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茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

鶯神楽とむべ

2006-01-18 21:24:27 | 草木・茶花
 初稽古のお花は、竹一重切の花入に鶯神楽(うぐいすかぐら)の枝と椿が入っていた。鶯神楽、なんとも美しい名前、名を聞いて鶯の若草色とお神楽の鈴の音をイメージしたのですが、聞いたことがありますか。
 3月終わり頃花を咲かせるが、茶花としてはめでたい名前から主にお正月(一月)に使われる。先生はわざわざ暖かい部屋で少し芽を吹かせたそう。秋に生る実はつるんと赤い宝石のような実で、いわゆる茱萸(グミ)の一種だとか。先生が小さい頃はあちこちにあって学校の帰り道にとって食べたそうだ。グミというと私の世代では歯ごたえのあるゼリー状のお菓子のイメージが強いのですが、お菓子が真似して名づけたのですよね。
 鶯神楽の写真を以下で拝借しました。ご覧下さい。先生のお宅のものはまだ芽がちょこっと顔を出す程度だったので、こんな花が咲くとは想像もつきませんでした。
http://members11.tsukaeru.net/t-nii/haru/uguisukazura/uguiskazura00.html
 私が学校帰りの道草に食べたり遊んだ実としては木苺、山葡萄位。山葡萄は潰して遊んで服に紫色のシミを作ってしまった、そんな思い出があります。

 さて、実といえば、あけび、むべ、ご存知ですか?

 あけびの名は、実がパカっと開く“開け実”に由来するそうで、見た感じナマコみたいな形、紫の皮をしており、決して美しいとはいえません。実を割ると半透明のゼリーっぽいような果肉に粒粒の黒い小さい種が全体に散りばめられている。果肉を口に含み吸って残った種を出す、そんな食べ方。私は叔母から送られてきたものを頂いたことがあります。ちょっと食べにくいし、すごくおいしい!というわけではないけれど、素朴な自然の甘みがしました。昨年デパートの八百屋さんで見かけましたが、一個700円もしていました。
 あけびの写真も拝借しました。なかなかグロテスクじゃありませんか?
 http://mamacita.milkcafe.to/recipe/obaachan/akebinomi.htm

 むべもあけびと同じような実がなるそうです。私は昨秋滋賀県を訪れた際に、むべの木を初めて見ました。むべという木札を見て私はまず“むべなるかな”という言葉を思い出しました。なんとなく、空ろなことだなあ、空しいなあなんて意味かなと思ったら、とんでもなかった!“いかにももっともなことであるなあ”の意味。
 この植物の語源はかの有名な天智天皇の一言だったそうだ。
 近江八幡市北津田町に古い伝説が残っている。野狩に出かけた天智天皇はそこで8人の子をもうけ、健康そうな老夫婦に出会った。何故長寿なのかと尋ねたところ、この土地に生る珍しい果物を毎秋に食するのが無病長寿の秘訣ですと答えた。その実を口にした天智天皇は“むべなるかな”と得心したといい、その後献上品となり、以後この果実をむべ(郁子)と呼ぶようになった。十世紀の法令“延喜式”には宮内省諸国例貢御贄の段に琵琶湖のマス・フナと共にむべが献上された記録が残っている。皇室への献上は1982年まで続いたが、伝説の老夫婦の親戚といわれる献上を担う家が町外に出た後中断、近年また認可が下りて皇室に献上しているそうだ。
 むべはアケビ科つる状の常緑低木で、10-11月に卵大の赤紫の実をつける。実を割ると果肉は緑色で、あけびと同じように口の中で種を選り分けて食べる。食感はブドウのようでほのかな甘みがあるそう。無病長寿の実とは一体どんな味がするのだろうか。
 むべの写真を以下拝借しました。この写真で初めて花と実を見ました。珍しい植物ですね。大津ではこの伝説を広める為に多くのところでむべが植えられているそうです。私が滋賀県で出会えたのはそのような理由からかもしれません。
http://homepage1.nifty.com/s-ozeki/mube.htm

 それにしても世の中には色々な植物があって、花や実など興味がつきませんね。先生のお宅で茶花を見ても、話を聞いても知らないものばかり。都度お勉強していきたいと思います。
 季節毎に鮮やかに姿を変えていく植物たち、私も花の季節は過ぎましたが(?!)、願わくば美しい実を実らせたいものです。
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4 コメント

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Unknown (Clay)
2006-01-19 10:05:54
鶯神楽、なんと美しい名前なんでしょう!

名前負けしていませんね。花もとても可憐で素敵!

品のある色合いで。



むべはキウイーの様な実がなるのですね。



また、またお勉強させて戴きました♪
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うぐいすかぐら (m-tamago)
2006-01-20 21:05:40
clayさん、こんにちは。

鶯神楽の名は、鶯の鳴く頃に花が咲くことから、または、鶯が隠れるのに都合がよいことから鶯隠れ(うぐいすがくれ)が訛ってそうなったとも言われるそうです。いずれにしても、美しい名前ですよね。



むべの話は目から鱗でした。できれば食べてみたい。

昔は当たり前のように周囲にあったけど、今は目にできない花や実って多いんでしょうね。。。。



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ムベとグミ (albireo)
2006-01-21 20:38:13
ムベは、トキワアケビとも言って、アケビの仲間ですが、アケビと違って、熟しても口が開かないそうです。

アケビは、日本橋のデパート等で見掛けますね。

僕が見たときは、6百円でした。

今まであまり美味しいとは思わなかったのですが、去年家でなったミツバアケビは、なかなか美味しかったですよ。

それから、グミですが、僕も以前は茱萸から名付けられたと思っていたのですが、グミキャンディのグミは

ドイツ語でゴムを意味する言葉が語源だそうです。確かに、そんな食感ですね・・・。

天智天皇の伝説は、初めて知りましたが、面白い話です。その後も献上されていたと言う事にも、一旦途切れて復活したという事にも、とても興味をそそられました。
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むべとぐみ (m-tamago)
2006-01-23 19:28:52
albireoさん、こんにちは。さすが詳しいですね!

ムベは口を開かないんですか。

アケビにもトキワ、ミツバと色々な種類があるのですね。

アケビは昔は何処でもあったので目につかなかったが、最近は出荷用に味を改良されたものが店頭に出ているらしいです。



グミはドイツ語が語源だったんですか。。。知らなかった。確かにゴムのように弾力ある食べ物ですものね。



今回の天智天皇のお話を知って、天皇への献上品の歴史を紐解くと面白いかもしれないと思いました。他にどんなものが献上されているんでしょうね?
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