携帯破壊者~FOMA destroyer

三ヶ月に一度書くくらいの日記コーナー。

憐 Ren(略)感想文

2005-04-24 11:37:59 | Weblog
そういえば当初は、ここは感想文倉庫として使うつもりであったのだ。
創作物をはさんで折々の喜怒哀楽、山口貴由ふうに言うと哀憎怨怒を書いていこう。
書くということにモチベーションが欲しいし、まずこれならこまめに書く癖をつけておきたい。
そのときの感情をあとから反芻できるような書き方にしたい。

…てなわけで、今週買ったもの。
「憐 Ren 刻のナイフと空色のミライ」角川スニーカー文庫
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-url/index%3Dbooks-jp%26field-author%3D%E6%B0%B4%E5%8F%A3%20%E6%95%AC%E6%96%87/249-5218917-2958727

控えめに言って駄作。
自分がなにを期待してこれを買ったのか今は思い出せないが、これじゃないのは確かだ。
新しいボーイミーツガールに期待していたのか?安易な購入に憤りすら感じる。
内罰的な気分が発生したのでここに書いておく。
無視してまたいで行ってもいいようなものだが、見苦しすぎて踏まずにはいられないのだ。
なにか新人賞を取ったという帯が付いている。なるほど未熟。
まず地の文がおかしい。話者と人称が作者、登場人物の間を行ったり来たりする。
ちゃんと推敲したのか?誰に見せるでもなく酔った勢いで書いたお筆先レベル。話も蛇行気味。
罵倒しているだけというのも何なので具体的に言うが、例えに例えが重なる悪癖がある。
この作品は「ヒロインは未来の世界から流刑で現代に来ている」という構図。
お話のウリ、未知の存在との遭遇、ボーイミーツガール、そういうものはヒロインの特殊さを
いかにして見せるか、その一事にかかっているのだ。…のだが。
ここではそれを異物、ファンタジーとしての扱いでなく神様視点で
「すでに知っていてなんの不思議もないもの」と流してしまっている。
『憐は500年後の世界でストリートチルドレンのようなことをしていた』云々。
謎でもなんでもなく、ただ事情を説明されるだけの話が続く。
設定重視であればその設定に魅力を求めたいところだが、それもない。やるつもりもないらしい。
「~に出てきたこういう感じのアレです」というレベル。

減点方式でつけるならあっという間にゼロになりそうだが、加点要素が見当たらない。
話の骨子。見せ場。オカズ。そういうものが見当たらない。
しいて言えばヒロインがツンデレ。萌えるかどうかは受け手次第。
あとクラスでの会話のノリが良い。…だけ。
最近はこういうのが受けるのか?それともこれが受けると判断されたのか?

例えばの話。視点を主人公にしぼって展開させるだけでもそれなりに見られるものになったろう。
謎、不可思議なこと、恐怖。異質な存在としてのヒロイン。
読み手の興味を維持し、ドラマに引き付けることが出来たかもしれない。
それだけの要素は出しているのだ。それを登場した端からドブに捨てている。

この名前を覚えておこう。過去を忘れるものは過去を繰り返すべく運命付けられている。
覚えている限り、少なくとも同じ場所にあるクソを踏むことはないわけだ。

スタンプラリー百年戦争

2005-04-17 21:56:24 | 創作関係
はじめに言っておこう。嘘です。怒んないでね。

スタンプラリーの起源は、百年戦争後期のフランスにある。

当時の社会状況は悲惨の一語に尽きた。戦争が国土を余す所なく蹂躙している。
すでにイギリスは国内深く侵攻しており、敗色は濃厚となって久しい。
戦争はこの時代すべての人間が生まれる前から続いていて、死んだ後も終わらない。
生活の姿は暗い。若い働き手は兵士にとられるから、農地はつねに人が足らない。
だから作物も多くは取れない。取れても戦費で税が上がっているから、手元にはいくらも残らない。
栄養状態が悪いから、子供が育たない。5人生んで2人大人になるかというところだ。
疫病も流行る。かかれば助からない。村の外れには病死人をなげこむ穴が開いていて、
その口はいつでも空いたままになっている。
よし成長しても、兵士が通過すれば家も農地も焼かれて消え失せる。
土地を失った農民は他の集落に吸収されるか、盗賊となり殺して奪う側に回るか。
パンのために殺す。一夜の宿のために殺す。殺したところで得るものがないから、さらに殺す。
この時代、人の命は驚くほど軽い。

状況は常に悪く、これから先も悪くなっていく。
人々がそう信じた中登場したのが特異な巡礼者、スタンプラリーたちである。

巡礼とは秘蹟や聖地を巡り旅するものたちであるが、彼らはその伝ではない。
各地の貴族や教会の所領、ダンジョン(地下牢)を巡るのだ。
そして場所に応じたスタンプを捺される。スタンプは囚人に捺す焼印である。
肌身に焼き鏝を当てるわけであるから当然激しく苦しい。当てた部分の脂肪が溶け落ちるほどだ。
体力的な損耗も相当なもので、中にはそのまま死ぬものもある。
そうまでして、なぜ罪人の証を進んで受けるのか?
彼らはこれによって信仰の証を立てていたのである。

彼らは人の罪を背負い、ともに苦しみを味わい、放浪して、死んでいく。
神よ、人々をお救いください。その罪も罰もわが身の上にお与えください。
彼らは僧侶ではない。ラテン語ができないから字も読めない。
苦しむ村に生まれ土地を失った農民の成れの果てというのが、およその素性であった。
祈りの言葉も持たない彼らが、それでも自ら為しうる祈りの形を求めたのが苦痛であった。

彼らの足跡は、後年の記述によるところが大きい。
それも教会が彼らを異端としたための裁判記録が主である。
15世紀はじめ、スタンプラリー巡礼者は絶えた。
しかし彼らを生み出した人々の絶望、そして狂おしいまでに救いを求める熱情は、
のちにオルレアンの乙女を生み出す土壌ともなった。
さらに多くの犠牲を払いながらも、フランスは国土を回復し
人々はありし日の生活を取り戻していったのである。


むかし書いたモノが出てきたので、ここにのせてみた。
もはや日記でもなんでもない…