(写真)円形クラッカーの包み紙。何枚かのクラッカーを重ねている。「LEKSANDS」ブランドのパン(Leksandsbrod)の包装紙には、スウェーデンの木彫りの馬のおもちゃ「ダラ馬」(瑞:Dalahast(本当の発音は「ダーラヘスト」だが、私は勝手に「ダラ馬」「スウェーデンの赤ベコ」と呼んでいる)、英:Dala horse, Dalecarlian horse)が描かれている。これは、「ダラ馬」が、Leksand地方のあるスウェーデン中部ダーラルナ郡(Dalarna lan)の街であることに由来するものと思われる。
スウェーデンをはじめとする北欧諸国で日常的に食されているものの一つに、円形のクラッカー(スウェーデンパン)があります。
これは、現地ではクリスピー・パン(「クナッカブレード」、knackebrod)、あるいは固いパン(hardbrod)と呼ばれるもので、直径20~30センチ、厚さ5ミリぐらいの円形をしており(円形のものは、rund-rutともいう)、通常は何枚か重ねてパッケージされたものが、大きなケーキ、あるいはチーズのようにして売られています(少しだけ購入したい人のために、四角く裁断されたものや、チーズのように扇形に裁断されたパッケージもある)。円形のパンには中央に穴が空いていますが、これは、パンを乾燥・保存する際に、棒に差し込むからだそうです。
(写真)円形クラッカー。中央部に穴が空いている。
クラッカーにはいくつかの種類がありますが、概ねライ麦を使用しており、繊維分に富んでいます(現代では小麦やスパイスが混じっているものもありますが)。形態が単純で輸送しやすく、長持ちし、かつ極めて安価なので、軍隊や学校で特に重宝されていますが、他方で「貧しい人の食べ物」という観念もかつてはあったようです。このパンが生まれたのは約500年前で、長期間にわたって保存できる保存主食として登場し、以後、スウェーデンの食卓には、普通のパンと並べて必ず出てくる定番の食べ物になりました。
(写真)スウェーデンのスーパーで販売されている円形クラッカー
実際、このパサパサしたクラッカーに、スモークサーモンやニシンを乗せて食べると美味で、バターと甘いジャムを塗ってもいけます。値段は、円形1パックで30スウェーデン・クローナ前後(約500円)となっています。