マオ猫日記
「リヨン気まま倶楽部」編集日記
 



(写真)フランス・ストラスブールにある欧州議会ルイーズ・ウェイス(Louise Weiss)庁舎

  11月27日にインド・ムンバイで発生した同時多発テロ事件。死者170人以上(うち日本人1人)、負傷者290人以上(うち日本人1人)を出したこの事件については、犯行主体や責任を巡ってインド・パキスタン間の外交問題に発展しつつありますが、そんな中で、欧州議会(欧州連合(EU)の議決機関。議員はEU加盟国から直接選挙で選出される)の議員が最近、事件後にムンバイで自国民保護業務にあたった独仏の総領事館を批判しているそうです。

(写真)ベルギー・ブリュッセルにある欧州議会のASP(Alterio Spinelli)庁舎とPHS(Paul-Henry Spaak)庁舎の間の渡り廊下。右手がASP、左手がPHS。

 ブリュッセルのEU専門紙「EUオブザーバー紙」によると、批判を展開しているのはスペイン出身のガルダンス(Ignasi GUARDANS Cambo)欧州議員(ALDE=欧州自由民主連盟理事、スペイン・カタルーニャ州出身)で、欧州議会国際貿易委員会の副委員長を務める同氏は、テロ事件の際、複数のEU加盟国出身者からなる議会の議員団を率いてムンバイに滞在中でした。ところが、事件発生後、一行の援護のため現れたドイツ総領事館の総領事は、「ドイツ人しか連れて行けません」と言明(し、実際にドイツ人のみを案内。)。仏独の二重国籍を持っている訪問団員についても、フランスの総領事館は帰国に必要な書類を発行できないとしてドイツから発給してもらうよう案内したり、それ以外の訪問団員に対しても、フランス(12月31日までEU議長国)は「対応できない」との態度に終始したそうです(結局、訪問団員は、それぞれの出身国の総領事館に世話になったとか。)。

(写真)ブリュッセルの本会議場

 こうした対応について、ガルダンス欧州議員は、「ドイツの領事の態度は文字通り破廉恥であり、フランス当局者の態度は最高度に評価しても非常に官僚的であった。」と批判。独仏の対応は、欧州連合条約の「全てのEU市民は、あらゆるEU加盟国の外交・領事機関の庇護を、当該国の自国民と同様に受ける。」とした規定に反しているとしています。
 これに対して、独仏両政府は、「総領事館はなしうる全てのことを行った。」として、議員の批判はあたらないとの見解ですが、収まらないガルダンス欧州議員は、今後、バロー(Jacques BARROT)司法・内務担当欧州委員に、この問題を直訴していくそうです。

 通常、こうした事件が発生した場合において、自国の対応を批判するということはしばしば見られる現象ですが、独仏を「(自国民ではない)EU市民を保護していない。」として批判するというのは珍しい現象で、それだけEUがEUとしての意識やまとまりを持ってきたということでしょうか・・・。



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