携帯破壊者~FOMA destroyer

三ヶ月に一度書くくらいの日記コーナー。

スタンプラリー百年戦争

2005-04-17 21:56:24 | 創作関係
はじめに言っておこう。嘘です。怒んないでね。

スタンプラリーの起源は、百年戦争後期のフランスにある。

当時の社会状況は悲惨の一語に尽きた。戦争が国土を余す所なく蹂躙している。
すでにイギリスは国内深く侵攻しており、敗色は濃厚となって久しい。
戦争はこの時代すべての人間が生まれる前から続いていて、死んだ後も終わらない。
生活の姿は暗い。若い働き手は兵士にとられるから、農地はつねに人が足らない。
だから作物も多くは取れない。取れても戦費で税が上がっているから、手元にはいくらも残らない。
栄養状態が悪いから、子供が育たない。5人生んで2人大人になるかというところだ。
疫病も流行る。かかれば助からない。村の外れには病死人をなげこむ穴が開いていて、
その口はいつでも空いたままになっている。
よし成長しても、兵士が通過すれば家も農地も焼かれて消え失せる。
土地を失った農民は他の集落に吸収されるか、盗賊となり殺して奪う側に回るか。
パンのために殺す。一夜の宿のために殺す。殺したところで得るものがないから、さらに殺す。
この時代、人の命は驚くほど軽い。

状況は常に悪く、これから先も悪くなっていく。
人々がそう信じた中登場したのが特異な巡礼者、スタンプラリーたちである。

巡礼とは秘蹟や聖地を巡り旅するものたちであるが、彼らはその伝ではない。
各地の貴族や教会の所領、ダンジョン(地下牢)を巡るのだ。
そして場所に応じたスタンプを捺される。スタンプは囚人に捺す焼印である。
肌身に焼き鏝を当てるわけであるから当然激しく苦しい。当てた部分の脂肪が溶け落ちるほどだ。
体力的な損耗も相当なもので、中にはそのまま死ぬものもある。
そうまでして、なぜ罪人の証を進んで受けるのか?
彼らはこれによって信仰の証を立てていたのである。

彼らは人の罪を背負い、ともに苦しみを味わい、放浪して、死んでいく。
神よ、人々をお救いください。その罪も罰もわが身の上にお与えください。
彼らは僧侶ではない。ラテン語ができないから字も読めない。
苦しむ村に生まれ土地を失った農民の成れの果てというのが、およその素性であった。
祈りの言葉も持たない彼らが、それでも自ら為しうる祈りの形を求めたのが苦痛であった。

彼らの足跡は、後年の記述によるところが大きい。
それも教会が彼らを異端としたための裁判記録が主である。
15世紀はじめ、スタンプラリー巡礼者は絶えた。
しかし彼らを生み出した人々の絶望、そして狂おしいまでに救いを求める熱情は、
のちにオルレアンの乙女を生み出す土壌ともなった。
さらに多くの犠牲を払いながらも、フランスは国土を回復し
人々はありし日の生活を取り戻していったのである。


むかし書いたモノが出てきたので、ここにのせてみた。
もはや日記でもなんでもない…