されています。現在の登山電車で使われているステッカーの一世代前のデザインを模したもので、関東地方の鉄道事業者でよく見られる円型ながら、手のイラストが描かれておらず文字による注意書きのみとなっているのが特徴的でした。

過去にも引退した車両が保存されるケースは存在しましたが、何れも適切な整備が行われないまま解体されてしまい、サンナナの2両も廃車解体かと思われたところで107号車は地元に根差した名門企業に、そして103号車は埼玉県の日本工業大学から引き取りの打診があり、技術者を養成する為の教材として活用されることになりました。100年余りという長寿はもちろん、引退後も活路が開かれる辺り実に強運な車両だったな・・・と心から思います。

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祝・会社創立70周年!(その3)現行主力車・最新型エルガ

2020年08月01日 | 小田急グループの鉄道・路線バス

前回にPJ-・PKG-規制のエルガを記事にしましたが、今回は現在主力になりつつある最新世代のエルガです。改良を繰り返して導入が続いて来たエルガも遂にフルモデルチェンジされる事になり、長年見慣れた旧デザインのエルガは2014年導入の14-C9352(QKG-LV234L3)を最後に終了しました。そして2016年に増車で導入の16-C9353(QDG-LV290N1)からは新型エルガの導入に移行します。その新型エルガも2017年からは早くも同年9月に施行される排出ガス規制に適合させるべく型式も2PG-として改良が加えられ、小田急では17-C9387(2PG-LV290N2)から導入を開始しています。 

毎度お馴染み調布駅南口で、18-D9396(2PG-LV290N2・2018年式)です。武蔵境・狛江からは東京オリンピック・パラリンピック希望ナンバーが多数登場しました。この型式の導入でKL-規制車と一部のPJ-規制車に多数廃車が発生しています。

二子玉川駅で待機中の同車をリア部から。行先表示は長いこと三色LEDを継続して採用していましたが、2017年度車よりフルカラーLED表示に変更されています。長らくリア部には「人に優しいノンステップバス」のロゴと木のイラストが描かれていましたが、新型エルガでは省略されているのでシンプルそのものですね。

登戸営業所から回送で向ヶ丘遊園駅に向かっている途中の18-E9392。上と同型式ですが、屋根上ファンが角形から本車は丸型になっています。このアングルだと見えないですね・・・。

大型の固定窓で開放的な車内。優先席部分は1人掛け座席ですが、ハートマークの模様入りモケットで区別しています。普段乗る分には申し分無いですが、前扉直後のタイヤハウス上にあった席が廃止されたままなのは残念です。

今後も継続して更に導入されるかと思いますが、代替でPJ-規制車が置き換えられ地方のバス会社に譲渡されると、また見慣れた高年式ツーステップバスが消えることになるので、少々複雑な気分でもありますね・・・。

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