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オバマの「対テロ戦争」(2) CIAによる拷問報告書の公表。しかし他方で新しい尋問機関を設置。

2009-08-30 | オバマの「対テロ戦争」
 8月24日、CIA(米中央情報局)による恐るべき拷問報告書が公表された。公表された報告書は、04年5月にCIAがまとめたもので、「対テロの拘束と尋問活動(2001年9月~2003年10月)」と名付けられた最高機密文書である。
 報告書は、取り調べで銃を突きつける、電気ドリルで脅す、「母親をレイプする」「子どもを殺す」と脅迫する、後ろ手に縛った腕を持ち上げて脱臼させようとする、意識を失うまで頸動脈を絞め揺さぶって起こすことを繰り返す、顔を覆った布の上に水を注いで窒息の恐怖を抱かせる「水責め」、眠らせない、座らせない、「寒さ責め」など、典型的な拷問手法が暴露されている。
※Prosecutor to Probe CIA Interrogations(ワシントンポスト)
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/08/24/AR2009082401743_pf.html
※Top prosecutor orders probe into interrogations; Obama shifts onus(CNN)
http://www.cnn.com/2009/POLITICS/08/24/us.terror.interrogations/index.html
※Full text: CIA internal report on interrogation methods(Independent)
http://www.independent.co.uk/news/world/americas/full-text-cia-internal-report-on-interrogation-methods-1777018.html
※「電気ドリル」「寒さ責め」…CIA尋問の一端、判明(朝日新聞)
http://www.asahi.com/international/update/0826/TKY200908260032.html

 だが同時にオバマ政権は、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)が監督する、省横断型の新たな「テロリスト」尋問機関を設置すると発表した。このことは、オバマ政権が、CIAによるおぞましい拷問・虐待の事実を公表し過去のものとして捨て去りながら、依然、市民の無差別拘束・拷問・虐待を「対テロ戦争」の主要な戦術として維持し続けることを意味する。オバマは公表に際して「過去は振り返らない」と語り、責任者を追及しないことを明らかにした。
※オバマ米大統領、テロ関連の新尋問チーム設置を承認(AFP)
http://www.afpbb.com/article/politics/2633861/4491463
※CIAの拷問疑惑、捜査へ でも「過去は振り返らない」(朝日新聞)
http://www.asahi.com/international/update/0825/TKY200908250178.html

 「対テロ戦争」の不可分の一部である「戦時捕虜」への虐殺、虐待、拷問については、2004年4月、アブグレイブ収容所での虐待写真がメディアを駆けめぐることによって、世界中に知らされた。今回の報告書がまとめられたのが、2004年5月であるとするならば、まさにブッシュ政権がCIAによる「戦時捕虜」への虐待をエスカレートさせていた時期であり、虐待の発覚という事態の波及を最小限に食い止めるために、実態を把握する必要に迫られたと見ることもできる。
※米占領下アブグレイブ“強制収容所”における第一級の国家犯罪・戦争犯罪(署名事務局)
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/Iraq/abu_ghuraib.htm

 アブグレイブ収容所拷問・虐待事件の核心の一つは、指揮系統の問題であった。看守を担当していた「第372憲兵中隊」がなぜ尋問にまで関与することになったのか、なぜCIAや民間軍事会社がその上部組織として君臨するという異常な指揮系統が生まれたのか、なぜ、キューバ・グァンタナモ基地の収容所で指揮をとっていたミラー少将がアブグレイブの指揮を執るようになったのか等々。つまり今回の文書は、アブグレイブにとどまらず、陰の組織=特務機関であるCIAが「対テロ戦争」において、組織的な拷問への関与を行い、その非合法の手法まで詳細に明らかにされるという、まさにCIAの組織犯罪を裏付ける重要な資料なのである。またこの資料については、CIA自らが隠ぺい工作を働いていたこと、公開された資料についても200ページを超える文書の大部分が黒塗りであり、関与した機関や人名などが伏せられていることなどからも、CIAにとって知られたくない事実だったことは間違いないだろう。CIAにつながる糸とは、間違いなくブッシュ政権中枢であり、ブッシュの戦争犯罪を裏付ける、「公式な」、重要な資料が明らかになったということである。
※NHKスペシャル「微笑と虐待 証言アブグレイブ刑務所事件」の紹介(リブ・イン・ピース☆9+25)
http://www.liveinpeace925.com/iraq_afgan/iraq_6th_anniversary02.htm

 一方20日には、CIAが04年、米民間軍事会社「ブラックウォーター」社に、「アルカイダ」の幹部を暗殺するよう委託していたと報じている。この計画が中止されたのは今年6月のことだ。つまりオバマ政権下でも継続されていたのである。
※Blackwater 'hired for CIA plan'(BBC)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/8211088.stm

 いまだに、政権中枢の誰一人として「戦時捕虜」への虐殺、虐待、拷問というブッシュの戦争犯罪の責任をとっていない。有罪とされたのは、アブグレイブ拷問の末端を担った一般兵の7人のみだ。ラムズフェルドは彼らを「腐ったリンゴが勝手にやった」といい、すべての責任を、命令によって拷問をやらされた兵士たちに押しつけてすませてしまったのだ。
 ブッシュを引き継いだオバマ政権に対して、真実の徹底究明、責任者の明確化、処罰を求めることは、変らぬ課題である。そしてオバマは、一切の「捕虜」虐待・拷問を中止し即時無条件にすべての被拘束者を解放すべきである。

(ハンマー)

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