象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

危機意識の欠如が招いた”キューバ危機”〜起きる筈のない戦争が起きる時

2021年09月14日 13時22分57秒 | 戦争・歴史ドキュメント

 海上封鎖か、空爆か、それとも取引か。いや忍耐か!それとも辛抱か!

 「”大量殺人鬼”カーチス・ルメイ」に寄せられたコメントに、ルメイとキューバ危機(1962)の事が書かれてた。
 ルメイはキューバ危機の時、ケネディに何度も空爆を進言した。(米軍の力に圧倒的自信を持つ)ルメイはキューバ軍を甘く見てたが、実際には中距離核ミサイルを42基も配備し、兵士の数も(予想された10倍以上の)4万人を超えていた。
 ルメイは、軍事力だけでソ連を屈服できると踏んでいたが、ルメイの提言どおりにミサイル基地を空爆してたら、数十基の核ミサイルが米本土に向け発射され、核戦争による第3次世界大戦どころか、アメリカ主要都市の丸焦げは避けられなかったろう。

 もし、ケネディ政権に危機管理意識というものが少しでも欠けていたら、アメリカは既に死滅し、”9-11”すら起こり得なかったかもしれない。
 事実ケネディは、”やつの言う事を聞いてたら、後悔しようにも、その時に俺たちは存在しなかったろうな”とため息を漏らした。

 1962年のキューバ危機当時、アメリカの軍事力はソ連を圧倒していた。
 フルシチョフは、アメリカとの1対1の戦争になれば負けるのは解っていた。故にケネディも、ソ連が本気でキューバに核ミサイル基地を配備してるとは思いもよらなかった。
 しかし、フルシチョフもケネディも米ソの全面戦争になれば、最悪核戦争に陥る事を最も危惧していた。一方で、キューバのカストロはアメリカの脅しに怒り心頭になり、アメリカに核を落とすべきだと主張し、ルメイは圧倒的な軍事力でキューバを丸焦げにしようと目論んでいた。
 勿論、二人の進言は最初から受け入れられる筈もなかった。


誰も望まない戦争がなぜ起こるのか? 

 1962年10月15日から28日は、史上最も人類滅亡の危機が高まった13日間だった。
 アメリカとソ連という超大国同士の全面核戦争が、現実的なオプションとして両国首脳に議論されていた。
 アメリカ大統領J・F・ケネディもソ連第一書記ニキータ・フルシチョフも、決して望んではいなかった筈の破滅的な結末へ、もう少しで足を踏み出す所だった。
 「キューバ危機〜ミラーイメージングの罠」(デイヴィッド・A・ウェルチ著)では、この危機をもたらしたものは何か?この危機がギリギリの所で回避されたのはなぜか?そしてこの危機から私たちは何を学ぶのか?を教えてくれる。
 以下、”誰も望まない核戦争がなぜ現実の恐怖に・・・”から一部抜粋です。

 ソ連がキューバにミサイルを配備してる事を知らされたケネディは、怒り心頭だった。
 そんなケネディが冷静さを取り戻す為の一冊の本こそが、ヨーロッパ諸国の指導者たちが意図に反して第一次大戦に突入していく様を描いた「八月の砲声」(B・W・タックマン著)である。
 無知・現実の否認・根拠の無い自信がもたらす悲劇を知る事が、ケネディの怒りを沈めるのに役だったのだ。

 本書「キューバ危機」の副題にある様に、相手に自分の姿を映し出す“ミラー・イメージング”という社会用語こそが、この危機を読み解くキーワードとなる。つまり各国首脳が、”他者が自分と同じ様に世界を見てる、見るだろうと仮定した為、自己の行為がもたらす帰結について計算を誤った”のである。
 ケネディは、まさかソ連が核兵器をキューバに持ち込む筈はないと考えてたし、フルシチョフもアメリカに気付かれずに核兵器を持ち込めるだろうし、バレたとしてもケネディは事を荒立てないだろうと信じていた。
 それぞれが、現場から挙げられる情報・現実に目を瞑り、自信の立場のみから思考する事で、いつの間にか取り返しの付かない所まで事態は進展してしまった。

 キューバ危機の全体像を理解する時、米ソ対立の視点も重要だが、”カストロとアメリカの対立”がなければ、西半球でソ連がアメリカに挑戦を挑む事はなかった。
 アメリカとキューバには危機の前からいくつもの火種があった。1961年4月、カストロ革命政権打倒を狙った”ビッグス湾事件”失敗の後、カストロ暗殺(共産テロ撲滅)を目指した”マングース作戦”(1961年11月)には、CIAが638案に及ぶ暗殺計画を立て、チームは2500人にも及んだ。
 故に、キューバ危機は突発的に発生したのではなく、複雑に絡み合った両国の歴史がもたらした結果でもある。
 本書では、危機の回避に偶然が果たした役割の大きさに気が付かされる。
 歴史に”もしも”はないが、”ケネディでなければ、フルシチョフでなければ”と考えられずにはいられない。もう少し血の気の多いリーダーがいれば、危機は悲劇に変わっていた筈だ。事実、前大統領アイゼンハワーをはじめ、キューバ空爆を支持する者は多くいた。
 以上、HONZからでした。


最後に

 危機管理意識の欠如という点では、今の日本政府も全く同じで、”起こり得る筈のない”医療崩壊があっさりと起きてしまった。
 日本の医療は先進国でもトップレベルとされてたが、欧米先進国の1/100の規模のコロナ渦でもパンデミックに陥った。
 何とか最悪の結果にはならずに東京オリパラリンピックを終えたが、都心部では野戦病院が設置が予定され、戦時下に近い様相でもある。
 ”国民が一体となって”とか”頑張れば何とかなる”という時代は遥か昔の事。今ではいち早く危機を察し、行動に移すかが最善の解決策でもある。

 悲しいかな、日本政府も東京都知事も危機管理能力は全く欠如し、コロナ対策も未だ中途半端である。それでいて、東京オリパラは成功だったと自画自賛する始末。
 しかし、現実は大きく違った。
 ”開催すればコロナなんて吹っ飛ぶ”と見てた菅政権だが、欧米メディアが指摘したように、開催したお陰で”感染大国”に成り下がった。
 内閣の支持率は大きく落ち込み、菅を頭にして解散総選挙は戦えないと見た自民党内は、菅首相に三行半を突きつけた。
 総裁選立候補に意欲を見せてた菅がドタキャンしたのも、コロナ対策とオリパラ開催が共に失策だったのは明白だろう。

 今回はプロローグという事で、”キューバ危機”の触りの部分だけを紹介しました。
 以降3回ほど(予定)に分けて、キューバ危機の等身大の恐怖を「キューバ危機」とウィキを参考に紹介したいと思います。



2 コメント

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誰もが望まない戦争 (HooRoo)
2021-09-15 10:46:02
その戦争をアメリカだけが欲してるの
ケネディーの女癖が悪く弱腰なのを
ソ連は既に見抜いてた
でも最後はその弱腰が柔軟な取引につながり
一件落着ってわけね

どーぉ👅図星でしょ?
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Hooさん (象が転んだ)
2021-09-15 13:15:58
ケネディは一見弱腰に見えますが
内面はとても強かだったんですね。
海上封鎖にしても敢えて緩くして、取引を終始優位に進めました。
一方、フルシチョフはケネディを見下し、策に溺れた。

国力的にはアメリカが優位でしたが、もしルメイの進言通り、空爆を行使してたら、ソ連とキューバから核ミサイルがアメリカ本土に落とされ、第三次世界大戦に発展する前に、アメリカは死滅してたかもです。
故に、常に慎重に振る舞ったケネディがフルシチョフの譲歩を引き出したとも言えますね。
ま、正解という事で・・・
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