マオ猫日記
「リヨン気まま倶楽部」編集日記
 



 報道によると、米国ニューヨークの仏系ホテル従業員に対する婦女暴行容疑で逮捕されていた国際通貨基金(IMF、International Monetary Fund)のシュトロス=カーン(Dominique Strauss-Kahn)前専務理事(前統括理事)は5月20日、保釈金600万米ドル(約4億9000万円)の納付や24時間の監視体制、監視用電子ブレスレットの装着等を条件に保釈され、ニューヨーク市内(当初は自宅アパートに戻る予定だったが、報道陣が詰めかけたため別の場所に移動)に移ったとのことです。土曜日にライカーズ島の拘置所から出所したシュトロス=カーン被告人は、同人を監視する業務を請け負った民間団体が用意した、ウォール街近くのブロードウェー71番地のアパートで生活するようで、世界金融の責任者が皮肉にも金融街の近くで法廷闘争を戦うことになりました。アパートは24時間ビデオと武装警備員によって監視され、出廷、弁護士との打ち合わせ、診療、宗教上の拝礼のほかは外出を禁止されて、その費用毎月20万米ドルもシュトロス=カーン被告人が支払うとのことで(ウォール街近くのアパートの家賃は、ワンルームタイプでも月額2700米ドルとか・・・)、18日にIMF専務理事を辞職した被告人にとっては、大きな負担のようです。

 仏国内では、「推定無罪原則がある」「陰謀だ」等とシュトロス=カーン被告人を擁護する動きがあまりにも強いためか、23日にはパリの文化施設ポンピドゥーセンターの前で、女性団体が逆に婦女暴行に抗議するデモを実施しましたが、16日に公表されたCSA社の世論調査では、フランス人の57%が、「シュトロス=カーン被告人は陰謀によってはめられた」と考え、同情論には根強いものがあります。被告人の初公判は6月6日で、弁護士によれば、本人は無罪を主張する予定とか。既に被告人側に依頼された調査会社「ガイドポスト・ソリューションズ」が、被害者側の生活など(過去の薬物使用歴、飲酒歴など)を調査し、有利な情報がないか確認している模様です。ちなみに、シュトロス=カーン被告人が有罪となると、懲役20年以上の刑期になる可能性があるそうですが、米仏間の受刑者移送条約により、本人がフランスで服役する可能性もあるそうです。なお、IMF専務理事の後任には、同じくフランスのラガルド(Christine Lagarde)財務相(女性)が有力候補とみられます。
 
 陰謀の被害者か、性犯罪の加害者か・・・IMF専務理事を辞職したとはいえ、その帰趨はフランス政界を左右するだけに、今後の動きが注目されますが、ここまで大きく性犯罪で報道されながら、なお仏国民の間で同情論が根強いということは、それだけシュトロス=カーン被告人の潜在的な人気が大きいということであり、サルコジ仏大統領にとっては、シュトロス=カーン被告人が仮に無罪放免となった場合は、大統領選挙に強敵を迎えることになりそうです。



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