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「パラレルワールド・ラブストーリー」感想 東野圭吾 

2016-09-17 | 小説・漫画他

先日病院でポツンと置かれていた本、あまりに暇だったので、手に取ってみました。
以前はよく東野作品を読んでいたのですが、ここ最近は、特に理由は無かったのですが、全然読んでいなかったんです。
久しぶりの東野圭吾の小説、タイトルはあまりソソられない感じだし、全く期待しないで最初の数ページを読んでみたら!
すぐにぐーーっと引き込まれてしまいました。

というのも、東京界隈に住んでいる人なら解るであろう、数駅の間に並列して違う電車が走るという現象が、この小説の冒頭、序章のシーンなんですね。
ほぼ同じスピードで並んで走行している電車の中は、それぞれの電車に乗っている人の様子がよく見えて、なんとも不思議な印象を受ける時間なんですよ。
そこで出会った男女・・・。うおー!これは、これは!って感じですよ!ここのシーン5つ★!!

自分のために、あらすじを残しておきます。
冒頭、主人公の理系大学院生の敦賀崇史は、定期的に同じ時間、山手線の電車に乗っていたところ、並行して走る京浜東北線に、いつも綺麗な女性が乘っており、段々好きになっていく。最後にその電車に乗る事になった日に、勇気を出して、彼女の乘っている京浜東北線に乘ってみたのに、彼女はおらず、逆に彼女は、自分がいつも乘っていた山の手線に乘っていた! 以後2人が会うことはなく、年月がたった。

崇史には、三輪智彦という中学からの親友がいた。智彦は足がちょっと不自由で、内向的な性格だったが、理系の話題を分かち合える同士、気があって、ずっとそれから仲良くしている、とても大切な友人だった。

ある日、初めて(かつて1回、それらしいことがあったが、それは智彦の勘違いであり、恋愛感情ではなく尊敬のみであったことで傷ついた)彼女が出来て、紹介したいと言われ、待ち合わせの場所に向かうと、信じられないことに、智彦の彼女とは、あの京浜東北線の彼女なのだった!

崇史は親友と好きな女性との板挟みにあい、悶々と日々を送り、段々嫉妬に苦しむようになる。

ところが、ある日目を覚ますと、麻由子は自分の恋人で、2人はほぼ同棲しているのだった。
そして、親友が数か月前から行方不明になっており、おかしいことにその間、自分は智彦の事を全く考えずに気にもかけないでいたのだった。
回りに色々聞いたところ、智彦は現在アメリカの研究所にいるというのは解ったが、なんだか違和感を色々感じるようになる。

★以下ネタバレ 白文字で書いています★
智彦が作った、記憶を変える装置。
それの実験の失敗のせいで、とある後輩の意識がおかしなことになってしまい、現在は眠った状態になってしまっている。
会社はそれを隠しているが、後輩の彼女がおかしいことに気がついている。

結局のところ、崇史は、麻由子への想いを抑えることが出来ず、親友を裏切ってしまう。強引に彼女に家に押しかけ、抱いてしまう。(ここなぁ・・)
そして、実は智彦は麻由子が自分より崇史へ気持ちが傾いていることを悟っており、いきなり凄い提案をしてくる。
自分の開発した機械を自分にかけ、自分の記憶を変えてしまうというのだった。
もともと、麻由子は崇史の彼女だったことに変えてしまえば、崇史と今まで通り仲良く親友のままで続けられる。
そして、自分がその実験台になることで、エラーが出ておかしくなってしまった後輩を救う手立ての対策が解るだろうこと。
まずは智彦、そしてその後、崇史も、その装置にかけられ、記憶を変えてしまったのだった。
智彦、いいやつだなあ・・・。
智彦が最後に渡した、ディズニーランドで写した麻由子の写真置き、その後ろに手紙が入っていました。
すぐに気がつかず、暫く経ってから崇史は気がついて読むのですが、智彦の気持ちを正直に綴っていて、泣けます。
以上


記憶を変える装置についてとか、難しいメカの事よりも、崇史が親友とその彼女に対して、悶々と苦しんだり、妄想したり・・というシーンが多いです。
割と誰でもが読みやすい内容です。
とにかく、親友の智彦が切ない、切なすぎる!!

最後まで読んだ印象は、映画の「エターナルサンシャイン」にちょっと似てるお話だったなあーと。でも発表されたのは、この小説の方が先です。
もう20年も前に書かれた小説なのですが、今読んでも古臭さなどは感じず面白かったです。4つ★半

読みながら、主役の崇史は、戸次重幸さんがイメージに合う感じでした。でも、智彦が思い浮かばない。

パラレルワールド・ラブストーリー 東野圭吾 1995/2


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