核兵器も非人道兵器も条文では排除されていない
８月５日中谷防衛相が、安保法制＝戦争法案では、弾薬に核兵器も条文上含まれ、海外派兵をした自衛隊は米軍のために核兵器の輸送も可能だと答弁したことは、この戦争法の危険な本質を表している。自衛隊が米軍の戦争＝大量殺りくに加担することである。
高村副総裁はそのあと即座に講演会で「非核三原則は日本人の常識、自衛隊が核弾頭を運搬するなんてあり得ない、あり得ないことを質問して民主党は国民を不安に陥れている」などと言って、追及する民主党の側への反発を煽る挙に出た。
※高村副総裁 核兵器の輸送「あり得ない」（東京新聞）
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015081002000117.html
武器・弾薬の運搬問題は、その後も国会審議で問題になり続けている戦争法の核心である。多くの憲法学者も「武力行使との一体化」として憲法違反の最大の根拠としている。兵站、武器弾薬の輸送・供給は戦争そのものだ。８月２６日には自民党の高橋克法議員が「毒ガス兵器や劣化ウラン弾などは国際法違反だから絶対にやらない。だからあたり前のことをわざわざ法案に書かないのではないか」などとやらせ質問をしている。
※ 防衛相、劣化ウラン弾輸送「想定せず」 安保法案に除外規定なし（東京新聞）
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015082602000243.html
だが、最近の沖縄での米軍ヘリ墜落事故や相模原倉庫爆発事故でも、日本の領海・領土で起こった事件であるにもかかわらず、日本の警察や捜査当局は米軍の許可なしでは一切捜査することができない。消火活動すらできない。相模原事故では、日本政府は、“有毒な物質はない”という米軍の表明をそのまま垂れ流している。
※米軍倉庫爆発 実態把握に地位協定の壁 消防検査や捜査困難（東京新聞）
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015082502000123.html
※相模原・米軍爆発事故で在日米軍司令部「弾薬や放射性物質は保管していない」（産経新聞）
http://www.sankei.com/affairs/news/150824/afr1508240013-n1.html
※米軍ヘリ墜落事故糾弾！事故の詳細、自衛隊特殊部隊参加の詳細を明らかにせよ！（リブ・イン・ピース☆９＋２５）
http://blog.goo.ne.jp/liveinpeace_925/e/b448bcd180f22c3f80f25641d5aa3a56
そのような日本政府が戦地に自衛隊を派遣し、米軍の指揮下に入り、輸送するように指示された武器・弾薬が何かなど米軍に問い詰めるはずがない。米軍は実際にイラク戦争、アフガニスタン戦争において、非人道兵器とされるクラスター爆弾、劣化ウラン弾、白リン弾、燃料気化爆弾などを投下し、大量の人々を殺害している。
そもそも人殺しのための武器や弾薬に「非人道か人道か」などない。武器・弾薬の輸送自体が民間人を無差別に殺りくする戦争犯罪だ。「後方支援」とはこのような許し難い大量殺りくに手を貸すことだ。
※米の「テロとの戦争」の犠牲者は130万人を超える（リブ・イン・ピース☆９＋２５）
http://blog.goo.ne.jp/liveinpeace_925/e/e577185503a3d138e4be683bb5acc93a
言うまでもなく問題は、実際に自衛隊がイラクやアフガニスタンで「核兵器を運搬するかどうか」ではない。そんなことはないだろう。問題は、米軍の戦争に自衛隊が自ら進んで協力し、“どれだけ残酷で非道な武器・弾薬であろうとも喜んで米軍に供給・輸送しますよ”という事なのだ。法案では一切の物資の供給が可能となっている。
※以下が国際平和支援法案の該当条文。「物品役務の提供」「補給・輸送」となっており、いかなる物品や役務も排除されていない。
「第三条 二 協力支援活動 諸外国の軍隊等に対する物品及び役務の提供であって、我が国が実施するものをいう。」
「別表第一（第三条関係） 補給、輸送、修理及び整備、医療、通信、空港及び港湾業務、基地業務、宿泊、保管、施設の利用、訓練業務、建設」
http://blog.goo.ne.jp/liveinpeace_925/e/b3f4961bb774d968f3e36f94d7a6b8f6
（岩）
（つづく）
