象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

”インパールの悲劇”(前半)〜”愚将”牟田口廉也と日本陸軍史上最悪の作戦

2018年08月04日 03時45分16秒 | 戦争・歴史ドキュメント

 BSスペシャル戦慄の記憶〜インパール完全版」には、驚愕と屈辱と怒りを覚える。”出来の悪いヒストリーチャンネル”と揶揄されるNHKにしては、まともな番組を流すもんだと感銘を受けた。
 アホな軍人ほど出世し、その成り上がったアホで固めた上層部ほど、無益で無駄な犠牲者を生むの典型な負の屈辱の歴史。今日は、日本陸軍史上最も無謀な作戦と言われた”インパール作戦”で、大失態を犯した愚将•牟田口廉也の物語です。続編のインパールの悲劇その2戦慄の記録 インパール(共に要クリック)も宜しくです。

無謀で愚劣なインパール作戦

 死傷者72500人を出したインパール作戦。補給路がないという杜撰な戦略の元進められたこの奇襲作戦は、”太平洋戦争で最も悲惨で愚劣な戦い”と評され、参戦した日本兵のおよそ9割に当たる約7万8000人が命を落としたとも言われている。
 しかも、その主な死因は戦死ではなく餓死。餓死と言っても大半は自殺だった。敗走路となった現在のアジアハイウェイ1号線には、夥しい数の遺体が積み重り、その痛ましい光景から”白骨街道”という名がつけられた。

 この”インパール作戦”の責任者、牟田口廉也は戦後、中華レストラン”ジンギスカンハウス”の社長として、ぬけぬけと経営者にのし上がってた、という話はあまり知られてはいない。

愚将、牟田口廉也の大失態

 第二次大戦末期、第15軍司令官に任命された牟田口中将は、強引に無謀な計画を推し進め、典型の陸軍精神論に拘り、多くの無益な戦死者を輩出した。牟田口は典型の軍人官僚で、戦後も、インパール作戦の大失態を反省する事はなかった。その上、インパールを立案した上層部たちは責任を逃れ、A旧戦犯を免れた。

 ”あれは私のせいではなく、部下の無能さのせいで失敗した”と、合同慰霊祭に参列した遺族の前で、言い放った。勿論、兵士たちへの謝罪の言葉は死ぬまで無かった。佐賀のド田舎にもこんなバカが存在したとは。佐賀藩の崇高なプライドは何処へ行ったのか💢💢💢。
 戦争はバカを”半端ない”バカに変えてしまう。その大バカが殺戮者になったら、どんなに末恐ろしいか。72500のいや78000という死者の数字は、牟田口のバカ指数をそのまま具現する。

 ”愚将”牟田口は、インパール作戦失敗の後、軍司令官を解任され、予備役中将として陸軍予科士官学校長に補され、温々と終戦を迎えた。

 ”インパール作戦を全面的に是認し、強なに実行する事を企画したのは、ビルマ方面軍である。牟田口中将の発意によるがごとき論断は、適当ではない”と、ビルマ方面軍司令部は牟田口を養護するが。司令部もまた無能とバカの塊である。

牟田口の自惚れと無能

 しかし、彼の周りの将校たちは、自責の念に駆られ、自決をした者も多い。しかし、彼だけは違った。何が彼をそうさせたのか?

 元英軍中佐のアーサー•パーカーの書簡に、”もし日本の連隊がディマプールに突進してれば、インパールも日本軍によって占領されてたであろう。なぜなら、佐藤師団がディマプールに突入してたら、英第四軍団はインパールから撤退していたからである”と記されていたのだ。
 牟田口を褒め称えるこの書簡を見て、牟田口のバカは、自らの無能さに自惚れたという。

 連合軍も枢軸軍も、互いの軍人官僚の知能の低さ、知略のなさは追い詰められた時に、愚かにも露呈する。アホと軍人官僚は使いようという事か。
 という牟田口もかつて、第18師団長として部下を率い、ビルマ戦線にも加わった時、1942年9月、南方軍のアッサム地方への侵攻の立案を、上司である飯田祥二郎第15軍司令官と共に、兵站面の準備不足として反対し、同作戦を無期延期させ、的確かつ冷静な判断を下した時期もあったが。
 ”大本営や南方軍の希望を妨げ、第15軍の戦意を疑わせてしまった”と、彼は後に反省している。

インパールの実態

 しかし、インパール作戦では、補給不足はもっともっと深刻だった。
 1944年3月から開始された、この”無策”なインパール作戦は、ジャングルと2000m級の山々が連なる山岳地帯での奇襲攻撃という”無謀”な立案だった。

 この作戦に関しては当初、南方軍司令官や第15軍の参謀、隷下師団のほぼ全員が、補給が不可能という理由から反対した。
 しかし、戦局の打開を期待する軍上層部の意向に後押しされる形で、最終的にはこの作戦の実施は決定される事となったとある。

 所詮、愚将牟田口も無能な上層部の頭のイカれたコマに過ぎなかった。軍組織の中でも、”無能なバカほど出世する”という法則は通用するのだ。

 そして、その無能でバカな軍上層部の犠牲になったのが、良識と崇高な精神を備えた200万を超える民間兵である。全く悲しい限りだが、これが戦争なのだ。
 戦争が愚かではなく、人間が愚か過ぎるのだ。特に、指揮系統にその愚かな人種が集まり過ぎた。

バカほど出世する軍人官僚

 ”バカほど出世する”ブログで述べたように、バカでも上手く行ってる時は良いが、一旦悪い方向へ進むと、全く歯止めが効かない。バカほど自己否定が苦手なので、犠牲を覚悟で精神論のみを頼りに突き進む。
 こういった産廃系軍人バカは、身内の大量殺戮にも無頓着だ。それは、側近の証言でも明らかになってる。こんなんが師団長になれば、兵隊と結末は憐れだ。

 因みに、佐賀県武雄市の人で、ビルマ戦線に参軍した人の話を聞いた事がある。まんまと戦争プロパガンダに騙され、日本圧倒的優位と皆意気揚々と突撃したらしい。
 しかし、相手は、追い詰められてる筈の敵兵ではなく、ミサイルや砲撃の集中砲火だった。何も知らされてない素人兵はそのまま突進した。勿論、殆どが一瞬にしてミサイルや砲撃の餌食となった。
 その人は末恐ろしくなり、必死で逃げたという。”これは戦争じゃない、一方的な殺戮だ”そして、気がついたら、敵兵に捕まり、直ぐに終戦になった。

 僕は、いい話だとその人を労った。しかし、”こんな話をしても誰も聞いてくれないし、敵前逃亡だとバカにする”と、嘆いておられた。
 終戦直後は美談ばかりが報じられた。戦後70年経って、ようやく”負の真実”が堂々と報じられるようになった。つまり、日本人が勇気を持って自己否定に目覚めるのに、70年を要した訳だ。 
 その負の真実の殆どが指揮系統の無能さだ。A級戦犯というより、超A級のドアホだろう。彼らは”靖国”で安らかに眠ってるのだろうか。それとも靖国でも虐殺というバカやってんだろうか。

メディアの美談と生身の悲劇

  いくらメディアでドキュメンチックに報道しても、たった一人の生き残り兵の、悲痛に満ちた生身のドキュメントには遠く及ばない。彼らは無能な軍上層部の取り返しのつかない大失態を一人で背負い、世間から周りから、戦死者の遺族や親族から、白い目で見られながら、必死に耐え抜いて生きてきたのだ。

 一人の無能な馬鹿がいると、99人のまともな人間が犠牲になる。それは今言ったインパール作戦の悲劇やノモンハン事変の敗北、南下政策の失態や太平洋戦争の惨劇が見事に証明してる。広島長崎も無能な指揮官が招いたものだ。戦時中の指揮官とは所詮そういうもんだ。彼らにとって、現場の兵士とは死にゆく駒に過ぎない。

 ”友軍の人肉を切り取って売買したんだ。これが本当のインパールだ”、この生き残り兵の無念の言葉が全てを物語る。
 そして2018年、日本の首相は安倍だ。せめて彼が牟田口の様に、いや帝国陸軍上層部の様に無能でない事を只々祈るばかりだ。



2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
愚将とは言い得て妙です (paulkuroneko)
2018-08-04 12:57:18
こんにちわ。

”インパールの惨劇”は私も見ました。ノモンハンの敗北も上層部の無能さが齎した事は世界の共通認識となってるわけですが。このインパール作戦も南下政策やノモンハン以上に、愚劣な作戦であったといわれてます。

日本は第二次大戦で、全ての恥を無能さを世界中にさらけ出した事になりました。民族解放とかの大義名分が完全に吹っ飛んだ瞬間です。

これも日本の封建主義という縦社会の歴史が長すぎたせいでもあり、牟田口の元始的で愚かな精神論は、身内でも背を背けたくなるでしょう。

牟田口お得意のジンギスカン作戦も頼みの家畜の大半が水死し、すぐに破綻します。その名をとってレストランを開くとは、転んださんの言う通り、具の骨董というか、馬鹿の骨董というか。

連合軍は空輸で、日本軍は陸路で物資を運んだ為に、補給系統では雲泥の差が出た。

圧倒的不利な状況でも牟田口は負傷者や病人をほったらかしにして、飢餓寸前の兵に突撃を命じた。お陰で死傷者はあっという間に増え続け、数万の命を奪い去ったという。

牟田口中将は失敗の責任を取らされるのが怖くて、突撃を命じたという。”弾薬がないとか食う物がないとかは撤退する理由にはならぬ”と言い放ったという。”日本は神の国、神様が守ってくださる”と言い続けたという。その結果が七万五千人の死者だ。

つまり、日本が神の国だったのは日露戦争までだったんです。後はあまりにも無能な上層部に呆れはて、流石の神様も天罰を下したんでしょうね。神様は何時の時代も正直なんです。

以上長々とした補足でした。
 
返信する
Re:愚将とは言い得て妙です (lemonwater2017)
2018-08-05 15:18:08
paulさん、こんにちわです。
毎回、憎いコメント助かります。

 ジンギスカン作戦とは笑ってしまいますね。脳みそが家畜レベルなんでしょうね。
 英米軍が航空機を使って物資を運んでたのに、日本軍は家畜ですよ。時代錯誤もいいとこですね。

 こんなレベルで中将になれるんですから、戦争というものが如何にバカな軍上層部同士でやりあってるのかが、理解できます。

 結局この牟田口もトルーマンと同様に、インパール作戦が大失敗と解りながら、先延ばしにし、75000の自軍兵士を死に追いやったんです。自分の責任逃れの為にです。

 神様の逆鱗に触れるのも当然ですが。神様は牟田口にもトルーマンにも慈悲を与えたんでしょうか。こういうのを見る度、無神論でよかったと。

 paulさんのこのコメント、ブログに補足しときますね。何時も有難うです。
返信する

コメントを投稿