マオ猫日記
「リヨン気まま倶楽部」編集日記
 




 報道によると、11月26日現地時間21時30分頃(日本時間27日01時00分頃)、インド西部・マハラシュトラ州州都のムンバイ(ボンベイ)において、外国人がよく利用するホテル、レストラン、駅等十数か所で、重武装したテロリストが無差別銃撃・爆弾テロを敢行。インド内務省の発表によれば、11月29日までに公式に確認された死者は183人(うち外国人22人(日本人1人を含む。)、インド特殊部隊隊員数人)、負傷者は294人に登りました。

 今回の事件で、テロリストらは、一部はホテルの従業員として事前に就職し、一部は何度もムンバイを訪れて、入念な下見を実施。実施段階になって、合計10~20人がパキスタンから船でムンバイ沖に侵入し、(イ)オベロイ・ホテル及びトライデント・ホテル、(ロ)タージ・マハル・パレス・ホテル、(ハ)ユダヤ人施設「ナリマン・ハウス」、(ニ)チャットラパティ・シバジ・ターミナル(CST)駅、(ホ)マダム・カマ病院、(ヘ)ヴィレ・パーレ東部地区の国内空港近く、(ト)カフェ・レオポルド、(チ)センチュール・ホテル、(リ)センチュール・ホテル近くの西部高速道路、(ヌ)国立演劇センター(NCPA)ビル、(ル)マザガオン造船所付近、(ヲ)ゴクルダス・デジパル病院(CST駅近く)、(ワ)ネピアンシー通り(南部高級住宅街)、(カ)J・W・マリオット・ホテルの14ヶ所を襲撃。最後は都心部のオベロイ・ホテル、トライデント・ホテルタージ・マハル・パレス・ホテルに立てこもり、治安部隊との交戦が続きました。

 犠牲になった外国人22人の内訳は、イスラエル人3人、米国人1人、オーストラリア人1人、カナダ人2人、日本人1人、ドイツ人3人、シンガポール人1人、英国人1人、イタリア人1人、タイ人1人、中国人1人、モーリシャス人1人、国籍不明の外国人5人で、日本の外務省は、東京に連絡室を、現地の在ムンバイ日本国総領事館に現地対策本部をそれぞれ設置し、調査を進めた結果、三井丸紅液化ガス(株)の津田尚志さんが銃撃を受けて死亡、また同社の結束達也さんが軽傷を負ったことが確認されました(それ以外には犠牲になった日本人はいなかった模様。)。

 犯人グループについては様々な報道がなされ、「デカン・ムジャヒディン」を名乗るグループが犯行声明を出したとの情報もありましたが、実際には、パキスタン及びインドのイスラム教徒らで作るイスラム教過激派「ラシュカレ・タイバ」が関与している模様(同団体は、2001年のインド国会襲撃事件や2006年のムンバイ列車同時爆破テロ事件を起こしている。)です。犯人制圧にあたった治安部隊当局者によれば、犯行グループはよく訓練され、自動機関拳銃(AK47のような旧式自動小銃ではなく、ドイツ製MP-5のような新式の機関拳銃を所持)や手りゅう弾、爆薬を多数所持。容疑者のうち、逮捕された1名(アザム・アミール・カサヴ(Azam Amir Kasav)容疑者)は21歳で流暢に英語を話し、パキスタンのファリドコート県ジパルプラ(Gipalpura)村出身であると供述しているそうです。

 一方、対応にあたったインド政府は、内務大臣指揮下の対テロ部隊「国家保安隊」(NSG、兵力1万4500人。通称「ブラック・キャッツ」)の派遣の遅れ等が指摘され、責任をとって内務大臣が辞職。犯人がパキスタン出身と判明したことで隣国パキスタンとの緊張が高まり、国境付近に両国の軍隊が展開する事態にいたっています。事態の沈静化を図りたいパキスタン側は、同国統合情報部(ISI)の長官をインドに派遣させると大統領が明言したものの、当のISI側が反発して流動化。国内の政治各勢力の分裂傾向が見られるところです。
 ちなみに、インドには、陸海空軍の3軍のほか、「ラシュトリア小銃部隊」(Rashtriya Rifles)4万人、「アッサム小銃部隊」(Assam Rifles)4万人、防衛保安団(Defence Security Corps)3万人、沿岸警備隊があり、更に警察組織として国境保安隊18万人、鉄道防護隊4万5000人、インド国内防衛団40~60万人、民間防衛隊、中央産業保安隊9万人、特別防護集団3000人、特別国境隊1万人、州武装予備兵30万人、中央警察予備隊17万2000人、インド・チベット国境警察1万2000人等の組織があり、今回の事件でも、様々な制服をきたこれら軍・警察部隊の隊員が見られました(ちなみに日本の陸上自衛隊は定員約15万5000人)。しかし、逆に言えば、こうした複数の軍・警察組織が
バラバラに対応したという印象もあり、インド政府にとっては課題を残す結果となりました。

 事前に潜伏と綿密な調査があったとはいえ、今回のテロ攻撃は、海上を長距離移動しながら無防備な都市に侵入するもので、新たな形態であると同時に、日本としてもこうしたテロ形態から、防衛上学ぶべきことは多いのではないかと思われます。

 いずれにしても、亡くなった津田さんをはじめとする多くのインド人・外国人の方々のご冥福をお祈りしたいと思います



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