月扇堂手帖

観能備忘録
あの頃は、番組の読み方さえ知らなかったのに…。
今じゃいっぱしのお能中毒。怖。

囃子堂

2007年08月05日 | 囃子の会
囃子堂「能囃子を音楽として聴く~輪の室内楽空間・音白粉~」
(京都コンサートホール 小ホール)

お能を観るとき、お囃子がよかったなぁとかイマイチだったなぁとか感じることはもちろんあるけれども、たいていはシテのヴィジュアルな動きと、物語の進行に意識がが向いているので、お囃子だけに集中してずっと聴いているということはあまりない。今日、それができたことはよかったと思う。

それぞれに気合いが入っていて聴き応えのある演奏だったし、ひとつひとつに簡単な解説を入れてもらえたので、漫然とでなく意識して聴くこともできた。何度も通えば、わたしにも〈聴く耳〉ができてくるかも。

帆足正規氏による進行は、しっとりと落ち着いていて過不足なく気持ちがよかった。真面目な方と安心させておいて突然ギャグをおっしゃるので、しばらく気づかず馬鹿正直にメモしてしまった。やられた(>_<)

能囃子を純粋な音楽として聴くということがテーマらしいけれども、それができたかと問われれば、わたしに限っては「No」だった。演奏がよければよいほど、実際にはいないシテがそこで舞っているのが見えてきてしまう。少なくとも、知盛と鶴と鷺と獅子は「脳」舞台で舞っていました。

キャンペーンの中では「日本のクラシック」という言葉が使われていてなるほどと思う。でもクラシックコンサートにしては構成がアンソロジー的で、メリハリに欠けるような気もする。とても禁欲的なプログラムなので、お囃子を勉強している方にはこの上もなく有益な反面、コンサートを聴きに来ましたというひとには疲れる内容だったかも。

一曲通しての演奏というのは無理だろうか。(お客のほうがもたないかなぁ。)
今回、早笛と大べしについて実演を交えて解説してくださったのはたいへん面白かったから、ああいった要素を増やしてはどうだろうか。(でもそれではコンサートじゃなくなっちゃうかも)。
凝った背景をつくるのにお金を使うのは無駄だけれども、何かしらもう少しヴィジュアル的な要素を盛り込むわけにはいかないだろうか。せっかくだから、皆さんもっと派手な衣裳で出てきてくれてもいいかも?

…というようなことを無責任にあれこれ考えました。

★今日の発見:小ホールは初めてだった。とっても素敵なところだった。

*****

居囃子「屋島」笛:帆足正規 小鼓:林大和 大鼓:石井保彦
       地謡:浦田保親、深野貴彦
素囃子「安宅 延年之舞」笛:森田保美 小鼓:吉阪一郎 大鼓:谷口有辞
居囃子「船弁慶 白波之伝」
       笛:左鴻泰弘 小鼓:曽和尚靖 大鼓:井林久登 
       太鼓:前川光範
       地謡:宇高通成、宇高徳成
素囃子「雪」 笛:森田光廣 小鼓:竹村英雄 大鼓:河村大
一管「鶴」  笛:杉市和
居囃子「葛城 大和舞」
       笛:森田保美 小鼓:竹村英敏竹村英雄 
       大鼓:井林清一 太鼓:井上敬介 
地謡:浦田保親、深野貴彦
一調「高野物狂」大鼓:河村大 謡:宇高通成
一調「山姥」太鼓:前川光長 謡:浦田保親
居囃子「葵上」笛:杉信太朗 小鼓:古田和英 大鼓:武重方軌 太鼓:井上敬介
       地謡:浦田保親、深野貴彦
独調「鷺」  小鼓:曽和博朗 謡:宇高通成
素囃子「鷺 乱」笛:光田洋一 小鼓:林光寿 大鼓:石井喜彦 
       太鼓:前川光長
素囃子「内外詣」笛:相原一彦 小鼓:伊吹吉博 大鼓:石井保彦 
       太鼓:前川光範
案内人 帆足正規 


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
面白かったですね(^o^) (やまが)
2007-08-06 01:28:15
月扇堂さま

こんばんは,やまがです。当方のブログにコメント&TBくださり,ありがとうございます。

夏場に能をフルで観るというのは,けっこう体力を消耗するときもありますから,こういう催しはうれしいです。中身もしっかりしてましたしね。

こちらからもTBかけさせていただきます。よろしくお願いいたします。
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面白そうですね (しばがき)
2007-08-06 01:57:50
こんばんは

ごぶさたしております。
なかなか意欲的な企画だったようですね。

「曲」を離れて、
みなさん、どこまで「自己主張」されていたのか、
拝見したかったです。

しばがき
 @8月、見所的にはまさに「夏枯れ」です(泣)
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夏枯れ…? (月扇堂)
2007-08-06 11:43:41
やまがさん、TBありがとうございました。公開いいたしました。

囃子堂、わたしは今回が初めてでした。とってもストイックな感じがしました(^_^)

しばがきさん、カキコありがとうございます。

わたくしは、もうあまりお能には行かないようにしよう、せめて月に2回までにしよう、というのが目下の努力目標です。まっとうな人間にならないと…。

それにしても、「井筒」は残念でしたね!!!
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よかったです (ぼのぐらし)
2007-08-06 12:28:32
いつものように、つい3000円で元が取れたかと考えてしまう私。
今回は補助もあったのだろうけれど、十分とれました。
気合いも感じました。

序の舞が入る部分は、舞がないとちょっとつらいものが。
笛の共鳴音がここかしこで心地よかった。
こういう試みは、たまにするからいいのでしょう。
つい、同日から始まった、NHKFMの高桑いずみ解説の能と音楽4回シリーズと重ねてしまった。

光田さんも今日は気合いが入っていいぞと思っていたら、いつものような不協和音が出てしまって残念。

おしゃべりおばさんの前に座ったのが唯一の不幸か。
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FMですかー。 (月扇堂)
2007-08-06 21:54:06
ぼのぐらしさん、お久しぶりです(^_^)

FMでそのような番組があるのですね。ラジオってあまり馴染みがないのですが、タイミングよければわたしも聴いてみたいです。

おしゃべりおばさんは、わたしのお隣にもいました! 彼らのいない場所は、もはや地球上に存在しないのでは!
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