先日の、「秋の茶杓 高島屋美術画廊探訪」の続き。
お茶碗も秋らしい装いに。
その中で気になったのが、彼岸花が描かれた茶碗。
中村良二作 灰釉 彼岸花 茶碗
細かく描かれた赤と金の彼岸花、トンボも飛んでいます。
遠近感あり、繊細で優しい感じのモダンなお茶碗。
秋だなあ、もうすぐお彼岸だなあと思いました。
後ろ側は、箆目がついていて
茶碗の中にトンボが飛んでいるのがアクセント
もう一つ、
中村良二作 灰釉掛分 野紺菊 茶碗
こちらのお茶碗は白と黒の地に野紺菊が描かれ、モダンでありつつ秋の雰囲気が。
中村良二という作家さんの経歴を調べてみると、
****************
昭和30年 京都東山に生まれる
昭和54年 京都府立 陶工高等技術専門校
成形科 研究科終了。
井上春峰 中村翠嵐 中村秋峰に師事し、
京焼・清水焼を中心に、日々研鑽している。
*****************
彼岸花が描かれた茶道具、私は初めて見ました。
彼岸花はその名の通りお彼岸の頃に咲く花。
古くから日本人に親しまれつつ、よく見れば美しいのに、
どうもお墓の近くに咲いていて、あまり縁起がよくないイメージの花です。
でも、曼殊沙華(まんじゅしゃげ)という美しい名前もある花ですし、茶道具に使うなら
きっといい謂れもあるのだろうと調べてみました。
<彼岸花という名の由来>
彼岸花は中国が原産で、稲作の伝来とともに広まりました。
学名はラテン語で放射状を意味する「Radiata(ラディアータ)」
英語名は、「Spider lily(スパイダー リリー)」
確かにクモのように見えるかも。
”彼岸花”という呼び名は、秋のお彼岸(9月中旬~下旬)頃に咲くことから
付けられたとされます。
それとは別に、
彼岸花の球根は飢餓の時に食べて飢えを凌げる悲願の花である、
毒をもつ植物で、毒をしっかり抜いて食べないと彼岸(死)に繋がる、
ということから”彼岸花”とよばれるようになったともいわれています。
<彼岸花の別名>
別名として、曼珠沙華(まんじゅしゃげ)という名前はよく耳にします。
サンスクリット語で、「天界に咲く花」「見る者の心を柔軟にする」 という意味で、
「おめでたいことが起こる兆しに天から降ってくる花」とされたそうです。
他には、
死人花(しびとばな)
地獄花(じごくばな)
幽霊花(ゆうれいばな)
捨子花(すてごばな)
毒花(どくばな)
痺れ花(しびればな)
天蓋花(てんがいばな)
狐の松明(きつねのたいまつ)
狐花(きつねばな)
剃刀花(かみそりばな)
葉見ず花見ず(はみずはなみず)
雷花(かみなりばな) などなど
死を思わせる名が多いのは、日本では墓地の近くに咲いていたことから。
不吉とされるのは、「葉見ず花見ず」の別名に表れているように、
秋に花が咲いた後に葉がのび、春に枯れるという通常の植物と逆の生態を持つことから。
確かに、長い茎の先に真っ赤な彼岸花が咲いている姿は、見慣れないと違和感があります。
別名が多いのは、それだけ生活に密着して親しまれてきた表れ。
どれも聞くとなんとなくわかるような気もしてきます。
狐の松明なんて、なかなか素敵な名前ですね。
みなさんはどの名前がピンときますか?
<花の色と花言葉>
彼岸花の色は、日本では赤のイメージが強いですね。
私は赤と白の彼岸花を見たことがあります。
赤は強くて情熱的、白は爽やかで清々しいというのが私の印象です。
原種は白、赤、黄、オレンジ、ピンクなど沢山の色があります。
色によって雰囲気が全然違うのも面白いところです。
花言葉も色によって違うようで、
赤い彼岸花の花言葉は
「情熱」「独立」「諦め」「再開」「悲しい思い出」「思うはあなた一人」「また会う日を楽しみに」
白い彼岸花は
「また会う日を楽しみに」「想うはあなた」
黄色い彼岸花は
「追想」「深い思いやりの心」「悲しい思い出」
どこか寂しい儚いような言葉が多いですね。
「想うはあなた」というのは、長い茎の上にだけ花だけ咲き、花が落ちてから葉が出るところ
から、葉は花を想い、花は葉を想うとして、相思相愛の意味合いができたそうです。
<彼岸花の咲く場所>
お墓の近くや田んぼの土手や畦道に咲いているイメージの彼岸花ですが、それには理由があります。
*昔は土葬だったため、アルカロイドという毒をもつ彼岸花を植えることで、動物が掘り起こすのを防ぐため。
*田んぼの土手・畦道に植えたのは、農作物を荒らすモグラや野ネズミを駆除するため。
*飢饉に備えるため。(水にさらして毒抜きをして食する)
人間がそういった場所に意図的に植えていたわけですね。
彼岸花は実質的で役に立つ植物だったわけです。
お彼岸の頃に咲く彼岸花ですが、乾燥が続いた後に大雨が降ると、一斉に花が咲くという現象があるそうです。
確かにいつの間にかそこに咲いていたという経験を昨年しました。
我が家の近所の路地で、前日も歩いていたはずなのに、全く目にした覚えなく、
急に眼に飛び込んできて、こんなところに?と驚きました。
赤く華やかに咲いていました。
昨年の写真ですが、なかなかきれいですよね。
参考までに、白い彼岸花は、花屋さんで見かけました。
カーネーションと一緒に入れられていましたが、小さな百合の花にも見えて美しい。
今年は素敵なお茶碗を見た後で、昨年より彼岸花が身近に感じられる気がします。
こうして、茶道具を見ることで、新しい作家さんの名前をひとつずつ覚えています。
日本には沢山の作家さんがいらっしゃって覚えきれないので、
自分が好きだと思ったものをピックアップして記憶していこうと思います。
お茶碗も秋らしい装いに。
その中で気になったのが、彼岸花が描かれた茶碗。
中村良二作 灰釉 彼岸花 茶碗
細かく描かれた赤と金の彼岸花、トンボも飛んでいます。
遠近感あり、繊細で優しい感じのモダンなお茶碗。
秋だなあ、もうすぐお彼岸だなあと思いました。
後ろ側は、箆目がついていて
茶碗の中にトンボが飛んでいるのがアクセント
もう一つ、
中村良二作 灰釉掛分 野紺菊 茶碗
こちらのお茶碗は白と黒の地に野紺菊が描かれ、モダンでありつつ秋の雰囲気が。
中村良二という作家さんの経歴を調べてみると、
****************
昭和30年 京都東山に生まれる
昭和54年 京都府立 陶工高等技術専門校
成形科 研究科終了。
井上春峰 中村翠嵐 中村秋峰に師事し、
京焼・清水焼を中心に、日々研鑽している。
*****************
彼岸花が描かれた茶道具、私は初めて見ました。
彼岸花はその名の通りお彼岸の頃に咲く花。
古くから日本人に親しまれつつ、よく見れば美しいのに、
どうもお墓の近くに咲いていて、あまり縁起がよくないイメージの花です。
でも、曼殊沙華(まんじゅしゃげ)という美しい名前もある花ですし、茶道具に使うなら
きっといい謂れもあるのだろうと調べてみました。
<彼岸花という名の由来>
彼岸花は中国が原産で、稲作の伝来とともに広まりました。
学名はラテン語で放射状を意味する「Radiata(ラディアータ)」
英語名は、「Spider lily(スパイダー リリー)」
確かにクモのように見えるかも。
”彼岸花”という呼び名は、秋のお彼岸(9月中旬~下旬)頃に咲くことから
付けられたとされます。
それとは別に、
彼岸花の球根は飢餓の時に食べて飢えを凌げる悲願の花である、
毒をもつ植物で、毒をしっかり抜いて食べないと彼岸(死)に繋がる、
ということから”彼岸花”とよばれるようになったともいわれています。
<彼岸花の別名>
別名として、曼珠沙華(まんじゅしゃげ)という名前はよく耳にします。
サンスクリット語で、「天界に咲く花」「見る者の心を柔軟にする」 という意味で、
「おめでたいことが起こる兆しに天から降ってくる花」とされたそうです。
他には、
死人花(しびとばな)
地獄花(じごくばな)
幽霊花(ゆうれいばな)
捨子花(すてごばな)
毒花(どくばな)
痺れ花(しびればな)
天蓋花(てんがいばな)
狐の松明(きつねのたいまつ)
狐花(きつねばな)
剃刀花(かみそりばな)
葉見ず花見ず(はみずはなみず)
雷花(かみなりばな) などなど
死を思わせる名が多いのは、日本では墓地の近くに咲いていたことから。
不吉とされるのは、「葉見ず花見ず」の別名に表れているように、
秋に花が咲いた後に葉がのび、春に枯れるという通常の植物と逆の生態を持つことから。
確かに、長い茎の先に真っ赤な彼岸花が咲いている姿は、見慣れないと違和感があります。
別名が多いのは、それだけ生活に密着して親しまれてきた表れ。
どれも聞くとなんとなくわかるような気もしてきます。
狐の松明なんて、なかなか素敵な名前ですね。
みなさんはどの名前がピンときますか?
<花の色と花言葉>
彼岸花の色は、日本では赤のイメージが強いですね。
私は赤と白の彼岸花を見たことがあります。
赤は強くて情熱的、白は爽やかで清々しいというのが私の印象です。
原種は白、赤、黄、オレンジ、ピンクなど沢山の色があります。
色によって雰囲気が全然違うのも面白いところです。
花言葉も色によって違うようで、
赤い彼岸花の花言葉は
「情熱」「独立」「諦め」「再開」「悲しい思い出」「思うはあなた一人」「また会う日を楽しみに」
白い彼岸花は
「また会う日を楽しみに」「想うはあなた」
黄色い彼岸花は
「追想」「深い思いやりの心」「悲しい思い出」
どこか寂しい儚いような言葉が多いですね。
「想うはあなた」というのは、長い茎の上にだけ花だけ咲き、花が落ちてから葉が出るところ
から、葉は花を想い、花は葉を想うとして、相思相愛の意味合いができたそうです。
<彼岸花の咲く場所>
お墓の近くや田んぼの土手や畦道に咲いているイメージの彼岸花ですが、それには理由があります。
*昔は土葬だったため、アルカロイドという毒をもつ彼岸花を植えることで、動物が掘り起こすのを防ぐため。
*田んぼの土手・畦道に植えたのは、農作物を荒らすモグラや野ネズミを駆除するため。
*飢饉に備えるため。(水にさらして毒抜きをして食する)
人間がそういった場所に意図的に植えていたわけですね。
彼岸花は実質的で役に立つ植物だったわけです。
お彼岸の頃に咲く彼岸花ですが、乾燥が続いた後に大雨が降ると、一斉に花が咲くという現象があるそうです。
確かにいつの間にかそこに咲いていたという経験を昨年しました。
我が家の近所の路地で、前日も歩いていたはずなのに、全く目にした覚えなく、
急に眼に飛び込んできて、こんなところに?と驚きました。
赤く華やかに咲いていました。
昨年の写真ですが、なかなかきれいですよね。
参考までに、白い彼岸花は、花屋さんで見かけました。
カーネーションと一緒に入れられていましたが、小さな百合の花にも見えて美しい。
今年は素敵なお茶碗を見た後で、昨年より彼岸花が身近に感じられる気がします。
こうして、茶道具を見ることで、新しい作家さんの名前をひとつずつ覚えています。
日本には沢山の作家さんがいらっしゃって覚えきれないので、
自分が好きだと思ったものをピックアップして記憶していこうと思います。
高島屋の茶道具売り場にはお道具鑑賞もかねて時々行きます。
彼岸花のことをいろいろ深くお調べされ手参考になりました。spider lily にはびっくりしました。
小さいトンボだけれど存在感大きいですね。
高島屋の茶道具売り場は私の勉強の場のようになっています。ばったりお会いできたら?!
彼岸花は縁起が悪いイメージでしたが、実は人が頼りにして植えていた植物で、一生懸命咲いているのだと、見方が少し変わりました。
spider lily、外国の方には蜘蛛に見えるということですよね。言われてみれば見えなくもないですが。
別名の豊かさに驚きます。
私は子供のころから、ずっと曼珠沙華だとばかり思っておりましたが、子供たちの間では、「火事花」と呼んでいて、家に持ち帰ると火事になるから採ってはいけないといっておりました。
今思うと、毒があって危険だから、そんな風に子供たちに教えたのかも知れません。
物知りのm-tamagoさんの別名の中にも、火事花ありませんでしたね・・・
私の散歩道にはまだ咲き始めておりません。
別名を追加頂き、ありがとうございます。
確かに見た目も炎を思わせるし、毒があるから触らないように子供たちに教えたんですね。
他にもまだありそうですね。
今年は私もまだ見ておりません。
今からちょっと楽しみにしています。
ありがとうございました。