携帯破壊者~FOMA destroyer

三ヶ月に一度書くくらいの日記コーナー。

ゼーガ見るために半休をとる予定

2006-09-24 22:43:23 | Weblog
…いい大人がなにやってんだかなあ。でも取る。
この作品に対してはそれくらいしてもバチは当たらないと思うんすよ。


いや、この半年、この番組がいちばん熱かったよ。ほんとに。
振り返るとほんとに難しい…ほとんど不可能なことを綱渡りのように
成し遂げていったシリーズ。26回の長丁場を完全に使い切った、見事な構成だった。ゼーガのお陰でこの半年、毎週楽しみなアニメがあるというオタクの享受する最大の幸福を持たせてもらった。ありがたい。


このシリーズでは様々な二項対立が提示されてきた。
虚構と現実、日常と非日常、生きているものとそうでないもの、人間とそうでないもの、…ロボットアニメという体をとっているが、その実、P・K・ディック的なカテゴリSFのテーマを持つ。だがディックがその疑問を提示するにとどめたのに対し、ここでは力強く挑みかかる姿勢を見せている。主人公、ソゴル・キョウのパーソナリティの底知れないポジティブさが、ここでゼーガをもう一度ロボットアニメに引き戻す。この兼ね合いの愛しくなるようなスリル!

このシリーズが見事だったのは、およそあらゆる設定や伏線を言葉でなく、象徴と描写の力で展開し、回収してきたことだ。視聴者をきちんと意識し、伝えようという誠実さがそうさせたのだろう。ため息の出るような、冴えたやり方だった。


…ただ、だからこそ、少しだけ文句というか残念なことを言うならば…
シズノ先輩の決着について、おざなりになったうらみが。
謎めいた先輩としてキョウを導いてきたこの人だが、その動機も影の面も、ヒロインとしての位置がリョーコに移行するにしたがって遠ざかってしまっていった。これはもっと前半の…おそらくは前半クールのクライマックス、アークの死に少し遅れるかたちで出てくる話だったのではないかと思う。でもそこではやれない。話の力点が動くあたりで、シズノの物語は直接そこに関わりがないから。
…正直ありうべきオルタナティブが思い浮かばない。カミソリも入らぬ精緻さで組まれた石垣のごとき構成なので。

第一回、キョウはシズノ先輩のキスで異界へと旅立った。じっさいは異界から現実へ帰還したわけだが、今回キョウはリョーコにキスをする。『キスしてグッバイ』。誰かに連れられるわけでなく、自ら選んで、舞浜という虚構から現実へ帰還する、その傍らにはふたたびシズノがともにある。実体を得たキョウがの体に触れることは、ない。もはや彼はシズノを先輩とは呼ばない、ただシズノと呼ぶ。そして笑う。

ゼーガ熱いわー

2006-09-02 22:54:02 | Weblog
絶版の多い南條範夫作品。
オクやら古本屋やらで見つけ次第確保を繰り返すうち、所蔵数がすげえことに。
さっき数えたらダブり除外して80冊強。
さいきんの読書傾向と来た日には、南條→ラノベ→その他新書ないしマンガなど→南條 
…という地獄の積み本消化リレーと化している次第。ダブりも多いし、どーしたもんか。


さておき、ゼーガですよゼーガ。いよいよ佳境。
今回も見ていてグッと来るような、ここまでのドラマの重みがあってこその
丁寧でしみてくる描写がありました。
ゼーガの水際立ったところは、あの複雑な設定を全く苦にさせず、物語のガジェットとして機能させきったところだと思うのです。長いシリーズを通して一貫した構成をつくりあげた技量、まさに舌を巻くばかり。
SF要素も作劇の支えとして十全に昨日していますし、切迫感を与えるシナリオに痺れます。
作画も今回は相当に力の入った回。そして次回予告はそれをさらにしのぐようにも見えます。アニメの予告を見ていて泣きそうになったのは久しぶりだ。
敵味方、ナレーションからクロシオ先輩のような端役に至るまで、
全員に死相が出ているすさまじさ!
会社を早退してライブで見たいとすら思いましたよ。


ふと思う。
もしも南條がもう少し長生きして、あと急に宗旨を変えてSFロボットバトルを
書いていたら、きっとこういう話を書いていたんじゃないだろうか。
美しく、残酷で、展開が早いけど、精密で豪快な物語。