書く前に読むべきでした。
小谷野敦著 平凡社新書
遅ればせながら、『私小説のすすめ』を読みました。
もっと早く読んでいれば、書きながら迷ったり後ろめたさを感じたりしなくてよかったのに、
と後悔した次第です。
「我が意を得たり」と、嬉しくなる記述がたくさんあり、
「アッシのやり方で間違ってなかったんだ!!」と、思えました。
◆私の場合、日記はつけてないのだが、手帖、金銭出納帖、覚書から、
およそのところは把握しておいて、事実についてのメモを作ってから、私小説を書く。
アッシも書き始めてすぐに、「年表が必要だ」と気づき、
手帳と金銭出納帳から自分の年表をエクセルで作成。
これが、思ったより時間がかかり、苦しい作業でした。
そして、「若気の至り」だらけだった20代30代を認めるのは辛かったです。
◆事実というものは重みがあって、……
フィクションではなく、life writing を意識していたので、
記録のつもりで数字や金額、日付や発言をなるべく正確に書きました。
◆それと、ぜひ地図を揃えることだ。
…・・・私小説の場合は、極力、実際の地名を使ったほうが、事実性が強く出る。
「地名や店名など、こんなにピンポイント・ローカルでいいんですか?」と、
校正&編集に指摘されましたが、「イキにさせてください」と頼み込みました。
一旦書きあがった原稿を読んでもらったところ、
「赤裸々なので、これ読んでいいんですか? みたいな気分になります」
「あなたの判断が間違っていたこと、あなたが愚かだったことがバレちゃうわよ」
「個人的過ぎて、関係者にしか意味がない本じゃないかしら……」
「歯が痛いと言われれば、歯医医は仕事だから口の中診ますけど、
お金払って本を買って愚痴聞く人っていますかね」
とか、いろいろ言われました。
アッシの苦労話にどの程度普遍性があるか……、
ご高読いただければ光栄です。
お近くの図書館に希望図書リクエストしていただけると有難いです。