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伊坂幸太郎「マリアビートル」それほどまでには・・・ 感想

2010-11-14 | 小説・漫画他

まず装丁が素敵ですね。グラスホッパーの文庫の表紙も良いし。
で、内容ですが、世間ではかなり5つ★が多く、評判が高いみたいですが・・・おそれながら私は、それほどまでに凄い面白い!って程で無く・・あまり自分好みの内容では無かったです。
とはいえ、今回も筋とは違った処で、考えさせられる伊坂さん的哲学?な部分や、冷静に鋭く世間を見る視点等は、とても興味深かったです。人が回りに大きく影響される実験や、ルワンダ虐殺と学校のイジメの構図とかを比較してるところとかは、思わすうなってしまいました。

ちょっと残念だったのは、何故人を殺したらダメなのか?という理由の説明。確かに国家が~とか、他に「なんで道路で~しちゃいけないのか?」とかって質問はしないのに、その質問ばかりするのか?などなど、うむうむ・・・と思ったんだけれど、それでもやっぱり、バシーっとまでは、来なかったので・・。

そもそも、「グラスホッパー」の続編的な作品とのことで、グラスホッパーもそれほど世間の方より、凄く面白く読めたわけじゃなかったし・・・。 私が読んだのは単行本で、もう内容を結構忘れてしまっているんですが、なんでも、文庫本の方が手直しされ、単行本より、良い内容になっており、ラストも少し違っているとか?それを聞いたら、文庫も読み直したくなりました。

何と言っても本作で一番印象に残ったのは、凄い賢くて悪人の中学生の王子。とんでもないヤツです。憎たらしさマックスです。
何故か私は、この王子が、高校生ウルトラクイズに出てた開成高校の男の子(名前は言わないでおきますが、あの番組を見てた人なら、ああ、あの子ね!と解ってもらえるかと思うので・・。別に私は悪意があって、彼を思い浮かべたのではなくて、凄く賢くて綺麗な顔をしたお坊ちゃんって事で、あの子ならば王子役を演じられるんじゃないか?って思ったんです)映画化する際に、ジャニーズの誰かにキャスティングするのかもしれないですが、顔が可愛くても、凄~~く頭が良さそうに見えないとイカンわけで。

蜜柑と檸檬のコンビが面白くて好きだったので、
★以下ネタバレ 白文字で書いています★
あんなにあっけなく2人とも死んでしまうとはがっかりでした。 しかも、檸檬は、あの憎たらしい王子にやられ、蜜柑は七尾にあっという間に首を折られ(そんなにすぐ殺すこたぁ~ないだろーが~) 
で、あの王子の自尊心をメタメタにし、どん底まで落ち込ませてぎゃふんと言わせてくれるようなラストを心待ちにしていたのですが、手ぬるい!と思っちゃいました
 まあ、伊坂さんなら、きっとアイツを野放しにするようなラストにはしないだろうと信じていたので(爆)まあ、死んでくれて(←多分)良かったです。
それと、木村は助かるだろうな~と思ってたら、やっぱり瀕死の状態でも助かったので良かったです。木村の両親(特にオヤジ)はカッコ良くてスカッとしました。

でも、この話って、そもそもスズメバチが峰岸親子を殺すという目的が大前提?だったわけなんだけれど、作者がこのお話を面白くする為に、沢山の人間を同じ列車に乗り合わせて、こちゃこちゃとあれやこれや・・・と重ねた感じで、どうも必然性とかを感じなくて(それ言っちゃお終いだけどね)な~んかな・・。
読んでる最中は電車の中の図を考えながら、今アイツはあっち行った、こいつはココにいるとか結構読むのが大変で疲れました。
あと、寝たきりだった息子が、急に意識が戻ったのは嬉しかったけど、かなり安易かな。
以上

こういうコチャコチャ、クルクルと数人による追っかけやっこみたいのとか、スピーディーな殺しの展開?が好きな方にはたまらない作品だと思います。そもそも伊坂さんというのは、そういう処を書くのが凄く優れている作家さんなんだろうし、伊坂ファンは、そういった処が好きなんだろうし。でも、私は、そういうのよりも、王子の幼少時代からさかのぼって。何故こんなガキになってったのか?とか、王子が木村の息子を突き落とすに至る日の詳しい描写や、落ちた後の木村の様子とか、木村と木村両親の日常の様子とか、檸檬と蜜柑のもっと日常のエピソードとか、そういう・・人間の心理を読みたい性分なんですよ。 

それにしても、七尾が駅で降りそびれる様子とか、何度も起きる、あ~~あっ って行動は、ありえなさすぎて、読みながら失笑してしまった。この役は加瀬君が上手に演じてくれそうだ。でも加瀬君なら首を一瞬でひねって殺すという敏捷さな印象は、あんまり無いかも・・(スイマセン) 多分映画化するなら、濱田岳をキャスティングしそうな予感だけど、彼なら、もっと首ひねり出来るイメージが無いな。
檸檬と蜜柑は、何故か松田兄弟のイメージがあります。

伊坂さんには4才の息子さんがいらっしゃるそうで、トーマスのファンなのですね。なんだか今回はトーマスのエピソードを取り入れていたのがとても微笑ましくて好きでした。シールのとこは好きだったな。


(内容・あらすじ)
酒浸りの元殺し屋「木村」は、幼い息子に重傷を負わせた悪魔のような中学生「王子」に復讐するため、東京発盛岡行きの東北新幹線<はやて>に乗り込む。
取り返した人質と身代金を盛岡まで護送する二人組の殺し屋「蜜柑」と「檸檬」は、車中で人質を何者かに殺され、また身代金の入ったトランクも紛失してしまう。
そして、その身代金強奪を指示された、ことごとくツキのない殺し屋「七尾」は、奪った身代金を手に上野駅で新幹線を降りるはずだったのだが……。

伊坂さんの本では、ゴールデンスランバーが一番好きです。
「オー!ファーザー 」「砂漠」
SOSの猿
あるキング
「モダンタイムス」「週末のフール」
「ラッシュライフ」「フィッシュストーリー」
ゴールデンスランバー
「グラスホッパー」「アヒルと鴨のコインロッカ―」「死神の精度」感想 
「チルドレン」「重力ピエロ」感想

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8 コメント

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roko-san@nifty.com (Roko)
2010-11-14 23:35:21
latifaさん☆こんばんは
久し振りに伊坂さんらしい作品でしたが、好みは出るかもしれませんね。
わたしもゴールデンスランバーが一番好きです!
機関車トーマスねたでかなり笑わせてもらったのですが、実は見たことがないもので、トーマスも見てみようかと思ってます(#^.^#)
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こんにちはー (hito)
2010-11-15 15:17:57
私はかなり好きでした!
グラスホッパーは救いのなさに唖然としてしまったのですが、こちらは明るさもあり楽しく読めました♪

木村の両親はまさかラストにこう関わってくるとは思わなくてーでも格好よかったですね!!
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Rokoさん☆ (latifa)
2010-11-16 09:32:54
こんにちは、Rokoさん
いやいや、伊坂さんファンならば、帰って来たぞ!って感じで、きっと誰しも楽しめるだろうなと思います。
私は陽気なギャング~とかも、好きって程じゃなかったので・・・。
でも、Rokoさんもゴールデンスランバーが一番好きだなんて、嬉しいな!
トーマスは、子供が小さい頃、何度か見たんですが、いやぁ~結構シュールな番組なのに、子供が好きなんだな?これ、と、ちょっと驚いたものでした。
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hitoさん☆ (latifa)
2010-11-16 09:35:17
こんにちは、hitoさん
そうでしょうともー。凄く評判良いんですよね。だからこそ、肩身が狭い・・うううう・・・
今の処、まあ普通だった・・・という感想を持った人が誰もいないみたいです・・・。
グラスホッパーは、文庫の方が単行本よりも面白く、ラストも違うと最近になって知ったので、再読してみようかな?と思ったりしています。
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こんばんは♪ (はまかぜ)
2010-11-21 18:58:06
私も王子の憎たらしさには激怒でしたよ(笑)
早いところ誰かに殺されてしまえと思いながら読んでいました^^;
でもなかなかしぶといんですよね~。

トーマスのネタは興味深かったです。
「ディーゼル」の場面がかなり緊迫しましたね。
一度は相手を退けたかと思いきや、ディーゼルのシールが貼ってあって、再び緊迫した場面になって。
私的にはあの場面が一番盛り上がりました
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ははまぜさん☆ (latifa)
2010-11-23 11:00:27
こんにちは、はまかぜさん
ほんと、王子の憎たらしさといったら、最近読んだ本やら映画やらの中でも、特別抜きんでいました。

トーマスとか電車(新幹線)とか、鉄道好きな人には、更に楽しめる部分の多い小説でしょうね。
私もトーマスのこと、もっと知っていたらな~って、ちょっと惜しい気持ちになりました。
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読みました! (こに)
2011-01-31 22:52:39
読んでいる途中でlatifaさんの記事でもって伊坂さんのスーパーお父さんの情報があったからか木村親子3代の絆にいたく感動しました
感謝です

王子様
本当に憎らしいヤツですね
木村ジイちゃんがどうにかしてくれてスカっとしました
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こにさん☆ (latifa)
2011-02-01 19:14:13
こにさん、こんにちは
伊坂幸太郎さんといえば、「オー!ファーザー」も、色々な良いお父さんが登場していましたよね。
そういえば、このマリアビートルはおじいちゃん・父・息子と3世代に渡っての絆が書かれていたのが良かったですねー。

王子、ホントに憎らしいです。ちょっと前に「告白」の映画版を見たんですが、あちらにも王子ほどじゃないけれど、憎たらしい男子が出て来ていて・・。
と、ここまで書いたものの、もしや・・と、こにさんちのインデックスを今拝見してきたら、リストに湊かなえさんのが無かったので、もし未読だったら何なんで、ここまでに・・
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