2月8日京都新聞「空き缶条例 指導どこまで」を紹介します。

2013-02-25 20:05:52 | 雇用・社会保障のあり方について

 2月8日の京都新聞の記事を紹介します。

 貧困状態にあり、空き缶を集めることでなんとか生計をやりくりしていた男性が、それを市職員にとがめられ、不当に逮捕・起訴されていました。
 市職員の行為は、条例で定められた指導の範囲を逸脱するものであり、条例の濫用にあたります。

 そもそも京都市が定めている空き缶条例は、貧困者を排除する最近の流れの中にあるものです。貧困が拡大しているのにも関わらず、日本ではその人たちの生活を支える社会保障を拡充するのではなく、ホームレスや貧困者が社会から見えなくなるように排除しています。
 たとえば最近は公園や駅のベンチに柵が設けられ、人がそこで寝られないようにしています。市の委託業者以外が空き缶を回収できないように定めたこの空き缶条例も同じであるといえます。
 貧困問題の根本的な解決につながらない、ただ問題を先延ばしにするだけである貧困者排除の取り組みに、どれだけお金や労力を使う気なのでしょうか。

 国や自治体は社会保障のないままに貧困者からその生活の糧を奪うのではなく、ましてや条例の違法な運用で貧困者を犯罪者扱いするのではなく、貧困者の生活を支えるために動くべきです。

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空き缶条例 指導どこまで
内規反し動画撮影/京都市、不備認める


 空き缶を回収中だった京都市南区の無職男(77)が市条例に基づいて指導した市職員に暴行したとされる事件で、京都区検は7日、傷害と暴行の罪で男を略式起訴した。男の弁護団は、職員が空き缶を入った袋を取り上げ、内規に反して男の姿を動画撮影した不当な行為が事件の一因と主張する。市側は「空き缶を(男から)取った行為は問題なかった」とするが、男の弁護団は「貧困者をまちから排除する条例の本質があらわになった」と指摘している。 (本田貴信)


 起訴状などによると、男は1月17日朝、中京区西洞院通錦小路上ルで、空き缶を持ち去らないよう指導した職員3人を殴るなどし、1人に軽傷を負わせたとしている。京都簡裁は7日、男に罰金15万円の略式命令を出した。

 男の知人(49)によると、男は生活保護を受給しており、病気のためオムツを使用していた。先払いが必要な自身のオムツ代を捻出するために空き缶を回収してリサイクル業者に転売。月約2万円を得ていたという。

 市や弁護団によると、職員から口頭で注意を受けた男が「捨てられた物を集めて何が悪い」と抗議した後、職員が自転車のかごから空き缶の入った袋を運び出すと、男と職員がもみ合いになった。職員の1人は口頭注意の前から携帯電話で動画録画していた。

 市は条例施行時、指導の内容を内規で定めた。路上生活者ら空き缶回収で生計を立てる市民などとのトラブル回避や、人権上の配慮を理由に「行為者は撮影しない」「行為の中止を履行させるために、実力行使はできない」としている。

 市循環企画課は、撮影について「本来は必要のない行為だった。職員への周知を徹底していく」と不備を認めているが、袋を運び出した行為は「物理的抵抗や明確な文言での拒否がなかったので、実力行使に当たらない」とし、問題はなかったという立場だ。

 同課は、条例の趣旨を「持ち去り禁止の周知啓発やリサイクル意識の向上」と説明しており、条例自体に罰則規定はない。しかし、今回の事件で、結果的に男は公務執行妨害容疑で現行犯逮捕され、22日間、身柄を拘束された。

 男の主任弁護人を務める尾藤広喜弁護士は、職員の行為について「法的根拠のない不当な挑発で、条例のあしき運用だ。今後、乱用は許されない」と批判する。同課は事件を受け、条例に基づく指導にどの行為まで含めるのか考えているという。

空き缶持ち去り禁止条例

 2011年4月に改正施行。市指定の有料資源ごみ袋に入った空き缶やペットボトルなどを市の委託業者以外が回収することを禁じた。無断回収した者には「返還その他必要な措置を採ることを命じることができる」とした。施行前から「困窮者の生活の糧を奪う」と市民団体や弁護士らによる反対運動があった。

(京都新聞2月8日朝刊)

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