
両方とも「ビブリア古書堂の事件手帖」を連想させる処がある小説でした。たまたま2冊続けて読んだのもあり、まとめて感想を書いておきます。
「追想五断章」
米澤さんの本を何か読みたいな・・と思って、図書館の棚にあったので、内容等全く知らずに借りてきた本。
古本屋さんで働いている青年が、ある女性から亡くなった父親がかつて発表した小説を集めてもらいたいという依頼を受けるといったお話。
発表されたのは2009年なので「ビブリア古書堂の事件手帖」よりも2年ほど前になります。
まず、主人公の菅生芳光は、大学生なのですが、父親が亡くなってから家計が厳しくなったため、学生生活を続けるのが難しくなって学校は休学中。
アルバイトなどをして、自分で学費やらを稼いで、また戻ろうと思っていますが、実家の母は、そろそろ戻って来てくれないか・・?という圧迫が。
一緒にアルバイトをしている女学生がいますが、特に特筆するようなキャラでも、関係でもありません。
古本屋を経営しているのは、おじさんであり、このおじさんも、依頼人の女性も、特にこれという何かがあるわけでは無く・・・
★以下ネタバレ 白文字で書いています★
色々な、つてをたどって、結局全部の小説を探し出しました。結末は、必ずしもこれにはこれ!という決まりがあるわけじゃなくて、幾つかの小説に入れ替えても成り立つようになっていることに気がつきます。
また、依頼人の女性がまだ幼い頃、シーツをひっかけて首をくくっていた母の足元にしがみついて、止めようとした・・。
最後は謎解きが終わって、もう東京を離れ、実家に戻ろうとしている・・・処で終わります。以上
うーーん、、なんだろうなあ・・・何か、こう・・・裏寂しさが漂う小説だったというか・・
はっとする謎解きとかもあったし、面白かったのだけれど、なんか、読み終わった後の後味がそんなに良くはなかったですね。
追想五断章 2009/8 米澤 穂信
内容(「BOOK」データベースより)
大学を休学し、伯父の古書店に居候する菅生芳光は、ある女性から、死んだ父親が書いた五つの「結末のない物語」を探して欲しい、という依頼を受ける。調査を進めるうちに、故人が20年以上前の未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者だったことがわかり―。五つの物語に秘められた真実とは?
。。。。。。
「江ノ島西浦写真館」

ビブリア古書堂の事件手帖の作家さんである三上さんの新作。
今度は湘南江の島の写真館を舞台に、ビブリアのムードを漂わせている小説。
表紙のイラストは、あんまりソソられない女の子の絵だなあ・・・。
女の子じゃなくて、写真館のイラストとか写真の方が私は好きかも・・。
雰囲気はなかなか良いです。もう閉店してしまった古い写真館、今は写真といえば、ほぼデジカメになってしまったけれど、ネガ・焼き付け時代の写真・・ちょっと懐かしくノスタルジー漂う感じで、期待して読み進めていきました。
まず、主人公の繭が、そんなに美人さんでもなく巨乳でもなく普通な外貌という設定には、おお!と^^
性格も、そんな良い子ってわけじゃなくて、過去には自意識過剰でアーティスト気取りだったため、みんなから嫌われていた黒歴史がある。
母親が有名な作家さんだっため、自分にも何か才能を求めてしまって・・・という経緯。安易な愛されキャラ設定じゃない処は好感が持てました。
しかし、登場する男性陣が美男子・たぐいまれなる美形・・そうか・・今回は男子なのか。
繭がかつてはカメラっ子だったのに、ある事件をきっかけに、カメラや写真から遠ざかってしまった。
その事件とは、幼馴染の美形の男の子(後に芸能人になった)琉衣が祈っている姿を撮影した写真を、SNSで貼ってしまい、それが一晩で拡散してしまった。
もともと宗教関係がらみで噂があった彼にとって、致命的な写真ということで、芸能界を引退し、繭と喧嘩し、その後縁が切れてしまい行方不明に・・・。
★以下ネタバレ 白文字で書いています★
団地サークルのメンバーみんなで、拡散させたんですね・・・。そんなにまで繭が嫌われていたとは。
そして、医学生の男の子、真島秋孝。交通事故で記憶障害が残っていた。事故の時に、祖父に似せてイケメンさんに整形させられた、というオチが・・。
うぬーーー。なんか、微妙というか、どうもスッキリしないオチだったなあ・・。
また、祖母の写真館に、繭が気が付かないうちに、琉衣と高坂晶穂が居候していた時期があった!っていうのも、えーーっ・・って思ったな。
そして、写真館にちょこっと出入りしている謎の旅館で働いているらしい男性が、実は琉衣だったってー。オイオイ!以上
そうそう、この高坂さんって、ビブリアの大輔の元彼女らしいです。
感想は、面白くないわけじゃ絶対無かったし、色々と興味のあるパーツが散らばっている小説なのですが、読んだ後味が、あんまり宜しくなくて、読んでいる最中にワクワクするってことが、あまりなかったんですよね・・・。結構人の心理のダークなところが多かった気がしました。
そういえば、ビブリアも最初の方は楽しかったのですが、後半になるにつれ、ドロドロとか暗い方に傾いて行ってしまったのが残念に感じていたっけ。
とりあえずは、ビブリアを全巻読み終わってから、またこちらの2巻を読むことになりそうです。
江ノ島西浦写真館 2015/12/16 三上 延
内容(「BOOK」データベースより)
江ノ島の路地の奥、ひっそりとした入り江に佇む「江ノ島西浦写真館」。百年間営業を続けたその写真館は、館主の死により幕を閉じた。過去のある出来事から写真家の夢を諦めていた孫の桂木繭は、祖母の遺品整理のため写真館を訪れる。そこには注文したまま誰も受け取りに来ない、とごか歪な「未渡し写真」の詰まった缶があった。繭は写真を受け取りに来た青年・真鳥と共に、写真の謎を解き、注文主に返していくが・・・
「江ノ島西浦写真館」感想
ビブリア古書堂の事件手帖6 栞子さんと巡るさだめ
「ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ 」
「ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~」
ビブリア古書堂の事件手帖2
「ビブリア古書堂の事件手帖1」
米澤さんお得意の、どんでん返しが施された作品でしたね^^
最後は切なくて後味の悪い感じでした。
依頼人の女性はなんとなく真相を知っていたんじゃないかなぁなんて思いながら読み終えました。
「江ノ島西浦写真館」は図書館で借りて読もうとしたのですが最初のページを読んで何となく読みたいという意欲が無くなり^^;読むのを止めてそのままです←
そうですね、依頼人の女性は、真相をおおよそ知りつつも依頼したんでしょうね・・・。
謎解きとか、おっつ!というどんでん返しは、なかなかでした
江の島・・・は、うーーん・・・。
どうでしょうか・・・。
それほどオススメはしないかもなあ・・・。
とりあえずは、ビブリアを全部早く読み終わりたいです。