マオ猫日記
「リヨン気まま倶楽部」編集日記
 




(写真)下野することになった自由民主党の党本部(東京都千代田区。数年前に撮影。)

 8月30日に投開票され、野党・民主党が勝利した衆議院議員総選挙については、フランスの報道各社も記事を何本か掲載しています。折角なので、私が読んだ範囲で以下にご紹介したいと思います。といっても、目を引くような報道としては、下記の「ル・フィガロ」の「選挙後にしては静かな街角」という感想ぐらいですが・・・。

 保守系の「ル・フィガロ」(Le Figaro)紙は、「立法府選挙で野党大躍進」と題する記事(8月31日付)の中で、「1955年以来権力の座にあった麻生首相率いる自由民主党は大敗北を喫し、選挙民は与党の重鎮を遠慮呵責なく制裁した。」と現与党・自由民主党の敗退をまず説明。もっとも、「(選挙結果に)評論家たちは興奮を隠せなかったが、街では、(結果に対する)関心は全くないようで、クラクションも酒盛りも無かった。」と、大きな変化をもたらした総選挙後にしては静かな一般市民を不思議がっています。デモやストライキが日常茶飯事のフランスからすると、デモもストも起きないこと自体が、不思議なのかもしれません。
 民主党については、「国家戦略の事務所(国家戦略局)の設置や行政改革のための評議会(行政刷新会議)の新設、非常に野心的な計画を持っており(ちなみに、「天下り」は「descendus du ciel」という表現を使っていました)、有権者は、自民党の行き過ぎた自由主義政策を処断した。消費による経済回復を目指す民主党は、手当の支給等「人々の生活に奉仕する」政策を進めるが、鳩山代表は、興奮が冷めれば、政権に就いたことが無い若い民主党に大変な課題が待ち受けていることを知っている。このため、元蔵相の藤井裕久氏を財務大臣に充てる見込みだ。」と報じています。

 また、左派系の「リベラシオン」(Liberation)は、「日本人は保守派の支配に終止符を打つ」との記事の中で、民主党の勝利や麻生総裁の辞任を報道。投票率や女性候補者の比率が過去最高となったこと等を報道しています。
 同じく左派系の「ル・モンド」(Le Monde)紙は、「日本の野党の歴史的勝利
と題する記事(8月30日)の中で、「民主党は議会(上下両院)を制し、社会の改革というその野心的な計画を自由に実行できる方策を手に入れた。日本人は、自民党による自由主義政策の行き過ぎに制裁を加えた。」「鳩山民主党代表は『人々の生活に奉仕する政策』を推進する構えで、そのために無駄の削減等を掲げている。将来の首相はまた、アメリカからより独立しアジアへ目を向ける日本を主張する一派に属している。」「中には、民主党が増税なしで全ての改革を実施できるのか疑問視するむきもある。」として、内政に加えて外交についても言及しています。また、続く8月31日付の記事「政界の『プリンス』、鳩山由紀夫」では、鳩山代表の生い立ちや新旧民主党の設立、豊富な政治資金について触れており、「宇宙人」との渾名があることや、「雄弁家ではない」との評価も記されています。このほか、「ル・モンド」紙は、31日に「日本、元年」(Japon, an 01) と題する社説も掲載し、「日本人は変化を選択した。」「民主党の勝利は、日本における根本的な変化として捉えるべきである。」として、選挙結果を前向きに評価しつつ、「新自由主義と福祉国家の二項対立を克服した、日本の成長戦略を策定する必要がある。」と結語していました。



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