ちょっとおもしろい記事を読みしましたので一部を掲載させてもらいます。
苦難の時代生きる若者へ 「大物」育む拍手を
臨床心理学者の河合隼雄さんがまだご存命の時、「人の話をちゃんと聞くのが下手で、相手がなかなか口を開いてくれず、語りだしてもすぐまた黙り込んでしまったりして、そんなときはどんなふうに応じたらいいのですか」と質問したことがある。河合さんはとにかく「ほう」と言いなさい、「すごい話ですね」「もっと聞かせて下さい」というメッセージを伝えることが大事です、とおっしゃった。いろんな声色で、相づちを打つかのように「ほうほう」「ほーッ」と。そんなおもしろがられると、つい話をしてみようかとなるのだそうである。
(中略)
デズモンド・モリスの「ふれあい」によると、拍手というのは、プレイヤーを抱きしめ瀬中を叩いてやりたいところが、その相手、競技者や舞台俳優が遠くにいるので、左手に不在の相手の背中の役をさせ、それを叩く形をとったとき、拍手になったという。そう、「空っぽの抱擁」である。
若い世代にとっては苦難の時代。必要なのは叱咤や激励ではない。じぶんのことより先に他の人を支えることを考える、そんな「大物」のポジティブな気持ちが立ち上がるきっかけをつくってあげることだとおもう。「ほう」と感心し、「いいぞ、いいぞ」と手を叩きながら。
鷲田清一(わしだ・きよかず) 哲学者 京都市立芸術大学長
苦難の時代生きる若者へ 「大物」育む拍手を
臨床心理学者の河合隼雄さんがまだご存命の時、「人の話をちゃんと聞くのが下手で、相手がなかなか口を開いてくれず、語りだしてもすぐまた黙り込んでしまったりして、そんなときはどんなふうに応じたらいいのですか」と質問したことがある。河合さんはとにかく「ほう」と言いなさい、「すごい話ですね」「もっと聞かせて下さい」というメッセージを伝えることが大事です、とおっしゃった。いろんな声色で、相づちを打つかのように「ほうほう」「ほーッ」と。そんなおもしろがられると、つい話をしてみようかとなるのだそうである。
(中略)
デズモンド・モリスの「ふれあい」によると、拍手というのは、プレイヤーを抱きしめ瀬中を叩いてやりたいところが、その相手、競技者や舞台俳優が遠くにいるので、左手に不在の相手の背中の役をさせ、それを叩く形をとったとき、拍手になったという。そう、「空っぽの抱擁」である。
若い世代にとっては苦難の時代。必要なのは叱咤や激励ではない。じぶんのことより先に他の人を支えることを考える、そんな「大物」のポジティブな気持ちが立ち上がるきっかけをつくってあげることだとおもう。「ほう」と感心し、「いいぞ、いいぞ」と手を叩きながら。
鷲田清一(わしだ・きよかず) 哲学者 京都市立芸術大学長
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