日本の神様
埴山姫命
(はにやまひめのみこと)
土をつかさどる神
肥沃な田畑の土、陶器をつくる粘土などもその支配の範疇に入るわけで、農業、陶磁器製造業、造園業、土木関係の職業などに深い神様といえます。
別名
埴山媛
埴山姫神
埴安姫神
埴山昆売神
(はにやまひめのかみ)
波邇夜須毘売
(はにやすびめのかみ)
「ハニ」(埴)とは赤土の粘土を意味します。
神格
土の神
陶器の神
「日本書紀」では
日本書紀 巻第一 神代上
第五段の第二の一書では、
このように登場しています。
次に火の神・軻遇突智を生みましたが、伊弉冉尊は、軻遇突智のために火傷を負ってしまい、命が尽きようとしていました。その死の間際に、臥せたまま土の神・埴山姫と水の神・罔象女を生みました。
第五段一書の第二では、埴山姫命は伊弉冉尊が火の神・軻遇突智(かぐつち)を生んだとき陰部を火傷して、死ぬ直前に生まれました。その後、この神が軻遇突智神と結婚し生んだ子が稚産霊神(わくむすびのかみ)であると記されています。
また第四の一書では、伊弉冉尊が苦しみながら漏らした糞から生まれたと記されています。
「古事記」では
本文では、このように登場しています。
次にお生みになられた神の名は、鳥之石楠船神、またの名を天鳥船といいます。次に大宜都比売をお生みになられ、次に火之夜芸速男神をお生みになられました。またの名を火之炫毘古神といい、またの名を火之迦具土神といいます。この子をお生みになられたことにより、伊邪那美命は、女陰を焼かれて、病み伏せりました。病に苦しんだ伊邪那美命が嘔吐した物より生まれた神の名は、金山毘古神、次に金山毘売神。次に大便より、出現した神の名は、波邇夜須毘古神。次に波邇夜須毘売。次に小便より出現した神の名は、弥都波能売神。次に和久産巣日神。この神の子は、 富宇気毘売神といいます。故に、伊邪那美神は、火の神をお生みになられたことにより、遂に黄泉の国へと去りました。天鳥船より富宇気毘売神に至るまで、あわせて八の神。
火之迦具土神を産んで、死ぬ間際の伊邪那美命の大便から波邇夜須毘古神・波邇夜須毘売神の二神が化生したとされています。
そのほか
・昔から、埴山姫命は、田の畔や川の堤などに守護神として祭られていました。
田畑の土壌をつかさどると同時に、堤防の堅固を保ち川の氾濫による災害から作物を守ってもらう事を人々は願ったのでしょう。
そうした役割から埴山姫命は土の神というだけでなく、作物の実りをもたらす神ともいえます。
そのためこの神は豊受大神と一緒に祀られる場合も多いです。
神徳
田畑の開墾守護
陶磁器業守護のほか
子宝
安産守護など
祀る神社
大井神社
(静岡県島田市)
愛宕神社
(京都府京都市)
畝尾坐健土安神社
(奈良県橿原市)
波爾移麻比禰神社
(徳島県美馬市)
新しい知識を得た場合
随時更新予定です。
参考
「日本の神様」がよくわかる本 戸部民夫 PHP文庫