鴨が行く ver.BLOG

鴨と師匠(ベルツノガエル似)と志ん鳥のヲタク全開趣味まみれな日々

最近読んだSF 2021/9/15

2021年09月15日 21時48分03秒 | ゲーム・コミック・SF
だいぶ秋らしくなってきましたねー。
我が家のベランダもトレニアがだいぶ黄ばんできて、そろそろ模様替えかなという時期です。ぼちぼち読書の秋ですね!こんなSFを読了いたしましたー。

超動く家にて/宮内悠介(創元SF文庫)

・・・とりあえずもぅ、書名がバカバカしいんですが( ̄▽ ̄)
いわゆる「バカSF」を集めた短編集です。鴨は宮内悠介の長編しか読んだことがなく、あの叙情的かつクールな筆致を想起して読むと全く真逆の作品ばかりで驚きました。なぜあのクールな作風の宮内氏が、こんな作品を・・・?という謎は、「あとがき」を読むと解決しますが、実は一番面白かったのはこの「あとがき」であるという(笑)ちなみに、1ページ目の作品梗概もたいがいな出来です(笑)いやー、面白かったー。

いろんなベクトルから「バカ」を追求したSFが納められていますが、そこかしこにハッとするアイディアや叙情性が垣間見えるのが、この作品集の面白いところ。
ほぼ1ページごとに叙述トリックが展開される(ただしほぼどうでも良いレベルのw)表題作「超動く家にて」、古典ミステリ好きにはたまらない「法則」「エラリー・クイーン数」の面白さ/くだらなさも然り、「アニマとエーファ」「弥生の鯨」「ゲーマーズ・ゴースト」のリリカルさと批評性、そして作品を重たくし過ぎないための洒脱さが散りばめられているバランス感覚も然り。頭の良い人間が真剣にバカやったらこんな成果が出るんだな、と納得して読み進められる佳作揃いです。
鴨的に一番びっくりしたのが、「クローム再襲撃」。SF者なら知らないものはいない、サイバーパンク・ムーヴメントの泰斗ウィリアム・ギブスンの代表的短編「クローム襲撃」のパスティーシュなんだろうなぁ。どんな風に変えてるんだろうなぁ・・・と思いつつ読み出したら、ストーリーはなんと、「クローム襲撃」そのまんま。本当にそのまんま。
ただし、文体が村上春樹。
「村上春樹がビッタビタのサイバーパンクSFを書いたらこうなる」という、それ以上でもそれ以下でもない作品なんですが、最初の数行を読めば「あー、村上春樹だな」と分かってしまう、まぁハイレベルな仕事ぶり。本文のどこにも「村上春樹」の言及はないんですけどね。なぜこの作品を書くに至ったのか、その経緯をむしろ鴨は知りたいヽ( ´ー`)ノ

一SF者として、「バカSF」の到達点を見た思いでした。まぁ、「バカSF」に到達点を求める意味があるのか、とも思いますがヽ( ´ー`)ノ
玄人筋にオススメです!本格ミステリ好きにもある意味オススメです!悪くない選択肢だと思います。
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