古事記 上つ巻 現代語訳 十
古事記 上つ巻
伊邪那岐神と伊邪那美神
神生みと伊邪那美神の神避り 3
読み下し文
次に生みたまへる神の名は、鳥之石楠船神、亦の名は天鳥船と謂ふ。次に大宜都比売を生みたまひ、次に火之夜藝速男神を生みたまふ。亦の名は火之炫毘古神と謂ひ、亦の名は火之迦具土神と謂ふ。此の子を生みたまひしに因りて、美蕃登炙かえりて病み臥せり。多具理に生れませる神の名は、金山毘古神、次に金山毘売神。次に屎に成りませる神の名は、波邇夜須毘古神、。次に波邇夜須毘売。次に尿に成りませる神の名は、弥都波能売神。次に和久産巣日神。此の神の子は、 富宇気毘売神と謂ふ。故、伊邪那美神は、火の神を生みたまひしに因りて、遂に神避り坐しぬ。天鳥船より富宇気毘売神に至るまで幷せて八の神。おほよそ伊邪那岐、伊邪那美の二の神、共に生みたまへる島、壱拾肆島、また神、参拾伍の神。是は伊邪那美神、神避りまさずありし前に生みたまへり。ただおのごろ嶋は生みたまへるに非ず、また蛭子と淡嶋とは子の例に入れず。
現代語訳
次にお生みになられた神の名は、鳥之石楠船神(とりのいわくすふねのかみ)、またの名は天鳥船(あめのとりふね)といいます。
次に大宜都比売(おほげつひめ)をお生みになられ、次に火之夜芸速男神(ひのやぎはやをのかみ)をお生みになられました。またの名は火之炫毘古神(ひのかがびこのかみ)といい、またの名は火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)といいます。この子をお生みになられたことにより、美蕃登(みほと)を焼かれて、病み伏せりました。
多具理(たぐり)より生まれた神の名は、金山毘古神(かなやまひこのかみ)、次に金山毘売神(かなやまびめのかみ)。
次に屎(くそ)より、出現した神の名は、波邇夜須毘古神(はにやすびこのかみ)。次に波邇夜須毘売(はにやすびめのかみ )。
次に尿(ゆまり)より出現した神の名は、弥都波能売神(みづはのめのかみ)。次に和久産巣日神(わくむすびのかみ)。この神の子は、 富宇気毘売神(とようけびめのかみ)といいます。
故に、伊邪那美神は、火の神をお生みになられたことにより、遂に神避(かむさ)りました。
天鳥船より富宇気毘売神に至るまであわせて八の神。
おほよそ伊邪那岐、伊邪那美の二柱の神が、共にお生みになられた島、十四島、また神は、三十五の神。
これは伊邪那美神が、神避りする前にお生みになられました。ただし、おのごろ嶋はお生みになられず。また蛭子(ひるこ)と淡嶋(あわじしま)とは子の例(たぐい)に入れません。
・美蕃登(みほと)
女陰の古語
・多具理(たぐり)
吐くこと。また、はいたもの。へど
・尿(ゆまり)
にょう
・神避(かむさ)り
神去(かみさる)高貴な人が死去する。崩御する。薨去する。かんさる。神上がる
現代語訳(ゆる~っと)
次にお生みになられた神の名は、鳥之石楠船神、またの名を天鳥船といいます。
次に大宜都比売をお生みになられ、
次に火之夜芸速男神をお生みになられました。またの名を火之炫毘古神といい、またの名を火之迦具土神といいます。この子をお生みになられたことにより、伊邪那美命は、女陰を焼かれて、病み伏せりました。
故に、伊邪那美神は、火の神をお生みになられたことにより、遂に黄泉の国へと去りました。
天鳥船より富宇気毘売神に至るまで、あわせて八の神。
おおよそ伊邪那岐命、伊邪那美命の二柱の神が、共にお生みになられた島は、14島、また、神は、35の神です。
これは伊邪那美神が、黄泉の国へと去る前にお生みになられました。ただし、おのごろ嶋はお生みになったのではなく、また蛭子と淡嶋とは子の数にはいりません。
明日に続きます。
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ありがとうございました。
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