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ミュージカル「レ・ミゼラブル」

2007-07-08 15:27:57 | ミュージカル・演劇
ひょんなことから友達に誘われて行ってきました。

7月7日 ソワレ
東京帝国劇場
キャスト
ジャン・バルジャン・・・ 橋本さとし
ジャベール・・・ 阿部裕
エポニーヌ… 坂本真綾
ファンテーヌ・・・ 渚あき
コゼット・・・ 辛島小恵
マリウス・・・ 泉見洋平
テナルディエ・・・ 徳井優
テナルディエの妻・・・ 瀬戸内美八
アンジョルラス・・・ 東山義久
ガブローシュ・・・原田 光

学生のころ、「レ・ミゼラブル」が好きでした。どーしようもなく悲惨で哀しくて、どーでも良い長い挿話が入っていたりする話なのに何度も読んでしまう力強さがある。凄い話です。
その傑作がまた凄いミュージカルになってロンドンで見てまた感動。これを日本語版になるとどうなるのか?期待と不安を抱えて皇居そばの帝国劇場まで。初帝劇でした

基本的に原作に沿いつつも、何せ原作は新潮文庫で全五巻。全エピソードを忠実に舞台化したら夜が明ける。3時間のミュージカル版では枝葉末節はそぎ落とし、ジャン・バルジャンとジャヴェールの相対を中心に、一本と追ったストーリーに纏め上げている。

でキャスト評
バルジャン役の橋本さん、劇団☆新感線出身の人だそうで、今回のキャストの中でも唯一、バルジャン初挑戦だとあったのですが、・・・参った!歌もよく通るし、立ち姿も威風堂々。たくましいのだけどいやらしさが無くて、粗暴で蔑みしか知らなかった男が「許し」を知り、「愛」を知って聖人となっていく過程が出ていて最後は泣きそうになってしまった。おとう~さ~ん。素晴らしいです。今後もぜひバルジャン役を続けて欲しい。立ち姿も格好良くて素敵です!!


ジャヴェール役は阿部裕は威厳があって始終、重々しい。第一幕のソロ「Stars」はバルジャンを捕らえることに絶対的な正義感を持っていたのが、そのバルジャンに助けられ、自信が崩れていく様子が伝わってくる。最後に入水するシーンはもう分かっているんだけれど、切ない。哀しい人なんだよ。

ここで興味深かったのがジャヴェールは、一貫してバルジャンを囚人番号で呼ぶのだが、英語版で聞いたときは「♪トゥーオーシックスーフォーワン(20641)」と言っていたように思えたのだが、今回の日本語版では「♪にーよんろくごーさん(24653)」となっていて、以前を聞き間違えたかと思っていたが、Wikiで調べたところ、英語版の呼び方では日本語に合わなかったので変えたらしい。あらら~。


ファンテーヌは渚あき。登場時は凄くかわいらしかったのが堕ちていく様が本当にかわいそう。原作でも一番悲惨な人だし、ここでも悲劇。ただ、私が見たロンドン版でファンテーヌを演じていたジョアンナ・アンピル(フィリピン人で、アジア系初のファンテーヌだったらしい。)が娼婦に身を落とした際、痛々しいまでに下卑た動きをしていたのが印象的だったのだが、比較して渚さんはちょっと大人しかったかな~。


エポニーヌの坂本真綾。「ドクター・フー」でヒロイン、ローズの声を吹替えていた人で、思わぬところで再会した気分。マリウスが好きで猫のようにくっついていくのに、尽くしても尽くしてもマリウスは振り向いてくれない。それでも彼のために命を引き換えにしてまでも最期まで尽くす。彼女の最高の見せ場、「On My Own」はあきらめとそれでも彼を好きな気持ちが綯交ぜになっていて、外見も細くて小さい分、切なさ倍増でよかったです。う今思い出しても切ない。


対照的にコゼットの辛島小恵は幸せなかわいらしさ。出番はエポニーヌに比べると少ないけれど、とても明るくて素直な感じで、バルジャンとも穏やかで素敵な親子で見ていてほっとする感じでした。同時にマリウスと二人でいると、とても幸せそうでこの悲惨な作品の一条の光という感じで、エポニーヌには悪いけど良いカップルなんだな~


マリウス役は泉見洋平。出た瞬間、「あ~もう~。可愛いなあ~くそ!」。華奢なハンサムくんで声もよく出るし、まっすぐな気性が伝わってきて、そりゃあコゼットもエポニーヌも好きになるよ、アンジョルラスも可愛がるよ、バルジャンだって許しちゃうよ!!と説得力ありました。その分、暴動が鎮圧されて自分が生き残ってしまったときの落ち込みと絶望が濃くて、本当に悲痛なのでまた「あ~もう~泣かないで~。」と思ってしまう(笑)。また、このマリウスはとても優しい性分で バルジャンに対しても過去を打ち明けられた後も、警戒するよりも気遣うような態度だったのが好感が持てました。だからバルジャンの枕元に駆け寄る終幕でまた、「あ~もう~。」

興味深いのが、コゼットとマリウスのあり方。ロンドン版は相当バカップル色が強いというか、お互いに舞い上がっている風が強く出ていたのが、最後には大人になって落ち着いた感じに変化していてラストでも確かめるようにキスしていたのが印象的だった。
対して日本版では舞い上がるというより、まず一目惚れでボッと火がついた後は、じわ~っと愛が強くなるような感じ。大仰にキスしたりするのでなく、しっかりと抱き合ってお互いを支えるような、凄く「愛」が伝わってきて良かったです。「あ゛~も゛う゛~」(←しつこい)


で、悪人兼コメディ・リリーフなテナルディエ夫妻の徳井優と瀬戸内美八。すっごい悪徳夫婦。サルのようにずるくてすばしっこい夫と大柄で下卑た妻。笑いの取り方も下品でまさに面目躍如。こんな人のそばには絶対住みたくない!と思ったね。怖いよお。遠くで見る分にはまだ・・・やっぱりやだ


アンジョルラスの東山義久くんは大柄でがっちり系、に見えたのだが、カーテンコールでバルジャンの橋本さんと並んだら以外に小柄でびっくり。むしろ橋本さんがでかかったのか? 因みに最後のカーテンコールで橋本さんは東山くんにひし!っと抱きついて場内大爆笑!!なんてお茶目なんだー!!閑話休題。非常に兄貴分的な、いかにも学生のリーダーっぽいアンジョルラス。バリケードのシーンがすごくかっこよくてだからこそ倒されていく情景は悲しい。ほんとに「あぁ無情」。

あと、子役ながら超達者なガブローシュの原田光。ぶっちゃけロンドンの子より歌うまかったっす。さらにロンドンで見たときはアクシデントで舞台が中断し、子役の規定労働時間を超過してしまったので最期のシーンでは声のみの出演に切り替わっていたので、今回はっきりと撃たれるシーンを見ることができてよかった・・・というのは不謹慎で物騒だけど、劇的効果倍増でした。

とにかく全二幕三時間という長丁場を飽きさせないのは、緩急付いた演出の巧みさと楽曲のすばらしさ。数種類のメロディを上手に繰り返して物語を紡いでいく手腕は素晴らしい。日本語版でもその感動は変わらずに、だからこそ20年続いてきたのだろう。

ただ、敢えて短所も少々。
四季の翻訳版と比べて歌詞の日本語訳が妙に古いように思えるのです。元々英語詞も単語数が異常に多くてメロディに目一杯詰め込んでいるから、日本語は不自然に単語数が少ないように見えて、おとと~こ~とば~が~ぎ~こちな~い~よ~うに~み~え~る~の~♪

音符につける日本語数というのはここ20年で格段に変化したと聞いたことがあります。できたら訳詞も改訂したほうが良いのではないでしょうか?

ともあれロンドンで見たとき同様、エピローグで涙腺が緩んでしまった「レ・ミゼ」やっぱり最高です。

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