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ロシア人の暮らし その3

2006-03-10 13:07:00 | ロシア

ソーブルСОБР (Спеч Отряг Выстрого Реагирования)内務省組織犯罪総局の緊急対応特別支隊に勤務する、親戚(母の従兄弟、つまりわたしの叔父にあたる)の話の続きです。

州都であるロシアでも五本の指に入る大都市に駐留する部隊勤務が、彼の日常生活です。組織犯罪に対応するために、ソーブルはロシアの主要な都市に配置されています。組織犯罪に対する彼らの活動はメディアで、たびたび報道されていたのですが、日本では考えられないほど強烈なものでした。

跋扈する組織犯罪者(ロシアン・マフィア)を沈静化すべく、プーティン大統領の命で組織されたこの特殊部隊、ひとたび出動となれば抵抗する犯罪者たちの投降さえ許さず、全員射殺という過激な姿勢でした。百罰一戒、見せしめのために事件のむごたらしい状況が、よくメディアに報道されていました。エリッイン大統領の当時も類似の特殊部隊は編成されていたのですが、組織犯罪総局の上層部に腐ったリンゴが混じることしばしばで、機能が不完全燃焼という状態でした。

現在では、少なくともソーブルが駐留する都市での組織犯罪の表だった犯罪活動が、見られなくなっているのは事実です。叔父の部隊が駐留する都市は、わたしの母の出身地でもあり一族が住んでいますが、混乱していた状況から治安がかなり回復されました。日常生活の不安が、払拭されたと言って良いでしょう。しかしソーブルが駐留していない、あるいはその影響力が及ばない地方小都市での組織犯罪については、まだまだ問題がありそうです。

ロシアン・マフィアは地域でのソーブルとの摩擦をさけ、むしろその犯罪活動を合法的なビジネスへと転化させました。表面的に組織だった犯罪活動が消え失せ、ある種の秩序が確立されています。勿論このことは、地域から犯罪が無くなったことを意味しません。麻薬、売春、恐喝、強盗等犯罪は絶えません。だがしかし、市民のロシアン・マフィアに対するどうしようもない無力感が失せました。

ロシアではビジネスをする際に、そのビジネスの規模が大小に関わらず、必ずと言っても過言で無いほどロシアン・マフィが介入していました。ソーブルが駐留している都市では、ソーブルが組織犯罪者あるいはまた、非組織犯罪者からそれらのビジネスを保護します。だがしかし、それなりの見返りが必要です。と言うと、なにやら代わりの悪代官が赴任してきただけみたいなのですが、より合理的で穏健なもとに秩序だっていると言うことでしょうか。

笑い話があります。「うちの会社は怖いことは何も無ぞ、ソーブルに見かじめを出してるからな」と、マフィア

前々稿で、危険なソーブルに志願する理由は何かと疑問を投げかけたのですが、こうした役得もその一つ。実際隊員の裏収入が表のサラリーの二十倍から三十倍はありそうです。もちろんそれだけではありません、各種教育機関への進学も手厚く、組織での昇進も早い。そして驚く無かれ、年金の受給資格年齢が三十五才と優遇されている。もっとも、男性ロシア人の受給資格年齢が60才で、その平均寿命が59才代であるところを考えると、ソーブル隊員の平均寿命はもしかしたら34才代かも、と勘ぐりたくなる。ある意味では合理的なんだから、ロシアは!!??



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