日本の神様
蛭子
(ひるこ)
伊弉諾尊と伊奘冉尊の最初の子
別名
水蛭子
蛭子神
蛭子命
(ひるこのみこと)
蛭児
恵比寿
恵比須
戎大神
(えびすおおかみ)
西宮大神
(にしのみやおおかみ)
エビス神
神格
海の神
漁業
商業
市場・農業の神
「日本書紀」では
巻第一 神代上 第五段 本文では、このように登場しています。
次に蛭子を生みました。この子は三年たっても足が立ちませんでした。それゆえに、天磐櫲樟船に乗せて、風のふくままに棄ててしまいました。
本文では、月の神の次に生まれています。天磐櫲樟船に乗せて棄てられてしまいました。
第五段の第二の一書では、月神の次に生まれ、三歳になっても、足が立ちませんでした。それは、初め伊弉諾尊と伊弉冉尊が、柱を回った際、陰神が先に喜びの言葉を発したことにより、陰陽の理に反してので蛭子が生まれたとされています。この一書でも、鳥磐櫲樟船(とりのいわくすぶね)に乗せられ、放棄されています。
「古事記」では
本文では、このように登場しています。
夫婦の寝所で交わり、生まれた子どもは、水蛭子でした。この子は、葦で作った船に入れて流し捨ててしまいました。次に淡島を生みましたが、子どもの数に入れませんでした。ここで、二柱の神は相談をして、「今、我々が生んだ子どもは良くなかった。やはり、天つ神の御所に行き、報告すべきだ」といいました。
蛭子命は、伊邪那岐命・伊邪那美命の結婚により最初の子として生まれましたが、体が不自由だったことから葦船に乗せて海に流し棄てられたと記されています。
そのほか
・エビス信仰の本拠地・西宮神社(兵庫県)では、海に流された蛭子命は、海を漂流したのち摂津国西の浦(兵庫県西宮)の海岸に漂着しました。土地の人々は、拾った蛭子命を大切に養い育て、夷三朗(えびすさぶろう)殿と呼び、そののち夷三朗大明神、戎大神(えびすおおかみ)として祭られるようになったとあります。こうして蛭子命は、恵比寿神へと変わり海の神として信仰されるようになりました。
・七福神としての蛭子命もともとは漁業の守護神でしたが、百太夫(ももだゆう)という者を始祖とする傀儡師(くぐつし)の集団は、芝居や演技の一座と同じように全国各地を巡り歩き、その出し物として恵比寿神の神徳や縁起をテーマにして、「恵比寿舁(えびすか)き」、「恵比寿回し」と呼ばれる縁起を見せて、人々を楽しませました。そうやって生活するかたわらで、恵比寿神の神徳を大いに宣伝したのです。その結果、都市では商工業繁栄の、農村では農業守護の福神となり、庶民的な信仰が全国に広がったとも言われています。
・蛭子命を祀る神社は、祭神に事代主神(この神を恵比寿神として祭る神社も多いです)を一緒に祀るところも多いです。
・天照大神は、「日の女神」を意味する日女(ひるめ)ともいわれています。一方、水蛭子は、「日る子」つまり太陽の子とも解釈できます。一つの世界で太陽神である日女と日る子が並び立たないために、海に流されたという説があります。
神徳
豊漁
航海安全
交易の神
そのほか商業繁盛祀る神。
交易の神
商売繁盛の神
(市場の神など産業の守護神として信仰を集めています)
祀る神社
和田神社
(兵庫県神戸市)
西宮神社
(兵庫県西宮市)
蛭子神社
(神奈川県鎌倉市)など
春日神社
(岐阜県揖斐郡)
(東京都江東区)
(東京都豊島区)
新しい知識を得た場合
随時更新予定です。
参考
「日本の神様」がよくわかる本 戸部民夫 PHP文庫