象が転んだ

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”悪魔の兵器”はこうして誕生した”その1”~”原爆の父”オッペンハイマーの腐った野心と傲慢な知欲

2018年09月07日 03時07分29秒 | 戦争・歴史ドキュメント

 BS1スペシャル「”悪魔の兵器”はこうして誕生した」は、NHKの底力を感じされる番組だと思った。それに、NHKが歴史から学ぼうという姿勢は素直に評価したい。

 ”日本に対する原爆投下は、軍事的には全く必要のない作戦だった”と、日本列島を丸焦げにしたアメリカ空軍の幹部達は証言した。
 勿論同様に、日本列島への無差別空爆も軍事的には全く必要のない作戦だったと言えやしないだろうか。


”悪魔の兵器”はなぜ?誕生した

 この原爆開発を取り仕切る最高機関の秘密裏の存在。その中の”二人の科学者”の存在。彼等は一体何者なのか?
 そこで見つけ出したのが100巻以上の16mmフィルム。そこには、自らの思いを赤裸々に語る科学者たちの姿が•••。

 広島と長崎に落とされた2発の原爆。その年、21万を超える人々の命が奪われた。
 因みに、投下後5年間で広島20万、長崎14万。現在までは、40万と20万で合わせて60万が犠牲になった。
 日本列島への主要都市部への無差別絨毯爆撃による死者が40万という事を考えると、規模的にはそんなに変わらないが、両方とも不必要な作戦ではあった。
 "悪魔の兵器は何故この世に誕生したのか?"この番組では、”科学者たちの心”に焦点を当て、知られざる原爆開発の舞台裏に迫る。

 こう書くと、”しょうがないじゃないか、戦争なんだから。どうせアメリカの一人芝居だったんだろ、みんな知ってる事さ。日本も日本だし、あの頃は皆狂ってたんだ。戦争とはそんなもんって”多くの日本人は物知り顔で評論家ぶるだろう。
 実は私もその1人だった。全て知ってるつもりだった。つまり、知ると学ぶとは別モノだというのは露知らずの、恥知らずの自分がいた。

 牟田口中将→トルーマン→ルメイとブログを積み重ねる内に、不思議と自明な共通項が浮かび上がる。まるでリーマン予想の様に、大量殺戮者の共通根がある直線上に並ぶ。
 大量殺戮に関する自明な公理が、近い将来に確立できるかもだ。


”原爆の父”オッペンハイマー 

 以下は、”TVのまとめ”コラムからの紹介です。多分、番組で放送された事がそのまんま、一字一句完全に収められてます。
 全てを説明する必要もないのだが、全てを知る事も学ぶ事の一つ。多少の編集と主観と皮肉を加えます。

 原爆の研究開発が行われたロスアラモスは、人口僅か1万2千の荒野の中にある。
 マンハッタン計画の主導者で、当時のこの研究所長こそが、この番組の”悪魔の兵器”の第一の主人公でもある、ロバート・オッペンハイマー(写真右)です。
 名前くらいは聞いた事がある人も多いでしょうか。”原爆の父”として銅像が建ってる程ですから、今でも戦争の英雄なんでしょうか、全く笑わせますな。単なる大量殺人鬼のくせにです。
 ”我々は、邪悪と見なされるものを作りだしたが、この原爆も今後の人々の生活を変えるだろう”
 この言葉には、オッペンハイマーの科学者としての残忍性がもろに露呈してますね。心を失ったインテリとは、皆こんなもんでしょうか。

 このオッペンハイマーは、自分が世界で最も偉大な天才だ(と見られたい)と思っていました。その願いを叶える道が原爆開発です。そしてこの野心こそが、彼の異常な強い動機を支えてました。
 全く、無能な科学者の憐れで傲慢な知欲と言えます。
 アメリカ系ユダヤ人である彼は、ハーバードを3年で、しかも首席で卒業。核物理学の世界最先端だったドイツに留学後、僅か25歳でカリフォルニア大学で教鞭をとる。ハーバードなど12の大学からオファーを受けるほど注目される若き学者でした。
 リーマンがいたゲッチンゲン大学で博士号をとった程ですから、相当な知能の持ち主ですね。この頃、ニールス・ボーアと出会い、化学から理論物理学へと傾斜し、ブラックホールの研究に没頭してたんです。
 ”兄は優秀だと思えない人達をひどく傷つけ辱めた。兄にとって優秀である事が全てだった”と、弟が語る様にサイコパシー的傾向にあったのは確かでしょうか。

 第二次世界大戦が始まり、科学者たちの環境は大きく変わる。最新兵器の開発が急ピッチで必要となり、優秀な科学者たちはその協力を求められた。
 アーネスト•ローレンスらノーベル賞受賞者クラスで、原爆の研究チームが組まれたが。実績で劣るオッペンハイマーに声は掛からなかった。彼は親友のローレンスに、強い嫉妬を抱くようになっていく。


レスリー・グローブスの腐った野心

 そこで、オッペンハイマーを支えたのが原爆開発計画の陸軍の責任者レスリー・グローブスの登場(写真左)でした。
 実は第二次大戦以降、原爆の開発は空軍でなく陸軍の管轄に移行し、嫉妬した空軍が最大級の機密を暴露したのも頷けます。
 オッペンハイマーは、グローブスとの面接で、原爆開発のプランを懸命に説明し、自分が所長の座に相応しいと主張した。
 グローブスは、自分を売り込むオッペンハイマーの”野望”に惹かれた
 二人に共通するのが、この”腐りきった野心”でした。彼は、これを世界の歴史に自らの名前を残すチャンスだと考えた。
 そして、2つの腐った野心が狂った強欲に結びつき、悪の兵器を作るんです。

 お陰で、ロスアラモスの所長に君臨したオッペンハイマーは、300人のトップクラスの若い科学者らを”大物科学者と研究ができる”との甘い言葉で誘った。
 彼はグローブスや陸軍と手を組み、原爆を作る莫大な資金と非常に多くの人材を手にします。それは悪魔に魂を売るファウスト的契約の典型でした。
 お陰でオッペンハイマーは、完全に目がくらみ、この大量殺戮兵器を作り上げるという、異常に激烈な情熱に埋没する。


”影武者”レオ・ジラード

 そして第3の男、影武者的存在のレオ・ジラードの登場です。無名の物理学者である彼もまた、原爆開発に憑りつかれた一人で、ドイツから亡命してきたユダヤ人でした。
 ナチの迫害に危機一髪で逃れた彼を驚かせたのが、物質を構成する原子の中核にある”原子核が2つに割れる事が実験で証明された”という、衝撃的なニュースでした。
 もし、原子核を連鎖的に分裂(核分裂)させれば、その放出時の巨大なエネルギーにより、非常に強力な爆弾が作れるとジラードは考えた。
 それに彼が何より衝撃を受けたのが、その実験を成功させたのが憎きナチスドイツであった事です。

 ”核分裂発見”から半年後の1939年9月、第二次世界大戦が勃発。ドイツが原爆開発を進めてると確信したジラードは、ヒトラーが原爆を手にし世界を支配するのを恐れた(実際にはナチスは開発を断念した)。
 原爆開発で先を越されてはならぬと、焦りを募らせたシラードは、ドイツ時代の恩師アインシュタインのサイン入りの手紙を大統領に送る。つまり、シラードの過剰な焦りと過大な危機感が原爆開発という”悪魔への道”を開いたとも言える。
 続いて、”その2”(Click)に進みます。



4 コメント

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アインシュタインと原爆 (paulkuroneko)
2018-09-09 05:08:58
おはようございます。

アインシュタインと原爆の関係ですが。
彼が発見したE=mc^2が原爆のエネルギーの計算に使われた事で、原爆の産みの親という風に大袈裟に捉えられてますが。

事実、ルーズベルト大統領に出したアインシュタインが署名した手紙の中で、"その爆弾は巨大なもので、飛行機による爆撃は不可能と思われるも、船によって輸送し爆発させた場合、広域にわたり破壊しうる"どの彼のコメントが。

しかし実際の原爆開発に全く携わっていないので、アインシュタインが原爆に関わったというのはナンセンスですかね。

日本人には、原爆=アインシュタインというイメージが強すぎでて、事実が正確に伝わってないのは怖いですね。
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Re:アインシュタインと原爆 (lemonwater2017)
2018-09-09 10:39:00
おはようございます。

 私も”原爆の父”はアインシュタインと思ってました(恥)。オッペンハイマーなんて何処かの研究施設の所長くらいにしか思ってなかったです。

 それに、”プルトニウムの父”である、フォンノイマンのイメージが強すぎて。全く何も知らなかった。

 paulさんには何時も大切な事を教えてもらって、身体でお返しをとは思いませんが(笑)。感謝仕切りです。
 でも、降伏すると明らかに判ってたのに、原爆投下とは、良心を痛めた科学者も多かったろうに。
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何だかな (Woo)
2018-09-09 23:49:04
初めまして。

どう言えばいいんだろ。冒頭にもあった様に、日本も日本で朝鮮半島支配やノモンハンや南下政策等の大失態もあるし、ま、そういう事は転んださんも、他のブログで既に述べてるし。

でも、このブログの中身を、転んださんの言いたい事を理解出来る人が、どれだけいるのだろう。世界中の人が見たら、大半の人はお互い様だろうと思うんだろうな。喧嘩両成敗みたいに。

勿論、アメリカに人が見たら、単なる白人パッシングかと。パールハーバーはどうなんだ?あれだって、アメリカから見れば悪魔の奇襲だろうって。

しかし、あくまでこれは、日本の立場でもアメリカの立場でもなく、科学者の立場から見た、第二次世界大戦だし、原爆開発と原爆投下であるんですね。

この科学者の視点で見た原爆とは、戦争とは。私達一般人にどう映るのか。そして私達はどうかんがえるのか。そこから何を学ぶのか。そこに、エリート学者と一般大衆のギャップが必ず存在する訳です。

転んださんが言いたかったのは、この科学者と大衆のギャップを埋める為のブログだと思うんです。でも、大半の凡人は、単なる戦争パッシングと捉えるだろうな。

俺も転んださんの立場だったら、同じ日本人として、同じ様に、いやそれ以上に、かなりキツイ事を書くかもだけど。単にパッシングや非難として捉えられたら、少し辛いな。

でも、こういう事は誰かが書かなきゃならないし、全ては、そこから始まる訳だし、ブログ全般に言える事だけど、読む側がどう捉えるかなんだな。
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Re:何だかな (lemonwater2017)
2018-09-10 05:11:24
Wooさん、初めましてです。

そうなんですよ、私が言いたいのは。全くこういうコメント、とても助かります。

 朝鮮半島支配にノモンハンに、南下政策やインパール作戦等の大失態も、日本も強く言えないんですが。このテーマは科学者が見た戦争であり、原爆なんです。

 悪魔の兵器とは、実によく出来た表現で、日本寄りと思われそうですが。それとは全く違うテーマなんです。

 Wooさんもとても戦争に詳しいから、的確ななコメントを下さってとても救われます。ホント、ブログとは捉え方が全てなんですね。ブログを活かすも殺すもコメントにあり、ですかね。

 ”科学者と大衆のギャップを埋める為のブログ”とは、全くの言い得て妙です。これからも、色々と教えて下さい。
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